西丘塔子

西丘塔子

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  • 【気まぐれポエム】

    時々気まぐれに書いたポエムをまとめています。

  • 【相笠の女】

    短編小話です。

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    今日の出来事や、気に止まったことを書き留めています。

記事一覧

朝影

カランカラン。 来店を告げる鐘の音。 日曜の午後にはボサノバが流れる店内に響き渡る。 食器が触れ合う音といつもの香り。 温かい湯気が乾いたそよ風を湿らせる。 緑溢…

西丘塔子
4日前
1

刹那色のウインドー

西丘塔子
1か月前
1

あの日のアジト

西丘塔子
1か月前
4

【相笠の女#5】男と女の隠れ家

ひとけのない河川敷。 静かに流れる川の音。 朝空を待つ暗闇の中に、ぼんやりと灯が浮かんでいる。 灯の方へと近づく足音が、橋の下で止まった。 青いビニールシートで…

西丘塔子
2か月前
1

【相笠の女#4】時代に翻弄される男

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。 「だから傘を忘れちゃいけないよ」 街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。 もし無人島にこの女…

西丘塔子
2か月前
2

【相笠の女#3】花しか愛せない女

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。 「だから傘を忘れちゃいけないよ」 街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。 今日も無理かな。 …

西丘塔子
2か月前
1

【相笠の女#2】離婚できない女

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。 「だから傘を忘れちゃいけないよ」 街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。 バスに乗車したとき…

西丘塔子
2か月前
2

【相笠の女#1】時間に追われる男

相笠の女「あらすじ」 誰でも一度は人生に行き詰まり、毎日不安や悩みを抱えて生きている。自分にとって深刻な悩みほど、近しい人には打ち明けられないもの。そんなドツボ…

西丘塔子
4か月前
4

天を仰いだ日

玄関でいつものように鍵を握ると いつもより重たく感じた。 鍵が重たいのか、手が重たいのか そんな、どうでも良いことを考えながら 真意と逆方向のエレベータのボタンを…

西丘塔子
5か月前

君のいない部屋

ドアを閉めながら、君を探す僕がいる 太陽の日差しが窓をすり抜けて 小さな虹がかかったベッドに横たわる君 温かい君のハートに頬ずりする僕に 君は長くて優しい毛を揺ら…

西丘塔子
6か月前

波打ち際の葛藤

あの手強い波を越えたら 最高な俺になれそうだ この波に乗ったビッグな俺は無敵だな 雲がどんよりしてきたぜ 海水が冷たすぎて足が震えてりゃー 夜更かしのせいで変な欠伸…

西丘塔子
6か月前
1

彩雲

一歩一歩君に近づく 教会の鐘が連打する午後 足早に歩く並木道が白光のトンネルになる そよ風が僕の魂を揺らすと 鳥たちが冷やかし、木の葉が拍手する 彩雲が照らすあの…

西丘塔子
6か月前
2

ジェネレーション

尖ったナイフの先端で描いた文字が 雨に濡れて消えていく 高貴な花に集まった虫たちが 新たな宿探しの旅に出る 昨日のベンチに置き去りにされた 誰かの幸せの法則 雫の…

西丘塔子
7か月前

あてのない遊歩道

憂鬱な空と地面がまだ繋がっている スイスイと走行する車から湿った音が弾ける オレンジ色のランプが薄暗く光る中 今日の目的をもった戦士たちが足早に駅へと向かう あ…

西丘塔子
7か月前

浪人

気ままに暮らす旅慣れど どこかに忘れた心を慕う どんなに愛を育めど いつかは別れる寂しさを ただ流れゆくままに ただ流れゆくままに 己の姿が映ることのない水鏡 た…

西丘塔子
7か月前

Hello Again Naturally

「あの子の名前なんていうの」 君のこと何も知らなかった 君の名前さえ知ろうとしなかった 君はいつも喜びと命を与えてくれていたのに 雨に濡れた自転車で家路に急ぐとき…

西丘塔子
7か月前
3

朝影

カランカラン。
来店を告げる鐘の音。

日曜の午後にはボサノバが流れる店内に響き渡る。

食器が触れ合う音といつもの香り。
温かい湯気が乾いたそよ風を湿らせる。

緑溢れるテラス席へ通じる白い扉から、朝いっぱいの日差しが、屋内の大きなテーブル席を照らしている。

居るだけで心地よい店内をぼっーと眺める。

今日はカウンターのあの子がいないな。

だから、ボサノバが聞こえないのか。

まだ夢とこの世

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【相笠の女#5】男と女の隠れ家

ひとけのない河川敷。
静かに流れる川の音。

朝空を待つ暗闇の中に、ぼんやりと灯が浮かんでいる。

灯の方へと近づく足音が、橋の下で止まった。

青いビニールシートで覆われた小屋がポツンと佇んでいる。
風に吹かれてやってきた優しい雨が、しっとりとシートを濡らしていた。

「兄さん、ショバを変えるなら事前に知らせておくれよ」

女は花柄の傘を畳みながら、小屋へと入っていく。
継ぎはぎだらけの段ボール

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【相笠の女#4】時代に翻弄される男

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。
「だから傘を忘れちゃいけないよ」
街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。

もし無人島にこの女と取り残されたら、何日生きていられるだろう。

ふとそんなことを考えながら、しとしと降る雨の中を行きずりの謎の女と一緒に相笠をして歩いていた。

一体なんでこんなことになっちまったのか。

10分前の記憶を辿る。

俺はコンビニで大量の

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【相笠の女#3】花しか愛せない女

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。
「だから傘を忘れちゃいけないよ」
街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。

今日も無理かな。

自然に憂いなため息が出る。

ビルの合間に吹く冷たいそよ風に乗った甘い薔薇の香りが、オフィス街の喧噪に消えていく。大通りから一本外れた日陰の裏道に入ると、ひんやりとした空気が黙ったまま佇んでいた。

まるでトンネルね。

急ぎ足で狭い

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【相笠の女#2】離婚できない女

そう、それは、にわか雨とともにやってくる。
「だから傘を忘れちゃいけないよ」
街であの鮮やかな花柄の傘を見つけたら、あの女かもしれないからね。

バスに乗車したときは雲一つない晴天だったのに。

最新の春夏コレクションで手に入れたロゴが際立つヴィトンのハンドバッグを我が子のように撫でながら、車窓の外を眺める。

灰色の雲が高層マンションを覆いつくすようにゆっくりと迫っている。

どうにか帰宅するま

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【相笠の女#1】時間に追われる男

相笠の女「あらすじ」

誰でも一度は人生に行き詰まり、毎日不安や悩みを抱えて生きている。自分にとって深刻な悩みほど、近しい人には打ち明けられないもの。そんなドツボにハマっていく日常に不意に現れる怪しい女。にわか雨とともにやってきて、なぜか相笠を強要してくるそのお節介な女には、不思議と逆らえないパワーがある。浄化の雨が降る束の間に、相笠の下で繰り広げられる無理やり人生相談アワー。信頼関係など必要ない

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天を仰いだ日

玄関でいつものように鍵を握ると
いつもより重たく感じた。

鍵が重たいのか、手が重たいのか

そんな、どうでも良いことを考えながら
真意と逆方向のエレベータのボタンを押す。

昨晩の木枯らしに舞った枯れ葉を
ざわついた心で踏むと
沈黙を割る警告音が鳴り響いた。

冷たい匂いと灰色の地面に
耐えられなくなって
空を見上げる。

巨大な白い翼竜が飛んでいた。
巨大な卵を食べる瞬間だった。

どんな風に

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君のいない部屋

ドアを閉めながら、君を探す僕がいる

太陽の日差しが窓をすり抜けて
小さな虹がかかったベッドに横たわる君

温かい君のハートに頬ずりする僕に
君は長くて優しい毛を揺らすんだ

永遠に続くと思っていた君と僕の時間

寒がりな君に
木漏れ日を照らしてくれるのかい
雨嫌いな君に
傘を差してくれるのかい

君のいる場所は暖かい毛布がたくさんあるのかい

春になった僕の部屋はまだ少し寒いよ
君のいた場所に涼

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波打ち際の葛藤

あの手強い波を越えたら
最高な俺になれそうだ
この波に乗ったビッグな俺は無敵だな

雲がどんよりしてきたぜ
海水が冷たすぎて足が震えてりゃー
夜更かしのせいで変な欠伸とまんねーし

次の波はもっとビッグかもしれないぜ
どうせならもっとビッグになってやる

もう少し待ってみよう
ビッグってのは焦らねーもんだ

なんなら、もう少し
次の波まで、その次の

またアイツがピークかよ
俺が乗るはずだったのに

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彩雲

一歩一歩君に近づく
教会の鐘が連打する午後
足早に歩く並木道が白光のトンネルになる

そよ風が僕の魂を揺らすと
鳥たちが冷やかし、木の葉が拍手する

彩雲が照らすあの場所に君が待っている
水平線に辿り着けない、もどかしい波の音

教会が終わりの鐘を告げたとき
本当の僕に戻れる瞬間がやってくる

あの角を曲がれば、君がいて
あの角を曲がれば、僕がいる

ジェネレーション

尖ったナイフの先端で描いた文字が
雨に濡れて消えていく

高貴な花に集まった虫たちが
新たな宿探しの旅に出る

昨日のベンチに置き去りにされた
誰かの幸せの法則

雫のグラデーションが溶けていく
午後のミルクティー

抗うことのできない南風に映る
セピア色の雲

丘を下る私を追い越していく川の流れを
ただじっと見つめながら

あてのない遊歩道

憂鬱な空と地面がまだ繋がっている

スイスイと走行する車から湿った音が弾ける

オレンジ色のランプが薄暗く光る中

今日の目的をもった戦士たちが足早に駅へと向かう

あの人は帰還の傘を持っているだろうか

あの人は反対の道を選んでなかろうか

あの人の闘いはいつまで続くのだろうか

家に帰ったら久しぶりに濃いエスプレッソを飲もう

注文した覚えのない念いを書き消すくらいの

今という時空に彷徨う同

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浪人

気ままに暮らす旅慣れど
どこかに忘れた心を慕う

どんなに愛を育めど
いつかは別れる寂しさを

ただ流れゆくままに
ただ流れゆくままに

己の姿が映ることのない水鏡

ただ流れゆくままに

疲れた足を癒すのは
雲の無情を悟るとき

ああ、流れゆくままに

Hello Again Naturally

「あの子の名前なんていうの」

君のこと何も知らなかった
君の名前さえ知ろうとしなかった
君はいつも喜びと命を与えてくれていたのに

雨に濡れた自転車で家路に急ぐときも
愛犬と初めて散歩したときも

夏の暑さと冬の寒さに耐えながら
孤独が寂しいなんて感じることもなく
ずっとそこにいてくれた

今朝は君にお願いした
「君の名前を教えてよ」

天に向かってお願いした
「あの子の名前を教えてよ」

すぐ

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