それでは今日も尾崎紅葉の『二人比丘尼色懺悔』を読んでいきたいと思います。
第三章は、小四郎が、館の別室で、先の合戦の傷を癒しているところから始まります。「御気分はいかがでござります」と芳野が介抱にやってきます。すると、芳野は「おめでとうございました。御祝言あそばしましたとやら……小四郎様……女と申す者は操が大事と申しますが、その様なものでござりますか。」……御台様の侍女を選んだ男……許嫁なのに振られた女……振った男を介抱する振られた女……。小四郎は答えます。「申すも愚か。女は操を守って両夫にまみえず。忠君は二君につかえず……」。芳野は呆れ顔で「私の申したことがお気にさわりましたか。そのような心で申したのでは御座りませぬ。女は両夫にまみえずと申しますが、殿御は沢山恋人をお持ちなされてもよろしいので御座りますか」。小次郎は答えます。
「男傾城」とは、遊女のように容色を売りものにする男のことです。
芳野からしたら、裏切られたわけですから、悲しいやら、腹立たしいやら、恨めしいやら、身を震わせてしまいますよね……
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!