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”ツウ”ぶるために、地名に冠したい3パターンの言葉


「きのうはどこで飲んでたの?」

という質問に対し、

「青山だよ」「浅草です」

と答えるよりも、

青山だよ」「浅草です」

と答えるほうが、なんだか“ツウ”っぽい雰囲気がでる。

 そもそも、なにかの“ツウ”であることが「いい/悪い」は置いといて、この記事では、“ツウっぽい”アトモスフィアをクリエイトできるメソッドをスピーディーにレクチャーしたいと思う。

 別になんの”ツウ”でもないけれど、ひとにナメられると嫌だから”ツウっぽい”雰囲気を手軽にゲットしたい方へ(私自身がそうだ)。明日から使える方法をカンタンに3つまとめてみたので、ちょっくら読んでみてほしい。

1:まずは「東西南北」

 冒頭の会話でも示したように、地名のアタマには必ず「東西南北」のどれかをつけてみよう。

 たとえば青山だったら、「南青山」や「北青山」など。これだけで、「え、このひと、青山の細かい地区まで把握してるの?」という印象を与えられる。

 また、旅行の話でもバンバン東西南北を足していこう。

 ふつうだったら、「こないだ沖縄行ってきたんだ〜」と、ひとは言う。もちろんこれだけでも話のネタとしてはいいのだが、「こないだ西沖縄行ってきたんだ〜」と切り出されると、「ん、なにそれ?」とプラスアルファの興味を惹くことができる。「北群馬」でも「南鹿児島」でも「東山形」でもいい。ただたんに、地名のアタマを東西南北のいずれかで冠するだけ。こんなに簡単な方法はないから、ステップ1として挙げさせてもらった。

 ここで重要なのは、べつにその地名(たとえば南鹿児島など)が、ちゃんと住所として存在するかどうかではない。その土地のことを、東西南北に区分けできるレベルで把握している、という印象が大切なのだ。

 やり方はカンタン。その土地をグーグルマップで確認し、自分の訪れた場所がエリア内の東西南北どこに位置するか把握すればいいだけ。

 これだけで、たとえ中身のない話でも少しだけ興味を持ってもらえる。ハッタリの会話術としては、なかなかいいのではないだろうか。


2:「上下」にも手を出してみる

 東西南北をマスターしたら、次は「上下」である。

 そもそも、北か南か、なんていうものは、地図を見れば誰にだってわかる。芸がないといえば、ちょっと芸のない”ツウ”ぶり方だ。

 そこで、あるていど個人に裁量が与えられる「上下」を冠して、話を始めてみよう。たとえばこんな具合だ。

「こないだ、上(かみ)原宿で買い物したんだけどね~」

「え、どこそれ?」

「あ、知らない? 原宿の上のほうなんだけど」

「え、上ってどこ?」

「ああ、それはね……」

 うーむ、例文がなんだかバカっぽいが、なんとかなるだろう。ここで大切なのは、「相手にそんな場所がないとバレても、決して怯んではいけない」ということだ。

 つまり、仮に相手から「え、上原宿なんてないっしょw」と煽られたとしても、動じてはいけない。逆に、「え、わかんないかな? 上だよ? ソフトバンクショップとかあるほう」と、あなた個人が制定した区画の詳細を教えてやればいいのだ。

 すると相手は、

え、そんな呼び方あるんだ…。もしかして知らない俺って、ダサい?

 と不安になる。

 こうして強気で、地名を「上下」に振り分けていけば、あなたの”ツウ感”はどんどん増していくだろう。みんなが知ってるおなじみの土地も、ちょっと違った見え方をするはずだ。


3:最後は「新旧」に触れてみる

 いよいよ3つ目。これはちょっと危険な試みだが、「新旧」を使ってみるのもいいだろう。

 都内に限った話でいえば、この「新旧」がよく使われるシチュエーションは、「山手通り」である。地名ではなく通りの名前だが、ここではわかりやすい例題として採用する。

 そもそも、都内で車に乗っているひとは、だいたい道の話が好きだ。

「あの、明治通り沿いにさ、最近でかいビル建ったでしょ?」

「ああ、駒沢通りとぶつかる交差点?」

「いや、外苑東通りのとこ」

「あ、そっちか。甲州街道を基準で考えてたわ」

 といった具合である。

 私は車にあまり乗らないので詳しいことはわからないのだが、彼らはヒマさえあれば道の話をしている。そして道沿いの建物や信号に変化があれば互いに報告し、道を知っている者同士で切磋琢磨し合っている。

 そんな彼らの会話で、登場率が高いのが山手通りだ。しかしこの山手通り、どうやら「新旧」があるらしい。会話としては以下のような感じになる。

「あの、渋谷のほうから山手通り走ってるとさ、右側にでかいビル建ってるでしょ?」

「え、そんなのあったっけ?」

「ああ、ごめんごめん。『旧山手』のほうね」

「あ、そっちか。うんうん、でかいビル、あるね」

といった具合である。

 こんな感じで、都内の道好きが山手通りについて話すとき、そこには必ず「新旧」の区別が求められる。昔の山手通りは「キューヤマテ」、いまの山手通りは「ヤマテ」と、通じる者同士だけの符号を用いて会話を進めていく。

 これを、大胆かつ慎重に、応用すればいいのだ。

 ただし、「慎重に」というのがここでは鍵となる。なぜなら、「東西南北」や「上下」はあるていどゴマカシが利くが、「新旧」には明確な線引きが求められる。そこには、ちゃんと「新」があって、「旧」がなければいけない。その場所が古いからといって、感覚だけで「旧」をつけると痛い目をみる。

 まずは失敗例を見てみよう。

「こないだ映画観にいってさ~」

「へえ、どこの映画館?」

「ああ、高田馬場にある『旧早稲田松竹』だよ」

「え、『旧』ってどういうこと? 早稲田松竹って、1951年、松竹の系列封切館として開館した。1975年より旧作2本立てを中心とした名画座になり、地元の早稲田大学の学生を中心に、多くの若者に親しまれた。2002年4月1日から休館したが、早稲田大学の学生を中心に「早稲田松竹復活プロジェクト」が発足し活動したこともあって2002年12月21日から再開し、2003年1月25日から本格的に再開している[1]。」

「あわわわわ」

「だから『新』も『旧』もないよね? ねえ、『旧早稲田松竹』って、どういうこと?」

といった具合に、あなたの会話相手が激詰めウィキペディア君だった場合、あなたは赤っ恥をかくことになる。

 だから、この「新旧」をちゃんと使いこなしたい場合は、事前調査をしよう。その土地や施設に、「新〇〇」があるかどうか。それさえ確認できれば、話はカンタンである。「新」があれば、「旧」もある。安心して、あなたは「旧〇〇」と口に出していいのだ。準備さえすればムズカしい話ではないので、ホームランを狙って”ツウ”ぶりたい状況で、ぜひ使ってみてほしい。

以上、3つを上手く使いこなそう

 ここまでご紹介した3つの”ツウ”ぶり方は、日常会話でサラッと使えるものばかりだと思う。

「私の話、みんなあまり興味をもってくれない……」とお悩みの方は、明日からパターン1、2、3のいずれか、もしくは全部を使いながら、ハッタリでひとの興味を惹くことをおすすめする。

 ただし、あまり使いすぎると「東西南北クン」や「上下マン」、「新旧チャン」といった悔しいあだ名をつけられてしまうので、ほどほどにしておくことが大切だ。

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