安くて旨い!温泉地で見つけた鄙びた中華屋 10選
冬将軍の到来、温泉が恋しい季節。
私の愛する肘折温泉、2mも積もりましたか。あの街を想うと、角にポツンとある小さなラーメン屋を思い出すなあ。ちょっと襤褸くて安くて、味はシンプルで。何故か屋号は「もち屋」って。
そう言えば、あそこにもあったっけな。
街の外れに、色褪せた暖簾に建付けの悪い戸。暗いけど、どうもやっているみたいだ。疎らな客、誰もいないカウンターでまずはギョーザとビール。温泉で流した塩分は、ラーメンでチャージするものよ。
東京の行列店の方が旨い?そんな野暮なこと言いなさんな。
味だよ、味。割烹着に短髪の親父さん。「やるなら今しかねえ」って今にも聞こえてきそうだ。
私は500円のこっちのラーメンの方が、旨ぇと感じるのよ。おや、ここでもテーブルにゴルゴ13と美味しんぼが散らかってるね。
店主 「汚くて悪いね」
私 「いえ、大丈夫(その方が混まなくていいんです)」
どこの温泉街にもある鄙びた中華屋
「口コミが低い」「暗くて入りにくい」。いや、長く続く店ほど、地元から愛されている証拠。踏み込みゆけば後は極楽です。
本編では私がお世話になってきた安くて旨い、そしてちょっとボロい温泉街の中華屋を10軒ご紹介します。一癖ある店も紛れてますが、どの店も私は好んで再訪したい旨い店です。
①嶽温泉「田澤食堂 中華そば」(青森)
硫黄の香りが漂う温泉街の駐車場。向かいにあるのが旅館を兼業する田澤食堂(旅館)です。夏にはご当地名物「嶽きみ」というトウモロコシ屋にもなるマルチな店です。
見たままのシンプルな味。周辺には百沢温泉や湯段温泉と言った個性派の温泉もあり、そしてこの田澤旅館の地下にある内湯も強烈な酸性泉。汗を流してから入れば旨さは2倍、いや3倍増です。
メンマとネギとチャーシュー、やはり風呂上りはシンプルなものが食べたくなります。
②肘折温泉「柿崎もち屋」(山形)
餅は餅屋と言いますが、山形の餅屋はラーメンも旨いのです。
温泉街の入口付近にある異彩を放つ建物、看板には「柿崎もち屋」。暖簾には「ラーメン」と。
日本一のラーメン県山形。蕎麦屋で普通にラーメンが売っていたり、新庄では座敷に上がり仏壇の前でラーメンを食べるという経験もしました。それだけ日常的に食されていることが分かります。
味は見ての通りの懐かしい味です。ドカ雪が降る頃、より一層旨く感じることでしょう。
③赤倉温泉「阿部支店 味噌チャーシュー麺」(山形)
新潟にもありますが、こちらは山形県の赤倉温泉です。
駅前にある年季の入った「阿部支店」。過去何度素通りしたことでしょう。フォロワーさんからの薦めで今年初訪となりました。
チャーシュー3枚を掻き分けると野菜が少々、下からゴワっと太麺が出てきました。別皿で辛味噌も付いてきます。これも効きます、辛いのが苦手な方はちょっとキツいかも。汗を流しながら完食です。どうも醤油ラーメンも絶品のようで、こちらも再訪しなければなりません。
④東鳴子温泉「千両食堂 ラーメン」(宮城)
旅先で出会い別れた「Oさん」
「凄く美味しかった。ヨシタカさんいなかったら入れなかったよ」
「そりゃよかった。次からは一人で入れるでしょ」
東鳴子の「千両食堂」。カルト的な人気を誇る名店です。看板は外れたまま、長身のマスターが奥に見えますが、初訪の人は二の足を踏むかも。ですが味は間違いないです。
カツ丼が筆頭ですが、中華そばに炒飯にカレーも絶品。時間に余裕を持って行った方が良いです。
⑤磐梯熱海温泉「乙女食堂 ラーメン」(福島)
磐梯熱海駅から徒歩10分。名湯「湯元元湯」への湯治は毎年恒例となっており、一通り店は覚えました。私が最終的に居座ることになったのは、やはり最もボロい店。
乙女食堂はスナックと隣接で、ちょっと薄暗いです。メニューも麺類あり丼物あり。こんな店が旨いとも思えませんが、私はここのラーメンが結構好きです。
カウンターが7席ほど、奥の間が居間で御主人が普通に炬燵に入ってテレビを見ていたりします。繰り返しになりますが、私は好きです。
⑥老神温泉「満州飯店 チャーハン」(群馬)
私の数少ない湯友であるKさんは言いました。
Kさん 「満州飯店のチャーハンは本当に旨いですよ」
私 「大丈夫ですか、あの店?とても旨いとは思えませんが」
Kさん 「騙されたと思って、でもラーメンは普通です」
今年の夏、遂に実食のタイミングがきました。ラーメンと半チャーハンのセット870円です。チャーハンをまずは口に運びました。
「Kさん、疑ってごめん」私は静かに目を閉じました。
旨いです。確かにここのチャーハンは激ウマ。しかしラーメンは・・・
ちょっと温泉街から遠いので、車で行きました(3分くらい)。
⑦沢渡温泉「上州軒 野菜ラーメン」(群馬)
草津の仕上げ湯として知られる沢渡温泉。数件の旅館と商店がいくつか、その中にあります名店。以前「龍名館」という宿で連泊していた際に、女将さんが強く薦めました。やはり「騙されたと思って食ってみな」と。
それきり沢渡に来る際、いや四万から少々大回りしてでもここに寄ります。女将さんが薦めた野菜ラーメンは500円。ニンニクが効いており、とんでもない量です。今もこの値段かなぁ。。
⑧湯河原温泉「中華可崧 ネギカラ」(神奈川)
この店も、宿の方に聞かなければ辿り着かなかったでしょう。口コミも低く、場所も裏通り。湯河原温泉のメイン通りには、いくらでも店はありますから。
ポチっと検索、、いやその前に。
「女将さん、どこか美味しい店知ってますか?」
「可崧に行きな。地元の人はみんなあそこに行くよ」
行くと店には本当に地元の常連客が。店員さんとの絡みを見れば分かります。旨かったネギカラ、ビールが進みます。そしてラーメンは、、フツーかな。タンメンが一番旨いって女将が言ってたのに。素直に従えばよかった。
⑨五十沢温泉「一品楼 チャーハン」(新潟)
この店のチャーハンは衝撃でした。
私は営業マン時代、東京都内全域というテリトリーで新規開拓を任されていました。それをいいことに、東京三大チャーハン(※諸説あり)と呼ばれる店をコンプリートしました。
ケミカル系の集大成「丸鶴」。神楽坂の名店「龍朋」。建て替え前からお世話になっていた「新雅」。いやどれも感動でしたよ。
私の舌がバカなのでしょうか。今年一番食べたチャーハンは、新潟県五十沢温泉近くにある「一品楼」。こちらの方が私は美味しいと思うのです。豪雪地帯南魚沼、野猿が走り回るこんなところに・・・
⑩戸倉上山田温泉「食堂大黒 ラーメン」(長野)
戸倉上山田温泉の一角、テーブル席が3つしかないため土日は並ぶことも。私は余程のことがない限り一人旅、時間も縛りがないのでオープンアタックです。
こちら孫引きの情報ですが、鶏がらだけでスープを取るそうです。超シンプルスープに店主の矜持を感じます。
女将さんが出て行く人全員に声をかけます。
「待たせてごめんね」
「いえ、とても美味しかったですよ」(もっと早食い出来るよう、普段から鍛えておきますね)と、心の中で。
おわりに
温泉旅行に何を求めるかは人それぞれ。
私は持病を抱えてから、旅館の豪華な料理に見向きもしなくなりました。湯さえ良ければ1泊2千円のボロ宿にも泊まります。
炊事場があれば必ず自炊。なければふらりと街に出て、昭和のまま時が止まったようなボロい中華屋へ。地雷も沢山踏みましたが、旨い店を当てる簡単な方法は「地元の人」に聞くことです。
今回紹介している店の多くは、旅館の御主人や女将さんに聞いた店。1軒を覗き、某グルメサイトでは基本低評価です。何故でしょうか。。
末筆に、私が今最も食べたい中華を載せます。こちら長野県は松本駅前「谷椿」。浅間温泉から車で15分近く離れるので、流石に本編からは除外しました。
夜は焼肉屋になるこの店、昼はラーメンを出します。450円です。半牛めしを付けても700円。シンプルなビジュアルが堪りません。たまに麺がくっついている時もありますがご愛嬌。
令和4年12月 記
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