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【2021年追想】泉質の良かった温泉10選

 昨年病が発覚してからは、数週間単位で湯治旅に出ることが多かったです。ポケットWi-FiとノートPCを相棒にワーケーション生活。痛みとの戦いは辛いものでしたが、湯との出会いはどれもかけがえのないものでした。

 例年よりも訪湯数は減っているかも知れませんが、1軒の滞在時間はかなり長くなりました。源泉を見極める慧眼もいくらか磨かれた気がします。今回は今年訪れた湯で、個人的に泉質が良いと感じられた湯10選をご紹介いたします。

※前回、前々回の投稿記事「もう一度湯治したい宿10選」「初訪の名湯10選」登場施設は除いています。

<前々回投稿>

<前回投稿>


①藤七温泉 彩雲荘(岩手)

 秋田と岩手の県境にある1軒宿。東北最高地、標高1,400mに位置する温泉地でご来光も拝めます。全国でも数少なくなった天然の泥湯で、深さはありませんが拘泥が沈殿しています。

 時折ボコボコと拳大の気泡が上がります。たまに焼けるような激湯が尻を襲います。7箇所の露天がありベストポジションを探すのに苦労しますが、一度ポジショニングが定まれば享楽へ。まだ残雪も残る頃でしたが、私が訪湯した時は快晴となり日焼けするほどでした。

※画像は公式サイトからお借りしました

湯浴み着可能で、新潟から来たというマダムと2時間四方山話。全国でも減り行く泥湯。どこの湯も泥の量自体減っているそうです。
日帰り:650円 1泊2食付:12,000円〜    

②かみのやま温泉 下大湯共同浴場(山形)

 威風堂々の母屋が壮観です。何度来ても圧倒されます。山形県各地に名湯がありますが、必ず最後にはここに寄って〆ます。150円という入浴料、洗髪をする際は別途100円がかかります。

 ミニ新幹線駅から徒歩で15分程、上山温泉自体は蔵王に次ぐ県内2番目の観光客数を誇るそうです。ですが街中にあり、宿も点々としているためか賑やかさはないです。何件か宿の湯にも入ったことがありましたが、湯遣い鮮度共にこちらが圧倒している印象です。

 

温湯と熱湯、2つに浴槽が仕切られています。夏場に行くと47度近い時もあります。何故かこの角度からいつも写真を撮ります。
日帰り:150円

③馬場温泉 共同浴場(宮城)

 鳴子温泉郷、東鳴子にあるこちらの浴場。比較的新しい宿泊施設が隣接されていて、庭先に小さいこの湯小屋があります。シャワーもカランもないコンクリ作りの浴槽ですが、有形文化財登録されています。

 かつて夏場に何度か訪れましたが、激熱のため1分浸かれませんでした。今年は春先に入浴。46度前後で5分ほど浸かれました。信じられないことにこれだけの激熱の湯でありながら泡が付きます。通常泡付きが見られるのは温湯です。鮮度の良さの証明でもあります。

洗い場なし、蛇口なしの激湯ラビリンス。時期を間違えると浸かれないこともあるでしょう。狙うのは冬場から春先くらいか。湯は油臭あり。
日帰り:300円

④会津西山 老沢温泉(福島)

 これほど神々しい湯を他に知りません。温泉神社と内湯が同居しています。コンクリ造りの浴槽が3つあり、湯を落とす量により温度が違います。繊維状の湯の花が浮いており、湯温調節のため湯もみ棒で必死で攪拌します。

 硫黄分を含む塩化物泉で、温まりが非常に良いです。雰囲気も相まって帰る時の名残惜しさは他の浴場では体験できないものです。
 休業しているなどの噂も飛び交っています。私が訪湯した際も女将さんに一度断られましたが、交渉すると入れてもらえました。 

こちらもなくなっては困る湯です。真相は確かではありませんが、宿泊日帰り共に受けていないと女将さん。数年前に訪れた時も、電話では断られましたが直接行くと入れてくれました。いつも湯はちゃんと張ってあります。
日帰り:400円

⑤玉梨八町温泉 せせらぎ荘(福島)

 数年前にリニューアルオープンしたこちらの日帰り施設。その際に新たに発掘した「大黒湯源泉」は七里田温泉(大分)に肉薄するほどの泡付き。恐らく東日本ナンバーワンではないでしょうか。
 4人程しか入れない小さい浴槽に、約37度の源泉が注がれています。一瞬で泡が付きます。甲府エリアで見られる泡付きの湯よりも気泡が大きいです。

人気施設とあり、混雑してなかなか入れないのが玉に瑕。皆長湯するので、こちらの浴槽は椅子取りゲーム状態に。隣の玉梨源泉に浸かりながら空きが出るのを待ちます。

※画像は公式サイトからお借りしました 左の浴槽が大黒湯源泉です

この湯を掘り当てた方は生涯生活が保障されてほしいものです。近くの大塩温泉も天然サイダー温泉と知られていますが、泡付きは比較にならない程です。
日帰り:500円

⑥山口温泉(山梨)

 住宅街にポツンと現れる年季の入った母屋。一見温泉には見えません。ですがこの敷地内から毎分600ℓの泡付きの温湯がドバドバとかけ流しにされています。気泡の流れがあり、湯口付近から鉤形に流れて行きます。細かい泡が全身を覆い白くなるほどです。

 露天風呂もありますが、内湯の方が泡付きが多いです。体温ほどの温度で、一度入ってしまうとなかなか出れません。飲泉も可能なほど湯はフレッシュです。胃腸病などにも適応症があるそうです。

山梨エリアの泡付きと言えば韮崎旭温泉が筆頭だったのですが、最近以前ほどの泡付きが見られなくなりました。孫引きの情報ですが、行政指導により湯量制限をしているとのことです。真相を確かめに行きたいです。
日帰り:600円

⑦志賀高原 熊の湯ホテル(長野)

 草津温泉と渋温泉を繋ぐ志賀草津道路沿いの一軒宿。日本屈指の硫黄含有量を誇る名湯です。国見温泉(岩手)にも似たエメラルドグリーンの湯が楽しめます。タイヤのゴムチューブが焦げたような香が立ち込めます。

 洗い場の蛇口は硫黄成分で真っ黒に変色、成分の濃さを物語っています。湯花は白の細かい粉で、沈殿すると粘土のようです。湯底を蹴り上げると白濁が混じった翡翠色に変色します。色の美しさでは日本トップクラスだと思います。

※公式サイトよりお借りしました

色に見とれてついつい長湯。濃厚源泉のため結構グッタリと来ます。
日帰り:1,200円 1泊2食付:10,000円~

⑧田沢温泉 有乳湯(長野)

 長野県は青木村にある小さな温泉街「田沢温泉」。5軒の宿とこちらの共同浴場が密集しています。24時間365日湧き続けているという超美肌泉質。
施設の休業時間帯も、湯は自然湧出しドバドバと川下へと流れて行きます。

 共同浴場らしく朝型の6時オープン。200円という安さです。小さい浴槽に注がれるフレッシュな新湯はトロミと硫黄臭、細かい泡付きありです。何度入っても感嘆してしまう、素晴らしい湯です。

都市部からの移住者も多い青木村。ここから車で10分程で同じく温湯名湯「沓掛温泉」もあります。私も移住を考えたほどですが、まだ病の検査中とあり実現していません。
日帰り:200円

⑨出湯温泉 華報寺共同浴場(新潟)

 五頭温泉郷の一つである出湯温泉。ラジウムを含有する源泉が華報寺の境内から湧出しています。新潟県内最古の湯だそうです。荘厳な雰囲気が漂い、身も心も清められるようです。参拝を終えてから湯に浸かります。

 飲泉も可能な鮮度の良い源泉は癖がなく、夏季は加温なしのかけ流しで温湯でいただけます。ラジウムを含むからか、利尿作用と汗が引かない不思議体験が出来ます。

 宿もハイグレードな秘湯を守る会所属「清廣館」や、自炊湯治プランもある「珍生館」もあり予算に応じて楽しめます。湯はやはり共同浴場が最良です。

※中央奥に建つ小屋が共同浴場です。

昔は150円だったような。。どこの共同浴場も値上げに歯止めがかかりません。元々が安すぎたと思うようにしましょう。
日帰り:250円

⑩駒の湯山荘(新潟)

 こちらが私のベスト温泉です。細かい泡が付く毎分2,000ℓの湧出量は見事としか言いようがありません。かつては日帰り入浴が可能でしたが、現在は宿泊のみです。

 完全に電波は普通で、日本でも数少なくなったデジタルデトックス宿。衛星電話で予約を取ります。こちらに来てしまえば、スマホもパソコンも触っても無駄です。ただただ、33度の源泉と向き合いましょう。

 1泊で16時間浸かっていた方もいるという伝説も残っています。私も負けじと挑戦しましたが、10時間が最高です。化粧水の原料としても使用されるその美肌成分、圧巻です。

混浴なのですが湯あみ着着用可です。男女入り交じり、ワイワイやっています。一人客も多い印象です。
1泊2食付:9,950円~

まとめ

以上、10選でした。あくまで個人の感想です。
来年も良い湯に出会えることを初詣で祈願したいと思います。

                          令和3年12月23日

<藤七温泉 彩雲荘 記事>

<かみのやま温泉 下大湯>

<馬場温泉 共同浴場>

<会津西山 老沢温泉>

<玉梨八町温泉 せせらぎ荘>

<志賀高原 熊の湯ホテル>

<田沢温泉 有乳湯>

<出湯温泉 華報寺共同浴場>

<駒の湯山荘>


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