見出し画像

菜の花といちご、それから玉子焼き


菜の花が
風に吹かれて
ゆうらり、ゆうらり、と波を打ちます。

一面の黄色。ビタミンイエロー。
花盛りを迎え、
彩度に満ち満ちた葉の花のパノラマが
目の前に広がっています。

黄色い海のように広大な光景も、
そのひとつひとつをよく見ると
それは小さな花たちの集合体。
すっくと伸びた茎先が枝分かれして
そこにいくつもの十字状の花を
ほころばせています。

今日は、近隣の町で開かれた
菜の花まつりにやって来ました。


花畑に沿う道路には屋台が並び
軽食や、ヨーヨーすくい、綿あめ、
その土地生まれの春野菜が売られています。
道の脇にはこの日のために建てられた
簡易のステージも。
女性の歌い手さんが
春にちなんだ歌々を
高い空に向かって歌いあげています。


家族連れが多く、
子供たちの笑い声が飛び交って
会場は、和気あいあいと、にぎやか。

揃いのハッピを着た町の人たちは、
訪れた人たちをもてなそうと
屋台の運営や道路の案内に
精を出されています。

そこには、
「祭」よりも「まつり」と書くほうがぴったりの
朗らかな雰囲気がありました。

ソース焼きそばの香りにもそそられ、
おしるこの湯気にも目を奪われて、
迷った末に
私は昆布のおにぎりと
できたてを売られている玉子焼き、
カップ入りのいちごを選びました。

そして
花畑の端のあぜ道に設けられた
木のベンチに腰を下ろし、
水筒に持ってきていた温かいほうじ茶で
ひと息つきました。

遠目に人びとが見えます。
大きな口で綿あめを楽しむ小さな兄妹。
菜の花と一緒に写真を撮る若い恋人たち。
老夫婦はふたりでおしるこを啜っています。
そこここに咲く
楽しそうな笑顔を見ていると
自分の心がそっと同期して
くつろいでいくのがわかりました。

ふっくらと焼けた玉子焼きを
頬張りました。
おだやかな甘みと、お出汁のやさしい風味が
丁寧に包み込まれている玉子焼き。
昆布のおにぎりとの相性も満点です。

デザートにと
小粒のいちごを口に放ると
やわらかい実から
豊富な果汁がジュ、とあふれました。



菜の花の花言葉は「小さな幸せ」。

この季節の風物をいちどに味わい、
こんなに快い一日に出会えたことの喜びを
しみじみと思いました。

ときどき、自分の暮らしの反対側にあるものを見に行きましょう。
都会暮らしの人は、広々とした草原や森、花の風景を。
田園暮らしの人は、高層ビル40階のレストランに心が踊るかも。
単調に暮らす人は、飛行機の離発着や埠頭の客船を見に行く。
子供の世話をしている人は、大人とたっぷりおしゃべりする。
大人社会で生きている人は、小さな子と遊ぶ。
人を癒す仕事の人は、自分が癒されるほうにまわる。
自分の暮らしの反対側は、刺激がいっぱい。視座が変わり、気持ちがくるんとラクになります。

愛のエネルギー家事 すてきメモ303選


これは、お気に入りの本に書いてある言葉。
心地よく生きるヒントをくれた言葉です。

あなたも、暮らしの反対側を
見に行ってみませんか。


もうじき、
本物の春が、あたたかさを連れて
私たちのもとへやってきます。



この記事が参加している募集

今日の振り返り

今週の振り返り

これからもあたたかい記事をお届けします🕊🤍🌿