記事一覧
n❀ 傍にいるから【後編】
「ねぇ、隼飛は何も聞かないんだね。あたしが入院してた理由とか」
「別に…詳しいことは聞かなくてもいいだろ?って、委員長だから…知ってんだ」
俺は肩を落とした。
「そんなに悪化してるのか?病気は…」
「うん………」
輝良は尚も無言でいるため、靴紐はさっきのままだった。
俺は溜息をひとつ残し、しゃがみ込んだ。
「そうか…今は平気か?」
そう言いながら、俺は輝良の靴紐を結んだ。
特に意味はなかったが…何
n❀ 傍にいるから【前編】
輝良(キラ)は明らかに困ってた。
それでも意地悪な俺は、答えもヒントも出そうとはしなかった。
「ねぇ…これって、なんか問題点あるの?」
負けず嫌いな輝良は、俺を上目で見つつ、数学の問題集と睨めっこをしていた。
「あぁ、あるよ」
俺はそれが何処なのか、決して言おうとしない。
そんなの0.1%も輝良のためには、ならないからな。
俺は退屈な日常に降って来た『変化』を少なからず、楽しんでいたのかもしれない
n❀不器用なカップル»⑤(fin)
⑤『不器用な伝言』
それぞれ、もらえたモノを早速身に付けることにした。
我ながら…イイ感じに付けたな、と満足しながら真砂の方を振り返ると…
まだ悪戦苦闘の御様子。
「なぁ~に・・・まだ付けられないの?」
「普段、こんなモン付けねぇ~し!リン、手伝ってやぁ~」
ハイハイと半分お母さんのようなキモチで、それを引き受けた。
「真砂って…案外、首太いんだね」
「オトコですから!」
何を今更っ!
n❀不器用なカップル»④
④『不器用な光景』
「着いた…」
昨日と変わらない教室なのに、まるで違う学校の教室に来たような気がした。
あまりにも静まり返った室内は…
あの日常では有り得ないようにあたしは思っていたからか…
とても不思議なキモチだった。
「こうしてると、映画のワンシーンみたいだね」
静まり返った教室、外とは別世界の空気が…流れている。
活気のある何処かの部活の掛け声、熱気がこの教室まで伝わって
n❀不器用なカップル»③
③『不器用な会話』
「もう!何でウチまで来るのかな~?」
「ええやん!気紛れや気紛れ」
まっ、学校へ行くと言っても今日は土曜日。
普通の高校ならお休み。
なのに…家を出たのはいつもと変わらなかった。
「ええなぁ~家からチャリ通って!!」
とは言っても、自転車はあたしのモノで…運転してるのはエセ関西人。
あたしは後ろに座って…必死で真砂にしがみついてた。
「なんや、リン…そないくっついて」
ぅ
n❀不器用なカップル»②
②『不器用な贈物』
(よしっ!!コッチにしよう…)
あたしはやっとの思いで、商品を手にしレジへと向かった。
それは閉店時間ギリギリの決断、店員さんの協力あって…やっと選ぶことが出来た。
「彼、喜んでくれるとイイわね」
「ハイ、どうも色々と有難う御座いました」
一礼してお店を後にしようとした時、さっきの店員さんに声をかけられた。
「コレ…オマケにどうぞ。さっき買ってくれたモノと同じデザインだか
n❀不器用なカップル»①
①『不器用な日々』
未定だらけの3月のスケジュール帳。
唯一シルシの有る日はアイツの誕生日で…あたしはまた深い溜息を洩らす。
別にアイツと逢う予定なんてないし、メールを送るくらいかな…
まぁ、そのくらいでしょう。
偶然にも土曜日なのに…休みなのに…だからなのか…あたしはホッとした。
だって…アイツに面と向かって『歳喰ったね~』なんて軽口も、きっと今は出来ないから…。
それを考えた
n❀五十年後にページを開いて
ドアというドアを試せば、必ずそのひとつは夏に通じる。
タイムカプセルに忍ばせたその手紙に、謎を残したのは、私なりの一種の賭けだったのだろう。
ー五十年後にページを開いてー
不可解な伝言だな、と手紙を覗き込んできた雄大(タケヒロ)に、苦笑い。
だって、この一文を添えようと言った本人はあなたでしょう?
「確か、タイムカプセル埋めたのもこんな真夏日だったっけ?ヤマもんの思いつき…