マガジンのカバー画像

乳がんと妖怪たちと、のりりんと

19
興味を持ってくださってありがとうございます。うにさんです。 2021年、乳がんステージ2b、ルミナルBと診断されてから、抗がん剤、温存手術、リンパ節郭清、放射線、分子標的薬、ホル…
運営しているクリエイター

記事一覧

ケモってケモノの暗号?〜いよいよ抗がん剤治療1日目

ケモってケモノの暗号?〜いよいよ抗がん剤治療1日目

抗がん剤治療は忙しい。
告知の時に処方された吐き気どめの薬を忘れずに持参しなければならない。これだけでも緊張する。
しかも、血液検査を最初に行い、その結果で抗がん剤治療ができるか否かが決まる。そのため、採血のために診察時間の1時間前に病院に入らなければならない。

私は朝9の診察予約なので、病院オープンの8時に入る。朝早いのに、のりりんが一緒についてきてくれた。私の家に6時50分ごろ着くから、きっ

もっとみる
1番心配だった〜母へがんと告げる

1番心配だった〜母へがんと告げる

告知から治療まではちょうど1週間。その間に検査を3日。迷ったが仕事は事情を話してキャンセルすることにした。ちょうど仕事依頼が入り始めた頃だったので、気持ちとしては断腸の思いだった。だが、抗がん剤治療は、私にとって未開の地。何が起こるかわからない。直前になってのキャンセルは避けなければならないから、今のうちにキャンセルしようと腹を決めた。

  ****

髪の毛は、美容院でショートにしてもらった。

もっとみる
がん保険給付手続きの電話をかけると・・

がん保険給付手続きの電話をかけると・・

乳がん治療の回顧録を書き始めたのに、告知の日で止まってしまっていた。告知そのものではないが、思い出したくないくらい嫌な思いをした1日だったからだろう。
告知の日の最後にもうひとつ、辛かったエピソードをご紹介して先に進みたいと思う。

  ****

私は30歳代の時にがん保険に加入していた。その後、何度か見直しを行いオプションを追加していた。そのオプションの中に確定診断時の給付金も含まれていた。

もっとみる
最強の協力者、現わる

最強の協力者、現わる

病院のがん告知から直接のりりんの家に行くと、ぴよりん(のりりんの夫)が待っていてくれた。
「おかえり」
「ただいま」
で、まずは手洗いうがいをして、ソファに落ち着いた。
私は緊張していた。正直、診察室にいる時より、ぴよりんに報告する方が緊張していた。

「どうだった?」
ぴよりんは私にではなく、のりりんに聞いた。
「乳がんだった」
「乳がん。あ、そう」
「早期だって。来週から抗がん剤治療。ね?」

もっとみる
いつも通りがやさしい。のりりんとウィッグ選び❣️

いつも通りがやさしい。のりりんとウィッグ選び❣️

ケアマネさんとの電話をのりりんに報告すると、のりりんも少し安堵した様子。父のショートステイの日程は、連絡待ちだ。
のりりんは、スマホの画面を見せてくれた。

「こんなの似合うと思うんだよね〜。どう?」
のりりんが見せてくれたのは、楽天市場のウィッグ画面だった。割と普通のセミロングの髪型。密かにピンクを狙っていた私は、無難さにちょっと詰まらないと感じていた。
「ウィッグは初めてで、何を基準に選んだら

もっとみる
がんと告げて、絶句される。

がんと告げて、絶句される。

告知の日はまだまだ終わらない。
診察とがん支援相談室の面談、検査の説明と同意書の署名が終わった。まだ、昼過ぎだ。病院の会計を待つ間、私は通話エリアから父のケアマネジャーに電話をした。

「突然で申し訳ありません。ちょっとご相談がありまして・・。実は、私乳がんになりまして。来週から抗がん剤治療が始まるのですが、とても父の介護ができる状態ではなくなると思うので、できるだけ長くショートステイをお願いした

もっとみる
がんになった私って、「特別」? 相談室面談

がんになった私って、「特別」? 相談室面談

それにしても、告知から治療開始までの1週間は実に忙しい。仕事の調整、抗がん剤治療の準備など、やらなければならないことだらけなのに加えて、検査が2日追加された。
待合室でほっと一息ついたところで、看護師さんから別室に呼ばれた。ここで、想像もしていなかった驚くべき展開が待っていた。

そう、診察室までは日常と地続きだったのだが、この後、がんという病の「特別」がスタートした。

私とのりりんを別室に呼ん

もっとみる
「告知」で失敗しないための心構え

「告知」で失敗しないための心構え

告知は、テレビや映画ではドラマチックな盛り上がりの一場面となる。実際、私の人生においても転機となったし、それは全ての人にとっても人生の一大イベントと言えるだろう。その後の人生が大きく変わる分岐点という点では、進学や就職の結果発表に似ていなくもない。だが、がんという病名が告知を特殊なものにしている。不治の病。死の匂い。がんで亡くなった友人、親戚、そして著名人。私たちの脳裏に彼らの横顔が過ぎる。

もっとみる
針生検、結果待ちの時間を無駄にしないで!

針生検、結果待ちの時間を無駄にしないで!

がんと疑われてから結果待ちの時間はどう過ごす?
誰もが、パニックになって頭の中が結果のことでいっぱいになっている時期かもしれない。
実際、SNSでは「ドキドキした」「正気ではいられなかった」などの記載が目立つ。
だが、私は少し違った。

結果待ち。私の場合

針生検の結果が出るまで10日間。私の中ではもう確定診断されたも同然の心持ちになっていたからだ。もちろん、心の奥の奥〜の方では良性だったらいい

もっとみる
緊張! 家族にがんと告げる

緊張! 家族にがんと告げる

乳腺外科の先生からの宿題は、次回の診察の時に家族を連れてくることだった。家族に支えられっぱなしの今にして思えば当たり前だが、その時は家族を巻き込むことに違和感しかなかった。

なんだかオオゴトになってしまった。

肋骨のある部分全てをまったく動かせない状態で帰ったから、ウエストから上、背中も肩も首も、凝りに凝っていた。
家に着いて最初にしたのは、バストバンドを緩めることだった。立ったまま緩めると、

もっとみる
「次回の診察はご家族も一緒に」って、まるでドラマ!

「次回の診察はご家族も一緒に」って、まるでドラマ!

針生検が終わると、話題は私のプライベートな話に移っていった。
「ご家族は? 結婚してらっしゃる?」
「いえ、父と一緒に住んでいます」
「お子さんは?」
「いません」
「次回、お父様と一緒にきてもらえますか?」
「あ、父は要介護状態なので、、」
「他にご家族は?」
「はい、姉が」
「お近くですか?」
「うちまで自転車で30分くらいです」
「そうしたら、次回、お姉さんも一緒にきてください。他にも一緒に

もっとみる
医者や看護師さんが優しい声の時は、痛くて厳しい

医者や看護師さんが優しい声の時は、痛くて厳しい

乳房の細胞を取るために再び診察室に入った私は、ちょっとビビっていた。ビビっていたが、やらない訳にはいかない。今日のメインイベントだ。診察台に寝て、私は見ないようにした。自分の体がメスで切られるのも、そこから機械を入れられるのも見たくない。怖すぎる。

「ちょっとチクっとしますね〜」

注射をする時、先生も看護師さんも妙に優しい声を出す。いや、優しい声を出す時は、痛い時なのかもしれない。麻酔はすぐに

もっとみる
心臓バクバク、針生検直前

心臓バクバク、針生検直前

超音波検査を終えて診察室に戻ると、先生は結果の画像を見ながら話してくれた。私はどきどきしていた。超音波検査でリンパへの転移があるかもしれないと思ったからだ。

「画像を見る限り90%がんと思われますが、画像だけでは確定ではないんです。あと、リンパもちょっと腫れていますね。ちょっと触診していいですか?」

先生はリンパの腫れについて、転移という言葉は使わなかった。私が診察台に横たわると先生が触診し、

もっとみる
私、死ぬの? 想定外の超音波検査

私、死ぬの? 想定外の超音波検査

戦闘モードで迎えた初診日。予約からの2週間、ネットで多少の情報は集めたが、専門用語だらけで病気や治療のイメージはわかなかった。初診の時に知っていたのは、抗がん剤治療のテレビドラマのイメージとか、全摘か温存手術があるとか、リンパ節に転移した母の知人は治療後腕が上がらなくなったとか、又聞き程度の噂話に過ぎなかった。

乳腺外科の待合室は、オルゴールが流れるほっこりした部屋になっていた。受付の人が優しく

もっとみる