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ケモってケモノの暗号?〜いよいよ抗がん剤治療1日目

抗がん剤治療は忙しい。
告知の時に処方された吐き気どめの薬を忘れずに持参しなければならない。これだけでも緊張する。
しかも、血液検査を最初に行い、その結果で抗がん剤治療ができるか否かが決まる。そのため、採血のために診察時間の1時間前に病院に入らなければならない。

私は朝9の診察予約なので、病院オープンの8時に入る。朝早いのに、のりりんが一緒についてきてくれた。私の家に6時50分ごろ着くから、きっと6時10分くらいに家を出てきているだろう。
初めての抗がん剤治療に、私ものりりんも緊張と好奇心いっぱいだ。

採血の窓口に予約票を出すと、受付の人にケモと鉛筆で書かれた。のりりんはそれを見て

「ケモって、ケモノのケモじゃない? うにさん、正体がばれたんじゃない? 採血で手を出したら、あら〜、山から降りてきたのね〜って」
「え〜、毛むくじゃらじゃない手で渡したんだけど〜」
「いやいや、バレバレだよ」

こんな具合だから、のりりんと一緒だと怖いと思う暇もない。

採血はすぐに呼ばれた。腕を出すと、点滴はどちらの腕でしますか?と聞かれた。

「今日が初めてでわからないけれど、多分、右だと思います」
「そう、初めてなのね」
「はい、手の甲からお願いするように主治医に言われています」
「わかりました。じゃあ、そうしましょう」

自分からお願いしたものの、手の甲から採血などしたことがない。しかし見た目だけで、なんだか痛そうだ。内心、びびっていたのだが、ここの看護師さんは凄い。
「ちょっとチクっとしますよ〜」と、ほとんど痛みもなく、5本分の血を採った。
ケモってなんですか? って聞こうと思ったがやめておいた。特に理由はない。

採血が終わって、手の甲に綿を乗せてテープでビッて止めると打ち身的痛みがずんっと手の甲に乗っかった。採血1痛かったが、ポーカーフェイスで耐えた。採血室を出ると、のりりんが手を振ってくれて、ほっとした。

次は診察だ。乳腺外科の時間まではまだ30分以上ある。

のりりんと2人で、病院内のローソンに行って飲み物を買った。のりりんはブラックコーヒー、私は甘いカフェオレとサンドイッチ。私ものりりんも、ちょっと緊張したまま、時間までまったり過ごした。

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