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最強の協力者、現わる

病院のがん告知から直接のりりんの家に行くと、ぴよりん(のりりんの夫)が待っていてくれた。
「おかえり」
「ただいま」
で、まずは手洗いうがいをして、ソファに落ち着いた。
私は緊張していた。正直、診察室にいる時より、ぴよりんに報告する方が緊張していた。

「どうだった?」
ぴよりんは私にではなく、のりりんに聞いた。
「乳がんだった」
「乳がん。あ、そう」
「早期だって。来週から抗がん剤治療。ね?」
と、私を話に混ぜてくれる。私は頷いた。
「だから、来週からうにさんの治療に一緒に行くからね」
のりりんはさらに続けた。
「うん。わかった、オーケー」
「ありがとう。ご迷惑をおかけします」。
ぴよりんの温かい言葉に、私は頭が下がった。
のりりんは、ずっと専業主婦でやってきた。ぴよりんの協力なしには、のりりんが私のために動くことはできない。

それから、私のウィッグの話をしたり、美容院の予約をしたり。一休みをしてから、のりりんがバス停まで送ってくれた。のりりんは、いつもバス停まで送ってくれる。それは私が方向音痴だから、だけではないと思う。特に、今日は私が1人っきりになる時間を減らしてくれたのだと思う。そういう気遣いを知らん顔しながらできる人なのだ。だから今日だってきっと、のりりんとぴよりんは暗い雰囲気、重い空気にならないように、明るく普通通りに接してくれたのだと思う。

その日から、私には世界最強の味方が2人できた。言葉だけでなく、本当に最強の味方だった。そして今でも。
その2人とは、言うまでもなくのりりんとぴよりんだ。

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