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愛のネタバレ

初めて見た時、初めて見たと思えた。 煙草を咥える横顔がかっこいいと思う人を初めて見た。 それだけで、あたりまえだけどなんか嬉しかった。 後期の授業が始まった。久しぶりのサークルは少し憂鬱で、行けば楽しいのは分かっているけれど、行くまでが面倒だと思ってしまう。 代々木公園でフットサルをして、そのあとセンター街に向かって歩いて"東京で1番安い居酒屋"に行くことが、サークル活動のルーティンだ。たまには違うお店に行こうかと話に上がったりもするけれど、結局、喫煙所がある居酒屋が

    • 銀河の果ての投げキス

      22歳になった。 スマホをなくしたまま22歳になりました。 私が小中学生の時に思い浮かべていた22歳はとても大人の女性だった。 色気と余裕が備わっていて、それでいて、若さがある。そんな感じ。 だけど今の私は、スマホをなくしたまま。果たして、スマホをなくした22歳は余裕があるといえるのだろうか。 こんなはずじゃなかったなあ でも私は、途方に暮れていない。 andymoriは、 ケータイデンワを落っことして サイフを落っことしたって  大丈夫ですよ 問題ないですよ と言

      • 音楽なんて大嫌いだ

        私は酷く音痴だ。 いや、微妙な音痴だ。 破茶滅茶な音痴なら割り切れる。カラオケでも、自他共にイジって楽しむことができる。 だけど、私はそのギリギリ割り切れないくらいの音痴。 家で歌っていたら、お姉ちゃんに「耳障りな音痴だから歌わないで」と言われた。中学の音楽の授業で歌っていたら、吹奏楽部の友達に「耳障りな音痴だから歌わないで」と言われた。 音楽なんて大嫌いだ。 ドがどの音か分からない。音の高さとか分からない。 音程が分からない。 それだけではない。 私は絶望的に

        • 笹塚居候日記

          これは、先輩と私の8ヶ月間の話です。そして、私が見てきた私の物語です。 この日記は、確かに私が笹塚で暮らしていたことを残したくて綴り始めました。 どんな書類にも残らない、笹塚で暮らした証をこの日記に託しました。 映画『街の上で』のような温度感にしたつもりです。 先輩についても実はちょくちょくツイートしていました。 あんまり書くとネタバレになってしまいそうだから、自分の好きな一節を紹介します!! この日記を読んでくれた人たちが、自分の住むまちとそこでの生活を愛おしくな

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        愛のネタバレ

          日々と珈琲。

          高校2年生の12月、私は片思いをしていた。 憧れのあの人に。 やっとの思いで、遊びに誘う。あのコーヒーショップの新作のドリンクを飲みに行く約束をした。 新作のドリンクはホリデーシーズン限定で、ストローがクッキーになっていた。 休日の午後だったせいか、店内の席が埋まっていた。横浜駅で何店舗も巡って、やっと空いている店舗を見つけた。 お目当てのあのドリンクを頼む。 向かい合って座り、お喋りを弾ませようとするけれど、クラスも部活も違う理系のあの子と何を話せばいいのかなんて、

          日々と珈琲。

          魔法

          「言葉は人間にしか使うことのできない魔法です」 私は新設学部の1期生として大学に入学した。 大学では観光や地域活性化について学んでいる。 この学部に入る為だけに浪人をした。 現役生の時合格できなかったからではなく、学部の創設を待つために浪人した。 今でこそ本を月5冊以上読んでいるけれど、中高生の時は、1年に1冊読む程度だった。 私は言葉で沢山傷つけられてきた。 人は言葉で動かされると思う。物理的にも精神的にも。 だから、ポジティブな言葉ばかりを使って生きていたいと思う

          ベンガルトラと

          1年前の今日、私は本屋さんで「20代で得た知見」を手に取り、ベッドの上でページを捲っていました。 1年半前の今日、私は20歳の私へという文を綴りました。 本当にどうしようもなく見る目がない私は、ちょうど1年前失恋をしていました。それに加えて、20歳の間に2回も失恋をしました。 好きだったあの人は、告白してくれた日のインスタの投稿を残したままだし、別れてから一度も私のストーリーを見ていない。 嫌いになるほどあの人のことを知ることができなかったから、上っ面の好きを抱いたま

          ベンガルトラと

          雪は溶けた

          時間が経てば雪が溶けるように、時間が経てば気持ちも溶ける。 だけど、跡形もなく溶ける雪と違って、気持ちは落ち葉のように掃き掃除をしなければならない。 たくさん吐いて吐き出して、やっと跡形もなくなる。 ・ ・ 最近私の周りでは、好きの定義だとか恋愛観だとかについての話題が盛り上がる。 好きな人とは何か とある小説には、美味しいご飯を食べたときに、それを食べさせてあげたいと思い浮かべる人のことだと描かれていた。 雪見だいふくを1つあげられるだとか、ショートケーキに乗っ

          雪は溶けた

          切手606円分

          上手に泣けなくなって 泣きたい時に泣けなくて 泣きたくない時に泣いて 泣きたい時に泣ける人が羨ましくて 泣きたい時に泣ける人は泣きたくない時も泣いてしまうのかなって考えた _______________________ 8月上旬、自転車の鍵を失くした。 これで2つ目 そして最後の1つだった。 私は生きるのが下手だ。 自称ではない。 友達に、バイト先の先輩に、高校の後輩に、あらゆる人に言われてしまうくらいには下手だ。 自転車を買ったのは高校1年生の秋のこと。

          切手606円分

          佳作

          佳作という言葉に酷く劣等感を抱く。 「出来はいいが1番ではないよ」と念押しされているような感覚に陥る。だから嫌いだ。 先日、図書館で早瀬耕さんの『プラネタリウムの外側』という本を借りた。 その作中に"佳奈"という人物が登場する。彼女は、自分の漢字を「佳作の佳に奈良の奈です」と簡潔に説明した。 私はわたしの名を説明するとき、意図的に佳作という言葉を使わずに「にんべんに土2つです」というわかりにくい説明の仕方をする。 佳作という言葉とその意味を知ったとき、わたしは酷く絶望

          佳作

          付き合って 2人だけの時間を過ごして 2人だけの秘密ができて ふとした時に思い出して 他愛もない秘密を話して 別れて 秘密を思い出してももう話す人はいなくて 1人で抱える秘密は秘密じゃなくて 共有してるひとがいるから秘密になって 相手がいて初めて秘密が秘密になるのかもしれない そうやってなくなってしまった 世界中の秘密を合わせたら 世界平和が実現するのだろうか たしかに刻んだあの時間はもうなかったことになって なくされて、なくなって、 そうやってなく

          引き立て役の皆さんへ

          可愛いは正義だ 間違いなく 正義だ。 ・ 可愛い子と友達になりたい。仲良くなりたい。 可愛いから仲良くなりたいのか。仲良くなりたい子がたまたま可愛かったのか。 ・ 高校の入学式、隣の席の”あの子”は、自分から話しかけることも直視することもできなかったくらい可愛かった。 遠くにいてもすぐ分かるくらいオーラがあったし、15歳にしては垢抜けていた。 そんなあの子と同じ部活・委員会に入り、同じ時間を過ごし瞬く間に仲良くなった。考え方は全然違ったけれど、感じることが似ていた。

          引き立て役の皆さんへ

          多様性ってなんだろね

          「あなたはどのような世の中を理想としていますか?」 私は、“多様性”という言葉自体が存在しなくなる世の中を理想としています。“多様性”という言葉は、2者しかなかったもの達や2者以外はないものとみなされていた事柄の中から、3つ目がでてきた時に、それをないものとしてではなく、あるものとして認知された時に発生した言葉だと考えます。最初から3つ以上あるのが当たり前だったとしたら、改まって認知する必要はなかったのではないかと思います。日本には、多種多様な苗字があります。しかし、「苗字

          多様性ってなんだろね

          19の足跡

          2021年3月 県立高校を卒業した。 2021年4月 大学に入学したかった。しなかった。できなかった。 というわけで、2021年4月 #春から浪人生 になった。 ・ ・ もう少し詳しく、私の受験人生についてお話ししようと思う。 私は基本的に好奇心が人一倍強く、いろんなものに興味を持ってしまうし、職業もののドラマにはちゃんと影響を受けるタイプの人間だ。だから、文理選択すらも決めきれなかった。決めきれなすぎて、高2の冬〜高3の夏前くらいまで理転したりもした。多分誰より

          19の足跡

          20歳になった燈ちゃんへ

          どうやら本当に大人になってしまうらしい。 自我が芽生えた時からずっと大人になるのが怖くて、本気でネバーランドを信じてた私が、ついにネバーランドを見つける前に大人になってしまうらしい。でも、もうとっくにネバーランドを探すのはやめていたね。サンタクロースの存在よりは、長くネバーランドの存在を信じていた気がします。"ネバー"の意味を中学の英語の授業で知った時、ひどくショックを受けたのをよく覚えています。だって、「決してない」なんだもん。 誕生日に1年前の自分から手紙をもらい、1

          20歳になった燈ちゃんへ

          月が綺麗ですね

          まんまるで大きなお月様だった。 きっと満月だったと思う。 まるで、私がこれから大好きな人に"好き"を伝えることを応援してくれているかのように思えた。 クリスマスから1ヶ月くらい経った冬の日のこと。金曜日。放課後。 家に帰ったらすぐ電話をする約束をしていた。バイトが終わり、自転車を漕ぎながら家に帰る。目の前にある月が、どう頑張っても視界に入れないのは不可能といった感じで、私を見てくるのだ。自意識過剰なんかじゃない。どんなに必死に漕いでも、漕いでも漕いでも、近づくことも遠ざかる

          月が綺麗ですね