田中ひろぽん

家で使う「素材」(人造大理石といいます)をつくる技術者してます。 いま、素材を通じて、…

田中ひろぽん

家で使う「素材」(人造大理石といいます)をつくる技術者してます。 いま、素材を通じて、暮らしの時間を豊かにするお手伝いをしたい。 素材に対し、ユーザー体験や人間中心設計の考え方をあてはめられないか、考えているところです。

最近の記事

森とサステナブル

飛騨市の「広葉樹コンシェルジュ」及川さんに案内してもらった森が良かった。 植林の必要がある針葉樹と異なり、広葉樹は植える必要がない。かわりに伐(き)る必要がある。 広葉樹は、数十歳の若いうちに伐ると、切り株の傍から新芽が育つ。これを萌芽更新(ぼうがこうしん)という。定期的に伐ることで、森は再生しつづける。 この写真で切り株の斜面に緑に見えるのは、芽吹いた広葉樹の新芽。千年以上続いている、人と森の関係性。 逆に放置しても、広葉樹は長生きできない。 例えばナラという木は、10

    • 森の国の食のものがたり

      「水際のロッジ」に泊まった2泊3日が本当に素晴らしかったから投稿してみる。 「水際のロッジ」があるのは、日本最後の清流とも言われる四万十川のさらに源流。 空港のある松山から列車に1時間半ゆられて着く宇和島から、さらに車で1時間弱。 まるで海外旅行に行くかのような時間をかけてた辿り着く、愛媛の果ての山の中。 青々と高い山々に左右を囲まれた谷底の集落の、そのさらに源流にロッジがある。 流れを、滑床渓谷という。 巨大なウォータースライダーのような川底を水がなめるように流れたと

      • 楽しさに出会ったものづくり体験

        旅行先で、ものづくり体験するのが楽しい。 器や箸など、100均でも売ってそうなものに、数千円払って作るなんてコスパ悪そうだけど、作ったものが気に入り、つい家で使ってしまう。 それに作ること自体楽しい。何十年何百年もの歴史の積み重ねのなかで、職人たちの工夫が積み重ねられていまの作り方に辿り着いてきた。そんな工夫の積み重ねを、短時間で一気に体験できるのが、ものづくり体験だろう。 ぼくがものづくり体験の楽しさを知ったきっかけは、2018年に訪れた富山県の「能作」だった。 ※現在新

        • パーソナルカラー診断を受けて、暮らしの色の悩みが減った話

          日常生活で、どの色にするか選ぶ場面って意外と多く、買ったあとに「これでよかったかなぁ?」と不安になること、多くありません?ぼくはあります。 例えばインテリア。 ラグを買いたい!と思ってお店に行って「この色すてき!!」と一目ぼれしてルンルン気分で買って帰り、家で広げると、なんかビミョウに思えたり・・・ 例えば服。 お店で着てみたりして選ぶけど、なんかしっくりくる服、こない服があるような気がするけど、なんかこの違いがよくわからなかったり・・・ でもぼくは理系で、感覚的な「似

        森とサステナブル

          石の「あたたかさ」に触れた旅

          山深い飛騨にて、コロナの落ち着いた3月末、石を体験させてもらった。忘れられないこの体験、公開したいと思う。 受入れてくださったのは「砂原石材」という会社。創業約300年。創業期は戦国時代で城の石垣なども手がけたという。 お墓などを売る石屋さんは、日本各地に存在する。訪れた砂原石材さんも、いまではそういった会社の一つ。 でも一つだけ違うところがある。それは、地域の石を、自社で加工することに、誇りをもっていること。 もともと日本各地の石屋さんは、ほとんどどこも地元の石を、自分

          石の「あたたかさ」に触れた旅

          2018マチュピチュの思い出

          かなり前のことだけど、2018年のお盆休み、10日間でペルーに行ってきた。ツアーじゃなくて個人旅行。 初の南アメリカ大陸。初の英語が通じない国。思ってもみない体験がたくさんできて、人間としての生きしぶとさが、ちょっと上がった気がする。 ①40時間のフライト「お盆休みをフルに使って海外旅行なんて、高くて大変なんじゃない?」そう思われるかもしれない。ぼくは安く済ますために、大阪-ソウルのLCCと、ソウル-リマ(ペルー)の往復を別途手配した。合計往復約15万円。  行きは大阪

          2018マチュピチュの思い出

          2019ウラジオストクの思い出

          1年前の話ですが、2019年10月、3連休でウラジオストクに一人旅しました! 1週間前に、3連休なにしよ?と思いたって予約。関空から片道たった2時間、2万円! いちばん近いヨーロッパというのもわかる! 困難は人を繋ぐ最初の衝撃はタクシー。空港から街には公共交通はなく、タクシーに乗る必要がある。寒い国だからかタクシー乗り場は屋外になく、カウンターで受付が必要。でもそこには長蛇の列! ほかの手段がないかと思い、Uberみたいな配車アプリを入れてみたけど、拾える車がない。そこらの

          2019ウラジオストクの思い出

          会社からの帰り道、自転車借りてみた

          シェアバイクというのが、ここ大阪市内にも増えてきた。 決められた「ポート」ならどこで借りどこで返してもいいというやつ。時間制で、だいたい30分100円くらい。 1年前くらいだろうか、家の近所のコンビニにもこのポートができた。会員登録もしてみた。 気になりだすと、意外と目に入ることに気づく。ウーバーイーツの人も、じつは1/3くらいは自前の自転車じゃなくて、このシェアバイクだ。 近所で何度か使ってみると、たしかに便利だ。電車に乗るより安いし、駅から歩くことを考えるとこっちのほ

          会社からの帰り道、自転車借りてみた

          棚田を守るという行為と意思と目的と

          4連休に豊島に行きました。アートは美しく、考えさせられました。そうして心がうごき、感受性の高くなった目で見た海が、山が、緑が、本当に美しかったです。一番の印象に残ったのはアートではなく自然だったという話。 豊島美術館のとなりで、棚田を守る活動をされていました。これを見て、2カ月前に、京都の修学院離宮に行ったことを思い出しました。むかし、天皇さまが山すそに段々に田の広がる景色をたいそう気に入られて、そこに離宮を建てたそうです。この田んぼ、いまは宮内庁の持ちもので、いまもきれい

          棚田を守るという行為と意思と目的と

          世界を認識したい

          直島の「李禹煥美術館」に行った。寡聞にして、これまで李禹煥の名前を知らなかったけど、直島でぼくにとって一番良かったのが、この美術館だった。 ある展示で、コロナウイルスについての面白い考えかたに出会えた。 人類の歴史は戦いの歴史ともいうけど、病気による死者も多く、疫病との戦いの歴史でもある。だが、「疫病神」ということばもある。 ウイルスというのは、顕微鏡でも見えないくらい小さい、生物とも無生物ともつかない存在であり、また高等生物のDNAの一部を切り出された存在ともいえる。ウ

          世界を認識したい

          週末に近くの島という選択肢

          2019年11月、土日で坊勢(ぼうぜ)という島に行きました。 漁師の島ぼくはこれまで聞いたことがなかったけど、坊勢は兵庫一の漁師の島だという。人口3000人のうち、7割が漁業関係者。 だからとにかく魚が美味かった! 新鮮なサバの刺身がたまらない!噛めば押し返してくる弾力に、新鮮な生命力を感じるほど。 「坊勢の漁師は、技術がすごいんや」と語ってもらった。工夫する風土で、道具も全部自分にあわせて加工する。坊勢島の漁師は、ほかの地域に移るとトップになるんだと言う。 他に

          週末に近くの島という選択肢

          アメリカに行って感じた文化の違い②

          2018/4/3 アメリカと日本の違い、その2です。 仕事のうえでは、イノベーションを生むことが求められます。これが難しい。 こちらで仕事をしていて、日本と一番違うなと感じたのが、「あなたは何をしたいの?」「あなたの価値は何?」と厳しく問われることです。 学会やMeetupのような意識高い系(笑)が集まるイベントだけじゃなくて、仕事中でも、業務外で社外の人と飲むときでも、はたまた帰り道のUBERで話したりしたりといった、何気ないシーンでも、直接的間接的に問われます。 ど

          アメリカに行って感じた文化の違い②

          アメリカに行って感じた文化の違い①

          2018/3/26 2018年の1月から4月まで、ありがたくもアメリカ(シリコンバレー)で仕事する機会をいただきました。 少々、こちらの暮らしに関し感じたお話を共有しようと思います。 日本と比較すると、「いいな」と思うところと、「しんどいな」と思うところが両方あります。 例えば公共交通機関は未発達です。サンフランシスコからシリコンバレーを通ってサンノゼまでの電車は、休日は1時間に1本の各駅停車しかなくて遅いです(車の2倍の時間かかって、めっちゃ揺れる)。日本と比べ

          アメリカに行って感じた文化の違い①