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音楽漫画の最終進化系はこれで決まり!『四月は君の嘘』

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

【レビュアー:小林 琢磨

暴力上等? 性格最低? 印象最悪? ――――でも? 彼女は美しい

はじめましての人もそうでない人もこんにちは!

株式会社ナンバーナインを経営している小林です。

祝!アニメ化記念!と言う訳で今回は音楽漫画の最終進化系と僕の中で話題の『四月は君の嘘』をご紹介させて頂きます。

少し前まで「音楽」と言うジャンルは漫画ではヒットしないと言われていました。

しかし『BECK』と言う偉大な作品で音楽漫画の礎を作り、『のだめカンタービレ』で音楽漫画と言うジャンルを確立させました。そして、この『四月は君の嘘』はそんな二作品の正当後継者なのだと考えています。これが代々受け継いだ未来にたくすツェペリ魂だ!人間の魂だ!

王道にして、繊細。

ページから音楽が奏でられる様な、そんな素敵な時間を是非お楽しみください。

紡ぎ合い、共鳴し、響きあう再生の物語

かつて数々のピアノコンクールで優勝し、「神童」と呼ばれた主人公の有馬公生は、指導者であった母の死をきっかけにピアノが弾けなくなります。そして3年後、14歳になった公生は幼なじみの椿を通じ、同い年のヴァイオリニスト・宮園かをりと知り合います。ヴァイオリンコンクールでのかをりの個性的な演奏を聞き、母の死以来、モノトーンに見えていた公生の世界がカラフルに色付き始める・・・

ピアノは嫌いだ?それでもしがみついているのは?きっと僕には何もないから?ピアノを除けば僕は?からっぽで?不細工な余韻しか残らない

弾けなくなった元天才ピアニストである有馬公生。これは有馬公生の再生の物語である。

いや有馬だけではない、有馬の幼なじみである椿の再生の物語であり、宮園かをりの再生の物語であり、有馬のライバルである相座武士の、井川絵見の再生の物語なのである。

そう?あなたも想いを音に託して弾くのね

色が無くなった世界で、一人の少年が再度立ち上がる時、そこには様々な人間が想いを音楽に託して、紡ぎ合い、共鳴して、響き合うのである。

星は君の頭上に輝くよ

なんて美しいんだ!!!!

音楽の素晴らしさは人々を感動させる所にある。

ページから音楽が鳴り響き、僕たち読者もコンサートの観客の様な感動を味わえる。これが音楽漫画の力なんだ!

ここにシビれる!あこがれるゥ!

有馬を追いかけるライバル達の思いにシビれる!あこがれるゥ!

まさに有馬に共鳴して、響き合う、そんな人間関係なのである。

俺はお前に追いついたか? それとも遠ざかったか? また蜃気楼のように追いかけさせてくれるのか? 俺の憧れでいてくれるのか?

武士ィィィィ!お前の気持ちは伝わったぜぇぇぇぇ!!!

響け?響け?私のピアノ?響け?響け

(´;ω;`)ブワッ?え、絵見・・・!!

このシーンで僕は泣きました。

有馬と言う天才が消えた後もずっと有馬の後を追いかけていた二人だからこそ、誰よりも有馬に復活して欲しいと願っているのです。有馬から武士に、絵見に響いた想いは大きな波紋となり、二人から有馬に届くのです。これが魂の共鳴だぁぁぁぁ!!!!

最後に

大切な事は全て『四月は君の嘘』から教わりました。?僕はこの作品を通して、想いが紡ぎ合う美しき共鳴を学びました。

今―――言葉は蛇足だ 想いは全部ピアノに込めたんだから

確かに言葉は蛇足かもしれません。想いは全部漫画に込められています。