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2019→2020の整理と2020→2021の方向

2020年も残すところあと3日となりました。今年は日本全体が、世界全体が"変化した"年であり、"変化せざるを得ない"年であったのではないかと感じています。

COVID-19による環境の変化は、多くの人の生活や仕事だけではなく、生き方や考え方そのものにも大きな影響を与えたのでないでしょうか。その状況や価値観に合わせて"変化した”人もいれば、なかなか合わせられないまま"変化せざるを得ない"人もいたのではないかと思います。

そのような2020年を、自分で「コントロールできること」(controllable)と自分で「コントロールできないこと」(uncontrollable)がはっきりと分かれた年と位置付けています。

今回のnoteは2019年から2020年の自身の変化を、『独立』『実験』『対話』『探求』の4つから整理した上で、2020年から2021年の方向性とゴールを設定し行動するためのヒントとして書き残そうと思いました。


- 独立 -

2010年→2019年の10年間のサラリーマン生活を辞めて、2020年は独立しました。ただし、一般的な独立の仕方とはかけ離れていて、明確にやりたいことがあったとか、サラリーマン時代より稼げる事業があったとか、ポジティブな理由があったわけではない独立でした。

独立した理由をシンプルに表現するなら、「自分でコントロールできないことに振り回される状況に耐えられなくなった...。」これに尽きます。「10年も企業でサラリーマンしててそんなこと言う?」的なところはあるのですが、組織や集団で働くことがエネルギーになることよりストレスになってしまう人間なのです。

才能診断ツールである"ストレングスファインダー"の34特性の下位5つは『包含』『調和性』『社交性』『競争性』『ポジティブ』。集団との関係を避け、周りと意見を合わたり、交流したり、比較することを避け、自分と他人は違うと割り切っている人間であります。

一方で、34特性の上位5つは『戦略性』『内省』『収集心』『最上志向』『学習欲』。インプットして考えることや知識にすることが好きで、目的に向かう道筋や順次を立てて、より良いことを追求し、表面的なことではなく本質的なことにこだわる人間であります。

これらの特性とこれまでの経験を重ねた時に、『思考すること』『設計すること』の2つのキーワードが浮かんできました。そこで生まれた概念が"思考設計" (Thinking Design)であり、独立してからの自身の肩書きが"思考設計士" (Thinking Designer)になったのです。

※独立した後に定義した"思考設計士"についてのnoteはこちら


思考設計士として独立してからの仕事は、知人や前職のつながりといったご縁で、主に組織開発や能力開発に関する仕事をさせていただきました。「あれ?組織で働くことが嫌になった人間が、なぜ組織に関する仕事を...?」と思うかもしれないですが、嫌になったからこそ自分を強く動機付けるものがありました。


- 実験 -

サラリーマン時代の10年間は、転職を一度して1部上場企業2社で、主に宣伝販促や広告・マーケティングに関する仕事をしていました。結果、働き方としては上記の通り、組織や集団で働くことが合わないことでしたが、考え方としては組織や個人によりアプローチする必要性を強く感じたのです。

理由は、働く一人ひとりの意識・姿勢・能力・目標・行動、それらの集まりである組織の構造・配置・方向・役割・施策が整っていない限り、どんなに良い商品やサービスを持っていようが、どんなに良い広告やマーケティングをしようが、本質的ではないと思ったからです。「結果よければ全て良し」という考え方や価値観は到底受け入れられない人間ということです。

ここに自分の価値観や信念といった『本質』が隠されていると気づきました。目に見えるものではなく目に見えないものに強いこだわりがある。これがはっきりした時、電撃が走ったように、自分の性格・価値観・信念・意識・姿勢・役割・目標・行動、すべてがつながった感覚がありました。

見えないものを見えるようにする

これが自分の存在する意義・使命(=ミッション)であると言語化しました。そして、組織や個人にアプローチするとは、見えないものを見えるようにすることであると思いました。個人の意識や能力、組織の構造や役割はなかなか目に見えにくいものです。それらを見えるようにする、解決するキーワードこそ『思考』なのです。

一人ひとりが何を思い、何を考え、何を気づき、何をしたいのか。その思考を紐解いていくこと、言葉にしていくこと、周りに伝えていくこと。そこにアプローチすることで、見えないものが見えていくのではないか。さらに、個人の集合である組織が何のために、どのように、何をするのかが明確になるのではないかと思ったのです。

これらは仮説であり、証明するための『実験』です。ただ、組織の中に入るとサラリーマン時代と同じ苦手な環境や関係性の中で、最大限にパフォーマンスを発揮することができないと思い、個人事業主として第3者的な立場で組織や個人と関わることにしました。自分のコントロールできる範囲、自分の持つ能力の範囲の中で仕事をする環境をつくることを優先にしました。


- 対話 -

思考設計士として組織や個人に対して第3者的にアプローチをし、見えないものを見えるようにする。それらを計画した上でサラリーマンを辞めて独立をしたわけではありませんでしたが、活動をしながら少しずつ言語化できるようになり、活動の幅も徐々に増えていきました。

2020年に主にやってきたことは、①組織開発(チームビルディング) ②能力開発(リーダーシップ研修や1on1) ③コミュニティマーケティングの設計(コミュニティづくり) ④コンテンツマーケティングの設計(カスタマージャーニー・ペルソナづくり)の4つに整理することができます。

役割としては、講師・アドバイザー・ブレイン・コンサルタント的なもので、がっつり企業やクライアントに入ることもあれば、プロジェクトやイベント単位で入るものもありました。それぞれ企業やクライアントの課題や状況が異なるため、役割も異なりましたが自身はあくまで"思考設計士"である意識で仕事をしていました。

関わる人の思っていることや考えていることを『対話』を通じて言葉や図解に落とし込んでいくこと。考えを深めたり気づきを促したりすること。対話の中で感じたことをフィードバックすること。状態に合わせて必要な考え方や知識をインプットすること。

すべては見えないものを見えるようにするため、という目的や本質は変わりません。さらに、対話の過程や思考の設計において欠かせないものが『言葉』です。言葉が見えないものを見えるようにしてくれる唯一の存在で、その存在が自身のありたい姿(=ビジョン)を明確にしてくれるのです。

言葉と行動に一貫性と必然性を。

4字熟語で言い換えるならば『有言実行』です。言っていることとやっていることが一致している状態、一貫性があること。たまたま運よくうまくいったのではなく、言葉にしたことで行動につながった状態、さらに行動したことで成果につながった状態、必然性があること。この姿でありたいために思考設計をしているのではないかと気づいたのです。


- 探求 -

「仕事を『実験』として位置付けるのはどうなのか?」「『対話』することが仕事であると言えるのか?」と思うことも正直ありました。なぜなら、企業の採用において募集要項に自分がやっていることを応募欄に記載している企業や案件を見たことがないですし、"思考設計"という仕事も役割も世の中には存在していないからです。

そのため、現時点で明確な答えは出ていないし、見えないものを見えるようにすることに本当に価値があるかどうか、仮説を証明できたわけでもないです。でも、一般的な働き方ができない自分のようなポンコツな人間が社会の中で生きていくためには、自分だけの強みや自分にできることを価値があると相手に実感してもらうまでやり続けるしかないのだと思います。

嫌だと思っても我慢しながら、空気を読んで周りと合わせながら、自分でコントロールできないことも受け入れて...。それが一般である、普通である、常識であると思って生きていく人生も選択肢の一つです。しかし、その生き方を選択することは、自分のミッションやビジョンに反していることになり、自分の人生ではなく他人の人生を生きていることになると思います。

ほんとに幸いなことに、いろんな人とのつながりやご縁があって、現在は自分の人生を生きていることができています。今年は、自分モードで生きることを『探求』している感覚がどこかにずっとありました。上記の仕事をしながら、COVID-19の影響で自宅で生活する時間が増えて、そこで新たにできた時間で"思考実験"をしてました。簡単にご紹介します。


●RootsLabコミュニティ
「学びと実践」をテーマに、様々な企画・イベント・勉強会を開催している、新しいビジネスや価値を創出するためのコミュニティ
『複業』に関するイベントを企画・運営しました。複業プロデューサーである八田さんと2019年冬に出会って、2020年春に初コラボをさせていただきました。
●bosyu
人と人・人と仕事のつながりを応援するかんたん募集サービス
①「考え」や「想い」を言語化してほしい人✍️:6名
②外部1on1ミーティングしたい方🗣:3名
③『日報』の活用に関するオンライン相談会📖:2名
計11名の方々と対話する機会をつくることができました。
●Matcher
就活生と社会人をつなぐOB訪問アプリ
「就活相談するので、いま思っていることや考えていることを教えてください。」と題して、10名弱の学生の方々と対話する機会をつくることができました。この社会状況の中、ミレニアム世代が何を考え、何を感じ、何を思い生きているのかを知る場としてとても有意義な時間でした。
●stand.fm
誰でも、どこにいても気軽に収録ができてすぐに配信できる音声配信アプリ
日々の気づきや学びから、自分の思いや考えを発信するチャンネル「i think..」を3月末からスタートし、本日までで101回の放送をしました。今後も継続して、日々の気づきをゆるく配信していきます。
●YouTube
思考設計士の活動場所やメディアとして立ち上げた、Thinking Design Labのチャンネルで、主に対談や読書番組を企画して配信しました。

PlayTalk「新しい可能性をみつける」をコンセプトに、思考設計士の萬里小路が毎回、ゲストの思考や行動に迫り、そこから新しい可能性を考えていくトーク番組。
計20名のゲストの方とトークする機会をつくることができました。ゲストの皆さま、貴重なお時間を大変ありがとうございました!!

②ReadingLight:「本が照らすココロとセカイ」をコンセプトに、毎回、1冊の本を事前に読んだ上で、気になった言葉や文章の「ハイライト」を出演者同士でシェアするペア読書番組。
計4冊24回の放送をしました。24回すべて一緒に読書をした、Shiho Nagashimaさん、ありがとうございました!!
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●1冊目「直感と論理をつなぐ思考法」(全7回)
●2冊目「イノベーションの作法」(全7回)
●3冊目「2020年6月30日にまたここで会おう」(全3回)
●4冊目「才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法」(全7回)
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PosiTionTalk「マーケの常識の再発明 × 思考の枠組みの発見」をコンセプトに、マーケティングに関するフレームワークや考え方を再発明するトーク番組。
計2回の放送をしました。PlayTalkにも2回出演いただいた、内海さんのお声かけがあって実現しました。ありがとうございました!!

今後も対話を軸とした企画やLabのノウハウを配信していきたいと思います。
●BookLink:「好きな本が新しい本を呼んでくる」をコンセプトに、好きな本を紹介する、その魅力に共感した人たちが関連する本や別の視点・見方で楽しめる本を紹介するオンラインイベントを計6回開催しました。PlayTalkに最多3回も出演してくれた、Hiroe Ishikawaさん、ありがとうございました!!


COVID-19の影響で自宅で過ごす時間が増えて、人と直接会うことが減った状況の中で、自分にできることは何かを問いた時に『内省』と『対話』というキーワードが浮かび、自分の思いを発信する時間と他者と対話する時間を意識的につくりました。


X-Findings

2020年の自身の意識・思考・行動・実験をこのように振り返ってみて、いろんな思いや気づきが今も書きながら浮かぶ感覚があります。全部挙げるとキリがないので、10の発見(X-Findings)に整理しました。

1. 思考するためには、『観察』と『仮説』をすることからはじまる
2. 自分と相手をつなげる唯一の方法は、『内省』と『対話』である
3. 枠を超えるためには、枠の『定義』と『設計』が必要である
4. 思考の枠組みは、『原理』と『法則』を発明することができる
5. 問いをつくることで、『意味』と『文脈』が見えてくる
6. 料理ができるとは、『素材』と『レシピ』が存在している状態である
7. ありたい姿を描くと、『地図』と『コンパス』が手に入る
8. 物語を描くためには、『感性』と『論理』のパズルが必要である
9. 余白をつくるためには、『共通』と『異質』に区分する必要がある
10. "なぜ"と問うと、『本質』と『目的』を探求することができる


このような自分の概念や哲学といった"思考のOS"がアップデートされる瞬間がたまらなく好きで、具体と抽象を行き来して情報を因数分解したり、構造化・体系化している時間がなにより楽しい。まだ見ぬ可能性との出会いだったり、超越した先にある何かを発見することに、自分を突き動かす動機やロマンがあるのだと思います。


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2020→2021

個人としても、社会としても大きな変化があった2019→2020。マクロ単位で見ると、この流れは2021年も継続すると捉えています。引き続き、COVID-19による社会への影響や制限などは継続すると思いますし、個人としても独立しての活動は継続していくと現時点では考えています。

一方で、個人の意識や思考、役割や行動といったミクロ単位で見た時に、2020→2021はより変化したい思いが強くあります。現時点では、大きく2つの方向性があり、一つは『個人事業の立ち上げ』をすること。もう一つは『軸となるプログラムの構築』をすることがあります。

今年独立したものの、きちんと事業として成立している状態とは到底言えなく、まずはホームページやブログといった土台や基礎となるコンテンツづくりからスタートしたいと思います。そして、今年実験してきたことや今持っているノウハウをベースに事業の軸となるプログラム(サービスの元となる素材とレシピ的な位置付け)をつくり、少しでも提供できる状態にしたいと思います。

引き続き、Thinking Design Labとしての『実験』は継続しながら、事業化していくための『実行』フェーズに移行し、解像度を高めていきます。そのために、現在の時間の使い方や持っているリソースの活用も大きく見直す必要があると考えています。今年いくつかタネとして蒔いたものを、新しく関係をつくれた人たちと育てて咲かせていく時間にできればと思います。

"X-Findings"(10の発見)を整理した結果で、"思考のOS"がアップデートされました。それに合わせて、打ち出しているコンセプトもアップデートして、2021年をスタートしたいと思います。

●これまで(2020)のコンセプト
【Mission】
想いを言葉に。言葉を共感に。共感を価値に。
【Vision】
言葉と行動に一貫性と熱量を。
【Value】
「なぜ」から本質を発見する。

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●これから(2021)のコンセプト
【Mission】
見えないものを見えるようにする。
【Vision】
言葉と行動に一貫性と必然性を。
【Value】
①今ないものは『言葉』と『狂気』から発見する。
②"なぜ"から『本質』と『目的』を探求する。
③才能を開く『素材』と『レシピ』をつくる。


最後に、Newコンセプトに基づいた2021の目標を設定して、このnoteを締め括りたいと思います。今年は、コンセプトは掲げましたが、もう少しブレイクダウンした目標は設定しませんでした。目標があることで何が変わるかは分かりませんが、"言葉と行動に一貫性と必然性を。"というありたい姿を実現するために、言葉にして行動にするヒントにできればと思います。その名も、"X-Goals"です。


X-Goals

1. "クロス"(掛け算/越境)を軸にした思考と行動に時間を使う
2. Labの"基礎"や"構造"となるLabのメディアを設計する
3. Labの実験や実行を促進する"仲間"と"武器"をみつける
4. "ノウハウ"(素材)×"ハウツー"(レシピ)のコンテンツを発信する
5. "ナラティブ"と"リーダーシップ"を軸にしたプログラムを提供する
6. 地方コミュニティとの接点をつくり、"対話"と"共創"の場を設計する 
7. "自分会議"を定期開催し、思考と妄想のクオリティを上げる
8. BtoB/BtoEのサービスの"アンバサダー"活動で社会に貢献する 
9. 万人ではなく、誰か"一人のため"になることを追求する
10. "GAUDiiiプロジェクト"を推進し、新しい概念を確立する


変化の多かった2020年。出会ったすべての方、関わっていただいたすべての方に感謝します。2021年も引き続きよろしくお願いします。そして、2021年に新たに出会う方、関わる方との時間を楽しみにしています。

ドライで、石橋を叩きまくるくらい慎重で、人付き合いが悪く、取っ付き難いポンコツな人間ですが、目に見えないことを探究すること、より良いことを思考すること、新しいことを実験すること、目的やビジョンの実現のために実行することを、自分とは違う特性や強みを持ったいろんな人たちと一緒に時間を共有、場を共創できたら良いなと思っています。

2020年を振り返って良い整理ができ、2021年の方向づけができて、新年をスタートする準備ができた感覚です。いろいろな時間の使い方や年末の過ごし方がありますが、こうやって内省する時間が最高に楽しいと改めて感じることができた良い機会でした。


Have a happy new year!!

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