"思考設計士"という仕事の定義
世の中に「設計する」仕事は多くある。
建築、住宅、機械、設備、製品、アパレル、インテリア、ソフトウェア、システム...etc
これらの共通点は何か?
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それは『目にみえるもの』である。
英語で、「設計する」は、
・design(デザイン)
・plan(プラン)
・architect(アーキテクト)
そして、それらをする人のことを「designer」(デザイナー)や「planner」(プランナー)と呼ぶ。その共通点は、『目にみえるようにすること』、または『目にみえるものをつくること』である。
つまり、「設計する」とは『目にみえないものをみえるものにすること』と定義することができる。
一方で、上記に挙げた設計する仕事にはもう一つ共通点がある。
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それは『商品・サービスをつくること』である。
そのため、現代において設計する人(デザイナーやプランナー)の主な仕事は、「商品・サービスとして目にみえるものにする、またはつくること」と定義することができる。
そして、商品・サービスは、最終的にそれを使う誰かに提供され、利用される。その時の対価は「お金」である。
つまり、設計する人はお金にする活動をしている。その目的は、世の中を良くするとか利用する人を幸せにするとか、「想い」はいろいろあるにせよ、お金のためにしていることは事実である。
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僕は、その「設計する」において、まだ
・目にみえるものにできていない
・商品やサービスにできていない
・お金をする活動にできていない
ものを発見した。
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それは『思考』である。
思考とは、考えや思いを巡らせる行動であり、結論を導き出すなど何かしら一定の状態に達しようとする過程において、筋道や方法など模索する精神の活動
とWikipediaでは定義されているが、簡単にいえば、人の「考え」や「思い」、頭の中にあるものであると僕は定義している。
そのため、『思考』は基本的にその人の頭の中で何かしら「存在」または「顕在」しているものと言える。つまり、何かしらの状態で「在る」ものなのだ。
しかし、この「在る」ものを目にみえるものにする、思考を「伝える」「表現する」「書く」「描く」「つくる」「かたちにする」は、あまり重要視されていないと僕は感じている。
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それは言い換えるなら、思考する「過程」や「プロセス」は重要視されていないのだ。
なぜなら、人は「過程」や「プロセス」より「結果」や「商品・サービス」といった目にみえるもの、またはお金になるものに対して「価値」をつける、または求めるからである。
現在、デザイナーやプランナーという仕事が成り立っているのは、彼らがお金になるものに変換できているからである。お金にすること=価値あるものにしているから評価されているのである。
人はお金にならない、または直接的にお金とつながっていないものに価値を感じることが難しいのだ。
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ただ、本当にそうだろうか?
『思考』には価値がないのだろうか?
僕は違うと思っている。
人は本質的には「目にみえるもの」「商品・サービス」ではなく、「目にみえないもの」「思考」に価値を感じて、お金を出している。
次の問いを考えて欲しい。
Q.スターバックスに行く理由は?
Q.iPhoneを使う理由は?
(スタバに一切行かない、iPhoneを使っていない人は、自分が普段使っているものの理由を考えて欲しい。)
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答えは出ただろうか?
(まずはじめに言っておくと、全員そうであるとは思わない。)
ただ、多くの人は「機能」(スペック)+「感情」(エモーション)で使っているのではないだろうか。
スターバックスでいえば、
「機能」:コーヒーの味
「感情」:店内の雰囲気が好き、なんとなくおしゃれ
iPhoneでいえば、
「機能」:操作性、デザイン
「感情」:インテリな感じ、なんとなくかっこいい
さらにいうと、
スターバックスの世界観(「サードプレイス」という概念)、スティーブ・ジョブスという人間(カリスマ的リーダーの言葉)が好きなのだ。言葉にはしにくいけど「なんか」好きなのだ。
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これは感情であり、その感情の元はブランドまたはブランドをつくった人の「思考」、つまり「思い」や「考え」なのだ。
そこにポジティブな感情があり、共感し、その商品・サービスを利用している。また、その対価として我々はそれらにお金を支払っている。
『思考』には十分な価値があるのだ。
というより、本質的な価値とは『思考』にあるのだ。
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今、僕は『思考設計士』(Thinking Designer | シンキングデザイナー)という肩書きをつくり活動をし始めた。
その理由は大きく2つある。
①『思考』に価値があることを、もっと多くの人に理解して欲しいから
②『思考』の重要性を理解しても、実際に『行動』することは難しいから
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①については、目にみえないものやプロセスにも価値があることをより多くの人に伝えたい。目にみえるものや結果はとても重要だ。目にみえるものになって初めて価値となるし、評価される。
一方で、その価値や評価は目にみえないもの、『思考』も含まれていることを理解して欲しい。むしろ、思考がみえるものになったことに価値があると理解して欲しい。
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とはいえ、②については『行動』するまで、つまり目にみえるものにするまでが最も難しい。どんなに素晴らしいプロセスや思考でも、目にみえないまま、行動してみえるものにしないと、思考自体に価値はない。
だから、きちんとかたちになるところまで、『行動』に至るまでをサポートしたい。世の中にあるあらゆる『思考』を追い求めて、その人にしかない存在意義やありたい姿を明確にして、世の中や社会に価値を提供するまでをサポートしたい。
そのために『思考』を設計する。
思いや考えを目にみえるものにする、かたちにする、商品やサービスにする、それらをするための行動するまでのプロセスを設計する。
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良い『思考』は、良い『行動』になる。
その結果として、良い『商品・サービス』、価値あるもの、お金になるものになる。思いや考えはあっても、かたちにすること、行動すること、実現することはとても難しい。
でも、設計できたらどうだろうか?自分の思考が実現したらどうだろうか?スターバックスやiPhone 、自分が好きなブランドのようなものが自分にもつくれたらどうだろうか?
それは、自分の人生において価値あるものであり、世の中や社会、自分以外の人たちにおいても価値あるものになるのではないだろうか。
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ワクワクしてこないか?
いきなり、「素敵なサービス・商品をつくろう。お金になるものをつくろう。世の中や社会のためになるものをつくろう。」と言われても「いやいや。無理だよ。」と思ってしまう。
でも、「自分が思っていること、考えていることを整理してみよう。伝えたいことを表現してみよう。かたちにできるように設計してみよう。」と言われたら、「うーん、確かに。ちょっとやってみようかな。」と少しハードルは下がるんではないだろうか。
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「思い」や「考え」を設計する、整理する、かたちにする、伝える、表現する...
すべてに共通して必要なものがある。
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それは『言葉』である。
『思考』を設計する時に必要なものは『言葉』だ。
言葉があれば、思考は設計できる。思考は言葉にできる。
そして、僕は自分に対して『タグライン』を設定した。
今ないものはすべて言葉からはじまる。
『言葉』は、思考設計士の唯一の武器になる。
この武器があれば、より多くの人の思いと考えを実現させることができると信じている。言葉には大きな可能性と影響力がある。
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その上で、僕は思考設計士としての「存在意義」、「ありたい姿」、提供する価値」、一言でいうと『理念』を定義した。
【Mission】想いを言葉に。言葉を共感に。共感を価値に。
【Vision】 言葉と行動に一貫性と熱量を。
【Value】 「なぜ」から本質を発見する。
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僕は天邪鬼な性格で、人が気にしないようなことがとても嫌いだ。
表面的なこと、人と同じこと、理由がないこと、目的がないこと、意義がないこと、定義されていないこと、想いがないこと、発見がないこと、無駄なこと、線にならないこと、文脈がないこと...。
いずれもそう感じたらはっきりと嫌いと言ってしまう。天邪鬼だから、素直に好きなことや皆と同じことをやるというより、嫌いなことを好きにしていく部分、皆が気にしないことに価値を感じるのかもしれない。
それらはすべて『思考』と『言葉』を使えば価値にできるのかもしれない、と思ったのだ。
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表面的な部分から本質的な部分をみる、人と違うことをする、行動する理由や目的、意義をつくる、自分なりの言葉で定義する、想いを伝える、何か気づきがあるものにする、点を線にして文脈にする...。
すべて『言葉』が解決してくれる。
言葉と行動に一貫性と熱量を持てる。
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そして、自身の性格や特性、これまでの人生で経験したことや学んだことを活かして、思考設計士としての『武器』を決めた。
・マーケティングフレームワーク:思考と行動の設計
・日報の習慣化:思考と行動の言語化
・1on1コーチング:内省と対話からの発見
・研修プログラム:検証と学習からの現在地と目的地の理解
これらを使って、「思い」や「考え」を設計する、整理する、かたちにする、伝える、表現する。この武器を使う時、必ず『言葉』を使う。
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さらに、その武器を使った、思考設計士としての『行動』を決めた。
①組織開発・チームビルディング:マーケティングが機能する組織・チーム
②個人のリーダーシップ育成:マーケティング思考を持った個人
③個人のキャリア支援:理念(ミッションやビジョン)を持った個人
個人と組織、マーケティングとリーダーシップ、思考と理念。これらはすベて『言葉』によってつくることができると思っている。
特にマーケティングはキャリアの半分を占めている領域なのだが、マーケティングの本質は『人』。そして、人の本質は『思考』。そこに辿り着いた。
だから、人の『思考』に入り込んで、マーケティングがより機能する組織をつくりたい、マーケティング思考を持った個人をつくりたいと思った。
そして、個人によりフォーカスした時に、一人ひとりが『理念』を持った生き方や働き方をして欲しいと思った。『理念』があれば、言葉と行動に一貫性と熱量をもたらすことができるのだ。
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思考設計士としての『理念』(WHY)→『武器』(HOW)→『行動』(WHAT)を明確に定義し、僕は実現に向けて歩き始めた。走るのはあまり好きじゃない。疲れるし。自分のペースで進めたいと思う。
そして、僕は『思考の先にあるもの』を最終的にみつけたい。『思考の究極』とも言える。その答えはもしかしたらみつかるかもしれないし、みつからないかもしれない。
一つ言えることは、思考の先にあるものは『次の世代、時代にまで受け継がれるもの、残り続けるもの』でなくてはならない。そうでなければ、僕が生まれた意義はないと思っている。
今、僕は「仲間集め」をしている。
思考や言葉を大事にしている人や会社。一緒にこれを実現してくれる人や会社。実現したいと本気で思っている人や会社。
僕は『思考設計士』。
頭を使うことはできる。考えることはできる。設計することはできる。
これを、かたちにする(つくる)人、かたちにしたものを売る人、かたちにしていく重要性を伝えていく人は特にパートナーに欲しい。僕はモノをつくれないし、売る、伝えるのが下手くそだ。
どうかたちにするか、どう伝えるか、何をつくるか、何を売るか。
そこから一緒に考えてつくっていきたい。
今ないものはすべて言葉からはじまる。
思考設計士|Thinking Designer
萬里小路 忠昭 | Tadaaki Madenokoji