【レビュー】『本領発揮の首位撃破』~第28節アルビレックス新潟VSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第28節
7/24 18:00K.O. @デンカビッグスワンスタジアム
新潟(2-3)岡山
13分 田中雄大
21分 島田譲
32分 伊藤涼太郎
47分 ミッチェル・デューク
88分 ヨルディ・バイス

スタメン

マッチレポート

今季のチームカラーが現れた首位撃破

チームの真骨頂を見る首位撃破だった。

両チーム共に前節と同じ11人で臨んだ一戦は、連動したプレスで勢いを出した岡山が先手を取った。13分、左サイドからのスローインで押し込んでいくと、徳元が中央に流し入れたボールをデュークがキープして、パスを受けた田中がPA手前から右足を振り抜く。5月1日以来となる背番号14の得点で岡山が先制する。

リードを許しても首位の新潟は全く動揺しなかった。最前線の鈴木に縦パスを打ち込んで伊藤、高木、松田がMFとDFの間を突いてゴールに向かっていく。岡山は横のスライドを徹底して応戦するも、1タッチパスでギアが上がる新潟を食い止めることができなかった。21分、バイスが鈴木を倒して与えたゴール前右からのFK、島田の低く鋭いシュートが枠の左隅に決まった。その後も新潟にボールを握られて自陣に閉じ込められると、32分に伊藤の強烈なミドルシュートが突き刺さる。新潟に勝ち越しを許した。

後半、1点を追いかける岡山が前線をチアゴとデュークの2トップにしてシステムを[3-5-2]に変更。マークする相手を明確にしてプレスを強めると、47分に追いついた。左サイドから佐野が上げたクロスをデュークが頭で合わせて約2か月半ぶりにネットを揺らした。

激しい雨がデンカSに振る中でも新潟はテンポよくパスを回して再び勝ち越しを狙う。しかし、岡山が5バックでPA内を固めながら本山、田中、河井がバイタルエリアを埋めて対応し。58分には河井に代えて広島から加入した仙波を投入した。67分に伊藤のミドルシュートをバイスがブロックし、75分には鈴木の折り返しを合わせた松田のシュートは枠を越える。徳元が松田に、バイスが鈴木に粘り強く対応してゴールを守り続けると、81分に決定機が訪れる。左サイドを駆け上がった徳元のクロスに河野が飛び込むも、ヘディングシュートはクロスバーに当たった。

両チーム共に選手交代を行って迎えた88分、ついに岡山がこじ開けた。CKは相手にクリアされるも集中してこぼれ球を拾い河野がクロスを上げると、混戦から最後にバイスが押し込んだ。

逆転されても追いつく力強さ、攻め込まれても3点目を許さない粘り強さ。最後まで勝ち筋を残し、外国籍選手が値千金の活躍でチームを勝利に導く。今季のチームカラーが現れた会心の勝利だった。

コラム

約2カ月半ぶりの得点を決めたミッチェル・デューク

岡山に関わるすべての人が待ち望んでいた瞬間が訪れた。ミッチェル・デュークが5月1日に行われた第13節の東京V戦以来となる得点を決めた。

1点ビハインドで迎えた47分、佐野航大が左サイドから上げたクロスをデュークが頭で合わせてゴールネットを揺らした。今季4得点目となるヘディングシュートは、相手とのミスマッチを作り出して決めたゴールだった。

後半からチアゴ・アウベスと2トップを組んだ背番号15は佐野にボールが渡ったとき、手を上げて自らをアピールしている。そして、ファーサイドにポジションを取り、クロスが入ってくるタイミングで走り出して相手DFの前でヘディングシュートを放った。競り合った相手は左SBで168㎝の堀米悠斗で、2人の身長差は18㎝。これだけのアドバンテージがあれば、ヘディングが得意な豪代表FWが点を取ることは容易だろう。

なぜ2カ月半の間、デュークに得点が生まれなかったのか。それは彼が得点を取れる場所にいれなかったから。河野諒祐が鋭いクロスを供給し、徳元悠平もロングスローを投げ入れる中で、チームとしてボールを敵陣に入れていくために、デュークがPA外で競り合うことが少なくなかった。

しかし、得点を決めたときの布陣は隣にチアゴがいて、すぐ後ろに河井と田中がいる。デュークがゴール前に入っていくことに専念できる状況が彼の得点を生み出した。

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