【レビュー】『団結力を持ってアグレッシブに』~第5節ファジアーノ岡山VS横浜FC~

マッチレポート

横浜の連勝を止めるドロー決着。初先発の金山と木村が意地見せた。


横浜FCの連勝を止めたのはファジアーノだった。


ファジアーノは1-3で敗戦した前節とは異なり、キックオフ直後から主体的に敵陣に入っていく。18分、自陣から柳がロングボールを蹴り込む。デュークが競ったボールは裏のスペースに転がると、木村が反応していた。今季初先発の背番号19が倒されてPKを獲得。チアゴが冷静に流し込んだ。ロングボールでプレスを回避して、ウイングが背後を突いていく。しっかりと意思統一したファジアーノが先制に成功した。

横浜のボール保持が長くなり、主導権を掌握される時間帯が続いたが、ファジアーノは集中していた。31分、亀川のクロスから長谷川にヘディングシュートを打たれるも、腕章を巻いた今季初先発のGK金山が難なくキャッチ。すると、ファジアーノは反発。41分にカウンターから木村のクロスをチアゴがシュート。枠を捉えなかったが、押し込まれても、カウンターで追加点を奪う意識を持っていた。前半、横浜に倍以上の360本のパスをつながれたが、[4-1-4-1]のブロックを敷いて決定機を作らせず、1点リードで折り返す。


後半もファジアーノはデュークの高さと木村の推進力でゴールを脅かす。8分、素早い切り替えで奪い返すと、デュークとワンツーで抜け出した木村がシュートを放つも、GKブローダーセンに弾かれる。60分、右サイドから木村が中央に切れ込むと、左足でクロス。これはチアゴには合わなかった。


カウンターから追加点を奪えないファジアーノは、横浜に細かな立ち位置の変化とパスワークで中盤を制圧されると反撃を許す。70分、長谷川のクロスを、途中出場のヴィゼウが頭で押し込んだ。背後を取られて競り負けてしまった柳は膝から崩れ落ちて、ピッチを叩いた。


その後も押し込まれるファジアーノは、積極的に選手を交代するも、押し返すことはできなかった。87分には金山の連続ビッグセーブでピンチを切り抜ける。最後まで身体を張り続け、横浜の猛攻をしのいだ。試合はそのままタイムアップ。1-1の引き分けに終わった。


ファジアーノは先制してから押し込まれる時間が続いたが逆転は許さず、連敗を阻止した。しかし、リードしていた中で、逃げきれなかったことも事実。勝つためには、終盤でも押し返していくチーム力と2点目を決めきる力強さが必要だった。


コラム

困難を共に乗り越える団結力

 

例年以上にJ1昇格への熱量を感じてスタートした2022シーズンだったが、早くも大きな試練が訪れた。梅田透吾の負傷離脱だ。前節・町田戦で前十字靭帯断裂のケガを負った背番号1は、手術を余儀なくされ、シーズン中の復帰は難しいかもしれない。冷静なセービングと非凡な足元のスキルで、攻守に貢献していた守護神の離脱は非常に痛い。チームにとって、梅田自身にとって苦しい状況ではあるが、ファジアーノはみんなで一緒に乗り越えていくことを行動でもって示した。

 

今節はキックオフ前に梅田のユニフォームと一緒に写真を撮り、試合後には全員が背番号1のユニフォームを身につけてスタジアムを1周した。『俺たちがついている』『一緒にJ1を目指す』と強い結束を感じる行動に、スタジアムに駆けつけたサポーターは拍手で称えた。


前節の敗戦を引きずることなく、苦しい状況に陥ったチームメイトに寄り添い、アグレッシブに戦った。相手コートでプレーすることを掲げた今年のファジアーノは、強いメンタリティを持った集団なのかもしれない。どんな困難に直面しても、ブレることなく、結束して乗り越えていく。J1は一筋縄ではいかない。まだまだ荒波はやってくるだろう。でも、強い団結力を持つファジアーノなら、どんな試練もきっと乗り越えていけるはずだ。


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