【勝因】『徹底した中央封鎖』~第26節ジェフユナイテッド千葉VS栃木SC~

試合結果

2022 J2 第26節
7/10 18:00K.O. @フクダ電子アリーナ
千葉(0-1)栃木
42分 植田啓太

スタメン

試合を選んだ理由

ファジアーノ岡山の次節の対戦相手である栃木SCがどんなサッカーをしているのか、スカウティングするつもりで選びました。

ボランチを経由させない中央封鎖の徹底

試合は立ち上がりから千葉がボールを保持していきますが、なかなか効果的には攻めることができず、42分に黒﨑隼人が右サイドから抜け出して上げたクロスを植田啓太選手がスライディングで合わせて先制点を守り切った栃木がフクダ電子アリーナで勝利を収めました。

スポナビによると、ボール保持率は千葉が66%、栃木34%。数字を見ても、ボールを握っていたのは千葉だったということが分かります。

なぜ栃木が勝つことができたのか。それは栃木の組織的な守備が千葉を苦しめたからです。

栃木はボール非保持、プレスをかけに行くときは[5-2-3]の布陣になり、リトリートするときは[5-4-1]に変化します。リトリートは自陣に撤退して相手の攻撃に対して迎撃態勢を整える守備体系のことを言います。これは受け身になる事と捉える人もいるかと思いますが、栃木のリトリートはボールを保持せずに主導権を握るために機能していました。

最も機能していたのは、千葉のビルドアップがボランチを経由できないようにする守備です。1トップ+2シャドーの前線の3人はあまりガツガツボールを奪いに行きません。その代わりに、1トップの根本凌がビルドアップの出口になるボランチの田口泰士を背中で消して、2シャドーの植田と山本廉が千葉のCBの正面に立って中央への縦パスのコースを消します。前線の3人が巧みな立ち位置を取ることで、中央を使わせませんでした。

栃木が明らかに中央を封鎖してきたのに対して、序盤は千葉も屈せずに中央の田口に縦パスを入れます。根本の脇を突くような縦パスが入りましたが、ボールをコントロールしようとした田口に対してボランチの西谷優希が猛烈にプレスをかけて激しくチャージします。田口は前を向くことができず、ボールはこぼれてしまいました。

栃木の1トップ+2シャドーとボランチによってピッチ中央を封鎖し、千葉のパス回しをブロックの外に誘導していきます。千葉がサイドからクロスを入れてきても、ロングボールを放り込んできても、192㎝のカルロス・グティエレスが跳ね返し、スペースに流れたボールは鈴木海音や大谷尚輝が素早い出足で迅速にカバーしていました。また、栃木は5バックで両サイドにWBがいるため、サイドからドリブル突破を図る相手選手に対してナチュラルにWBをぶつけることができます。

相手の攻撃ルートをサイドに限定することで、ここは抑えないといけないっていうポイントが明確になり、堅牢な守備を築き上げました。

タイムアップまで栃木が失点を許さずに完封勝利を収めましたが、千葉のボランチがパスをつなぐとピンチを迎えていました。24分、右サイドでダブルボランチを形成する千葉の熊谷アンドリューと田口がやや右サイドによって縦関係に立ち、縦パスをつなぎます。田口、熊谷とパスをつないで、PA右で縦パスを受けた櫻川ソロモンが突進していき、こぼれ球を秋山陽介がミドルシュートを放ちました。

パス能力に優れたボランチがボールを触ることによって、ボランチ間でパスを交換することによって、停滞していた千葉の攻撃は活性化されたんです。

しかし、ほとんどの時間において千葉のボランチから自由を取り上げて、中央を封鎖してロングボールを主体としたサイド攻撃に的を絞ってリードを守ることができた栃木が勝利を収めました。

おまけ

第27節ファジアーノ岡山VS栃木SCの見どころ

17日に対戦する岡山もボランチがどれだけボールに関われるかがカギを握ると思います。中央でいつも通りの立ち位置を取っていると、間違いなく1トップ2シャドーにパス経路を消されてしまいます。大分戦でも見られましたけど、高い位置を取るSBが空けたスペースに下りたり、CBの間に下りてみてもいいかもしれません。ボランチがCBからパスを引き出せるポジションを取ること、ボランチが前向きにプレー選択ができるようなポジションを取れるかどうか。ここに注目したいと思います。

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