【レビュー】『忍耐力で掴み取った勝利』~第12節ブラウブリッツ秋田VSファジアーノ岡山~

2022 J2 第12節
4/28 18:30K.O. @ソユースタジアム
秋田(0-1)岡山
45+2分 柳育崇

スタメン

マッチレポート

岡山が忍耐力で4試合ぶりの勝利を掴む

忍耐力とは、つらいことや苦しみなどを耐え忍ぶ力のこと、辛抱する力のこと。ピッチを横切る風が吹き、ピッチコンディションも良いとは言えない悪条件の中で、秋田の猛攻を受ける時間が長く続く苦しい展開だったが、最後まで忍耐力を発揮した岡山が4試合ぶりの勝利を掴み取った。

前半風上に立ったのは岡山だったが、押し込んだのは秋田だった。秋田の攻撃は徹底してロングボールを前線に蹴り込むこと。こぼれ球を拾って、セットプレーも多く獲得していき、ゴールに迫ってきたが、岡山は粘り強く球際を戦い、跳ね返して応戦すると、セットプレーで反発する。3本のCKを獲得し、ゴールに向かっていくボールを蹴るも、秋田に弾かれてシュートには至らない。ゴール前左から直接狙ったバイスのFKが枠を越えて、前半はこのまま終わると思われたが、45+2分に試合が動く。右CK、徳元がファーサイドに滞空時間の長いボールを蹴ると、バイスが頭で中央に折り返して、柳が体で押し込んだ。4本目のCKで異なる球種のボールを蹴り、相手の目線を変えたことが奏功し、岡山がリードして前半を折り返す。

後半開始とともに木山監督は勝点3を持ち帰るための策を投じる。阿部を投入し、システムを3バックに変えた。秋田の勢いはさらに強まり、嵐のごとくロングボールが襲いかかってくる。49分、右からのクロスをニアで吉田に合わせられ、その直後には武のミドルシュートが飛んできたが、GK金山が連続セーブ。時間の経過とともに嵐の激しさは増したが、岡山も警報レベルを上げて対応した。柳とバイス、阿部が相手に競り勝ち、中盤の選手もこぼれ球をクリアする。全員で守り切ることに意思を統一させて、ボールをゴールから遠ざけた。

追いかける秋田は6前線4選手を入れ替えて出力を高め、85分には191㎝の加藤を加えたが、岡山は焦らず対処し、ボランチに濱田を入れて応戦した。試合終了間際には攻め上がってきたGK田中にオーバーヘッドシュートを許すも、GK金山がギリギリで弾き出した。

秋田のCKは14本を数え、15本のシュートを許す苦しい展開でも、無失点。最後まで守り続ける忍耐強さを発揮した。久しぶりの勝利は泥臭く掴んだものだけど、勝利には変わりない。耐えて掴んだ勝点3を自信に、ここから雉軍の逆襲が始まる。


コラム

移籍後初ゴールの柳育崇、量産体制の予感

ついに柳育崇にゴールが生まれた。

昨季8得点を挙げて今季から岡山に加入した背番号5は、二桁得点を目標に掲げた。開幕戦からセットプレーでゴールの起点になっていたが、11試合を終えて自身の得点はゼロ。チームが勝てない状況に加え、ゴールが取れていないことに焦りもあっただろう。それでも柳は今節も果敢にセットプレーからゴールを狙っていった。

18分、最初のCK。田中が蹴ったゴールに向かっていくボールに柳は飛び込む。誰よりも早く反応し、相手GKに構うことなく飛び込んだが、合わない。27分CKにも柳が突っ込むも、ボールはわずかに頭を越えた。3本目のCKも同様に、勢いを持って背番号5は走り込んでいくが、手前でクリアされる。ボールの落下地点には必ず柳がいた。でも、合わない、シュートが打てない。もどかしさが募る中で、柳はあきらめない。

そして45+2分、想いが結実する。4本目のCK、徳元が蹴ったボールをファーサイドで待っていたバイスの折り返しを、柳が体で押し込み、ネットを揺らした。頭上を越えても、ボールを真正面で捉えるために、体の向きを変えて、GKよりも先に触って押し込む。まるでストライカーのような身のこなしだった。

得点を決めた柳はピッチに座り込み、雄叫びを上げて、喜びを爆発させた。チームを久々の勝利に導く貴重なものにもなった今季初ゴールは目標達成に弾みをつけるキッカケになるだろう。本領発揮した柳育崇、量産体制の予感。

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難波拓未|サッカーライター
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