【レビュー】『目を背けてはいけない失意の敗戦』~グループE 日本VSコスタリカ~

試合結果

2022 FIFA カタールワールドカップ
グループE
11/27 19:00K.O. @アフメド・ビン・アリー・スタジアム
日本(0-1)コスタリカ
81分 ケイセル・フレール

スタメン

マッチレポート

攻めあぐねた状況を覆せずに喫した失意の敗戦

ドイツを撃破して迎えたコスタリカ戦、胸を躍らせながらキックオフを告げるホイッスルを聞いた。日本は第1戦から先発5選手を変更。前線には上田綺世、堂安律、相馬勇紀といったフレッシュなアタッカーが並び、守田英正が復帰した。開始早々に相馬が左サイドを突破していき、長友佑都が敵陣でこぼれ球を拾って二次攻撃につなげていく。勢いをもってゴールに向かったが、時間経過とともに躍動感が消えた。

日本はボールを掌握するも、自陣で[5-4-1]のブロックを組むコスタリカを崩せない。パス回しは基本的に相手ブロックの外で、前方へのパスコースを探してから横パスを繰り返す。ミスからカウンターを招くというリスクを削ぎ落したスローテンポな攻撃が続く中、35分過ぎからシステムを[4-2-3-1]から[3-4-2-1]に変更。左サイドは相馬、右サイドは山根が幅を取ってブロックを引き伸ばすことを試みる。しかし、決定機を作れなかった。

膠着した状態で迎えた後半、日本は上田と長友に代えて浅野拓磨、伊藤洋輝を投入してスタートする。システムも引き続き[3-4-2-1]を採用しながら、ボランチの遠藤航と守田が縦関係を築いて攻勢を強める。46分に守田が強烈なシュートでナバスを強襲し、48分と50分には立て続けに遠藤がミドルシュートを放った。

徐々に躍動感が生まれ始めると、森保監督は第1戦と同様に攻撃的な選手を次々と送り込む。交代で入った三笘薫と伊東純也がサイドから推進力を発揮するも、身体を張った相手の守備を攻略できない。すると、81分に痛恨の失点を許してしまう。吉田麻也のパスが自陣ゴール前で空高く上がる。守田が懸命にカバーしようとするもボールを失い、フレールが放ったシュートが権田修一の手を弾いてネットを揺らした。

ビハインドに立った日本は、三笘が左サイドをえぐってチャンスを創出する。しかし、88分に三笘のクロスを合わせた鎌田大地のシュートはナバスに防がれ、90+3分にも三笘が左サイドを切り裂くも、シュートを打てず。

停滞感の中でタイムアップの笛が鳴った。第1戦のような修正力は鳴りを潜め、攻めあぐねる状況を打破できない時間が続いた。また、後方でのパス回しに多くの時間を費やし、三笘という明確な武器を最大限に生かせなかった後悔が残る。しかし、GLを突破するためには第3戦でスペインに勝利しなければならない。泣いても笑っても残り1試合。渾然一体となって向かっていくしかない。

コラム

攻撃に質を加える三笘薫の起用法

失意の敗戦となった第2戦のコスタリカ戦。スポーツナビによると、日本が放ったシュートの数は16本。そのうち枠を捉えたものは3本のみ。コスタリカが4本のシュートで勝利を手繰り寄せたことから、チャンスの数ではなく、得点に直結させるために質を高めないといけないという課題が残った。

この教訓を生かして迎える第3戦の相手はスペインだ。ボールを掌握して勝利を目指すスタイルを標榜しており、その完成度は高い。したがって、スペインがボールを保持して試合が推移していくだろう。守備の時間が長い試合では、シュート本数が減る。少ないチャンスをモノにする質が必要なのだ。

攻撃のクオリティを向上させるキーマンは三笘薫。コスタリカ戦では62分からピッチに登場すると、左サイドで相手を抜き去り、88分と90+3分にビッグチャンスを作り出した。途中出場で違いを生み出せる明確な武器である。しかし、生かしきれたとは言えない。伊藤洋輝から三笘へのパスが少なく、彼がドリブルを仕掛ける場面を思いの外に増やせなかった。ならば、先発で使うのはどうだろうか。所属クラブでは先発出場し、90分間を通して高いパフォーマンスを発揮しているため体力面は問題ない。出場時間が長くなれば、三笘の時間も増える。

ドイツ、コスタリカが相手でも、三笘は飄々と左サイドを突破して行った。日本が自力でGL突破を決めるためには第3戦でスペインを撃破するしかない。三笘の起用法が、この国の命運を握る。


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