【レビュー】『勝ち点3と結束力を持ち帰るウノゼロ』~第21節レノファ山口VSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第21節
6/12 13:00K.O. @維新みらいふスタジアム
山口(0-1)岡山
37分 チアゴ・アウベス

スタメン

マッチレポート

結束力をもたらすアウェイでのウノゼロ

ウノゼロで勝利した岡山が山口から持ち帰ったのは勝点3だけではなかった。

前節の金沢戦を5-1で勝利した岡山は意気揚々と維新みらいふスタジアムに乗り込んだが、山口に立ち上がりから攻め込まれる。5分、田中渉がピッチ中央でイグォンのパスをカットすると、左サイドのスペースにスルーパス。これに反応した沼田が河野を振り切ってPA左からシュートを放った。岡山はミスから一気にゴール前への侵入を許したが、GK堀田がタイミングよく間合いを詰めてファインセーブし、窮地を脱した。ボールを握りながら攻勢を強める山口は24分にも橋本、沼田、田中渉のパス交換で左サイドを攻略し、大槻がミドルシュートを打つ。シュートはDFにブロックされるも、こぼれ球を田中渉が押し込む。至近距離からのシュートはGK堀田が触り、ポストに当たった。

岡山はGK堀田の好守もありピンチをしのぐと、イグォンがディフェンスラインの背後を突いて押し返していく。背番号9はオフサイドにかかるも、前への意欲が全体に伝播した。37分、右サイドの深い位置で本山、田中、ムークの3人で相手を囲んでボールを奪う。ムークのクロスは相手にブロックされるも、田中雄がこぼれ球を拾ってゴール前に折り返し、チアゴが右足でゴールネットを揺らした。

後半、1点を追いかける山口はクロス攻撃に舵を切った。55分、左サイドの内側から橋本が抜け出してクロスを上げると、山瀬が左足で合わせた。シュートはGKの手をすり抜けてゴールマウスに飛ぶも、宮崎智がライン上で掻き出す。クリアボールを拾った佐藤謙がPA左からシュートを放ったが、バイスが立ちはだかった。94分には高木のクロスを桑原が合わせるも、GK堀田がキャッチした。

山口のクロス数は27本、アタッキングサード(以下ATサード)でのパス数は154本を記録(スポナビより)。岡山のATサードでのパス数が35本だったことも踏まえると、攻め込まれる苦しい展開だったことは明らかだった。しかし、バイスと柳、GK堀田を中心にゴール前に強固な壁を築き、ウノゼロを達成。試合終了のホイッスルが鳴ると、岡山の選手はゴール前で円陣を組んだ。みんなで粘り強く勝利を収めたチームは勝点3と大きな結束力を山口から持ち帰った。

コラム

柔軟に勝点3を目指して前半戦4位

今季の岡山は多様な勝ち方ができるチームなのかもしれない。

前節の金沢戦では19本のシュートを打って5‐1で勝利すると、今節はたった1本の枠内シュートで勝ち点3を獲得した。今季2度目の2連勝はスコアも内容も対照的なものになった。

アウェイゲームだったから、前節のような強烈なプレスを行わなかったのか。アウェイで勝つためには手堅くプレーすることも必要ではあるが、今節はピッチレベルが34℃を記録するとても暑い中での試合だった。

岡山の勝点獲得に大きく貢献している堅牢な守備は集中力が支えている。山口の6勝はすべてホームで手にしたもの。前節も終了間際のゴールで逆転勝利を収めている。今節も山口が終盤に攻勢を強めてくることを想定し、体力消費を抑えながら集中して守り切るプランがあったのだろう。

リーグの前半戦を終えて岡山が挙げた勝利は8つ。開幕戦の甲府戦や前節の金沢戦では大量得点で派手に勝ち、第12節の秋田戦は枠内シュート2本、今節の山口戦では枠内シュート1本で得た1点を守り切って勝利を収めた。

前半戦は7試合未勝利、第15節~第19節の5試合で1得点など苦しい時間も過ごした。しかし、チームは4位で折り返す。ホームなのか、アウェイなのか。相手との力関係はどうなのか。様々な要素を踏まえて、柔軟に勝点3を目指せるチームは昇格を十分狙える位置で後半戦に臨む。


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