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【中学受験】1月31日(試験前日)

関東受験のため、息子が妻と東京に行った。

もともと九州では、ラ・サールと久留米附設の受験が終われば、受験終了だった。
学校別の対策も、愛光や早稲田佐賀、ラ・サール、久留米附設はやるけれども、開成の対策はしない。
東京のように日特やNNクラスで学校別対策をするわけでもなく、頼りになるのはただひたすらに過去問のみ。
圧倒的不利な状況だというのは、わかっていた。

でも息子は開成と聖光学院を目指して茨の道を歩き始めた。
塾の同じクラスの子よりもずっと大変な道だったと思う。
公開模試で偏差値65を超えても、「全然ダメ。70は最低超えないと」という評価になった。

過去問をやり始めたときにはあまりの出来の悪さに息子は唖然とし、我々も「これは無理だろうな」と思った。
それなのに息子は何度でも何度でも過去問に取り組んだ。
「合格する自信がある」
と息子から聞いたときには、「こいつ、なに考えてんの?」と思った。
途中で何度も東京受験をやめようと思った。
でも息子は決してあきらめなかった。
ただ、私と妻は「あまりに無理そうだったら、ラ・サールが終わったあと、東京受験をするかどうか、息子氏ともう一度話してみよう」と話し合っていた。

ところが息子は1月からメキメキ学力を上げ、ワンチャンどころか、「これ、普通にやれば合格できるんじゃないの?」というところまできた。
私が今思っていることを正直に言えば、
「合否に関わらず、ここまでよく頑張った。それだけで十分」
ということだ。
あれだけ厳しいと言われた目標に向かって、愚直に突き進み、最終的には「いつもの力でやれば合格できる」ところまで到達した。
この経験は息子にとって、何物にも代えがたいいい経験となっただろう。

みんな受験が終わって同級生はのんびりムードの中、緊張した面持ちで出発しようとする息子を見て、ふとそんなことを考え、胸が熱くなった。

そんな時に息子が訊ねてきた。
「ねえねえ。合格したら東京に引っ越すんだよね。僕文京区がいいと思ってたけど、叔父さんのいる宇都宮周辺でもいいよ。ほら、通学は新幹線で上野まで一気に行けるじゃん」
さらには
「開成と聖光学院に両方合格したら、僕どっちに行こう?」
「開成じゃないの?」
「いやあ、聖光学院もいいんだよね。うーん、どっちもいい学校なんだよねー。マジで悩むー」
「…………(相手にする気をなくし始めている)」
「そういえばさ、両方落ちたとして、開成は高校リベンジできるんだよね? そのときにさあ、内申書ってあるの?」

こいつ、ポジモン中のポジモンだな、とつくづく思った。




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