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1983年生まれ、数学科の教員。塾・予備校業界を経由して私立中高での教員となり、諸々の…

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1983年生まれ、数学科の教員。塾・予備校業界を経由して私立中高での教員となり、諸々の業務を経験。広報担当として学校を外からみる癖がある。最近はオルタナティブ教育(ホームスクール、フリースクールなど)に関心。起業したい。

最近の記事

学校と企業のコミュニケーション

わけわかんないタイトルですね。多数の教員と少数の事務員からなる組織、学校ですが、致命的な欠点があります。簡単にいうと、外部との付き合いが下手ってこと。そのことについて語ってみたいと思います。 学校が関わる業者とは 学校は様々な業者と関係をもっています。 教材なら東京書籍とか大修館書店とか数研出版のような教育出版社、模試ならベネッセとか河合塾、進路関連で先のベネッセに加えてリクルートとかマイナビ、修学旅行ならJTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行のような旅行代理店。他にも制

    • 子どもの自殺について

      夏休みも終盤戦、都道府県によってはもう終わっている時期ですね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。 子どもの自殺って夏休み明けの登校日が一番多いんだという小ネタをよく耳にします。そこで今回は子どもの自殺をテーマにします。 この件についてはさして詳しいわけでもないので、あまり中身もありません。短いです。 言いたいことは、自殺について勝手に脳内でストーリーを組み立てて熱く語るのはやめましょうね。ただそれだけです。デュルケームの『自殺論』なんていう社会学の古典もありますが、自殺

      • 進路指導のこと ~指定校はあくまで奥の手に~

        今回は高校卒業後の進路指導について語っていきます。就職するか専門学校に行くかはたまた大学に行くかの進路指導ですね。 まず私が一番言いたいことを。 保護者は自分の子どもに早いうちから指定校推薦を薦めるべきではない。 これ。これが言いたいだけです。ですが、そもそも昨今の大学入試制度がどうなってるのかわからないという方のため、その概観から説明してまいります。 もはや大学などラクに入れる(※一部を除く) まず大学に入るには筆記試験で学力を示すことが鉄板だとお考えの方が多いと

        • 不登校問題は問題だ②

          夏休みに入ったにもかかわらず、リアル仕事が忙しくて間があいてしまいました。(学校教員は意外と夏休み暇じゃないってのはもはや常識。) 前回は不登校が社会的問題であると再認識するのが目標でした。個々のケースの良し悪しではなく、全体としての問題ですね。 今回はその問題に対してどういう制度とか対策があるのかを概観していきます。まずは義務教育年代(小学生中学生)から。 フリースクールという選択肢 義務教育年代で(積極的ではなく)不登校になった場合、「なんとか元の学校に通わせよう

        学校と企業のコミュニケーション

          不登校問題は問題だ①

          今回は正真正銘、この国最大の教育問題である不登校について切り込みます。不登校問題は小中高大いずれの年代にも存在しますが、私は高校メインで働いてきたので高校年代について語ります。不登校関連の議論の大半は小学校中学校なのでちょっと珍しいですね。 はじめに、不登校は問題なのかということから。 かの工藤元校長によれば、不登校が問題となっているのは日本と韓国だけだそうです。(ホントかよ。)学校に通わず学んでいる子ども(=不登校)は世界各国にいますが、その場合は別の場所、たとえば家庭

          不登校問題は問題だ①

          校則改正のおもいで② ~学校と社会と法~

          前回に引き続き、校則改正の中で感じたことをご紹介します。今回はめっちゃ思弁的で気軽に読むには不向きかも。 学校は社会の部分集合である 「教師には社会人経験がない」という言い回し、聞いたことありませんか。実に謎めいた表現です。この表現って、学校が通常の社会でないことが前提となっていますよね。 教師は学校という社会で社会人経験を積んでいるという言い回しの方が正しいのに、どうしてこういわれてしまうのでしょう。 学校は通常の社会ではなく、チュートリアルモードみたいな別空間だ。

          校則改正のおもいで② ~学校と社会と法~

          校則改正のおもいで① ~主権者教育編~

          今回は校則改正について語っていきましょう。この件に関しては一家言あります。 なんせ私、とある私立高校において、2023年度にガチで校則改正を行いましたから。校則改正っていろんな立場の方が意見表明していますが、そのほとんどは実際に行ったわけではないですよね。私はめちゃんこ苦労しましたけどリアルにやってますから。格別な説得力があるよね。 なんで、私がこの件の記録を公開すればいろんな方の参考になるだろうなあと思っていたのですが、どうしてもそれって勤務校の内部事情を語らねばならな

          校則改正のおもいで① ~主権者教育編~

          ヒップホップ禁止令からみる子どもの声を聞く行事運営

          まさか一日に2度更新する日がくるとは。 昼頃、ヒップホップ禁止令をきっかけとして、マスメディアの報道で大変な目に遭う学校、しかもそのとき文科省は世論の方を向いているという構図を語ったわけなんですが、このnoteでヒップホップ禁止令で検索するとこうした意見はめちゃんこ異端なんですね。 何って、ほとんどが学校批判でした。 ヒップホップ禁止令を出した学校許すまじという批判です。何なら教育業界の人も一緒になって学校批判をしているようですが、その立場でこんなこというのかよーという

          ヒップホップ禁止令からみる子どもの声を聞く行事運営

          ヒップホップ禁止令からみる学校とメディアの関係性

          今回はヒップホップ禁止令という目下、日本を騒がせているテーマをきっかけに、マスメディア、学校、文部科学省、そして大衆という4者の関係性について語っていきたいと思います。学校側からみたメディアの問題ですね。 ヒップホップ禁止令 ヒップホップ禁止令はつい先日(2024年6月時点)、東京都の麹町中学校が体育祭や文化祭でヒップホップダンスの発表を禁止して、代わりに創作ダンスをしなさいと命じたことが話題になったものです。 「なんでこんなのが全国的な話題に」と思われるでしょうが、麹

          ヒップホップ禁止令からみる学校とメディアの関係性

          学校は保育施設である

          今回は学校の役割は何かというテーマで語ってみたいと思います。極めて根本的な問いですね。 学校の役割は子どもを成長させることと考える人が多いでしょうが、それは物事の反面しか見ていません。現代社会において、学校は子どもを預かるというもう1つの大切な役割があります。そのことをクリアに説明するため、教育と保育という2つの言葉で切り分けてみましょう。 学校の保育的側面 雑学からスタートしますが、幼稚園と保育園は何が違うのかという話を聞いたことがあるかとおもいます。幼稚園は文部科学

          学校は保育施設である

          部活動問題(スポーツ業界と学校との緊張関係)②

          前回の続きです。 部活動は学校の下部組織ですから、部活動で起きる問題は基本的に学校のせいだと思われるでしょうが、それは違う。スポーツ業界と学校とは100%結託しているのではなくある面では対立しているという話でした。 文科省が抑制しようとしても…… 「最近の子どもって部活やりすぎじゃないか、学校に勉強じゃなくて部活しに登校しているようなとこあるけど、それって正規のカリキュラムが軽視されているんじゃないか」という問題があります。 部活動過熱化問題とでもいいましょうか。これ

          部活動問題(スポーツ業界と学校との緊張関係)②

          部活動問題(スポーツ業界と学校との緊張関係)①

          今回は部活動の問題について語ってみます。これもでっかい問題で、教員の視点からだと不登校と並んで二大テーマくらいに位置づけられます。 部活動はこの国独自の文化で、日本社会の「しくみ」と密接に結びついている分、容易に語りつくせるようなテーマじゃありません。しかも規模がバカでかいのにうまく運営されていないという(年金みたいな)危険な状況です。適当に話していたら案の定脱線し、長くなり過ぎたのでパートにわけます。 部活動とは 部活動とは学校教育の一環として授業後や休日に行われる課

          部活動問題(スポーツ業界と学校との緊張関係)①

          化粧はなぜ学校で嫌われるのか

          タイトルはネットニュースの記事にありそうな感じですね、こうすると見てくれる人増えるんかなあとかゲスい発想でこうしました。 実際、子どもの化粧は嫌われてます! 結論からいきますが、生徒が化粧をすることについて、学校や教師はなぜ嫌うのか。その答えはわかりません。 学校だけで嫌われているのか、社会全体で嫌われているのかさえ、何ともいえません。ただ、子どもの化粧という行為を毛嫌いする大人がいることはどうやら確かなようです。 私は合理主義者の男性で、化粧をしません。子どもの化粧

          化粧はなぜ学校で嫌われるのか

          「勉強しろ」ってどんな意味でつかってます?

          テーマは福沢諭吉もびっくりの基本中の基本、「勉強しろ」です。正確には、勉強する意義とは何か、です。 勉強しろのニュアンスが大事 ときに親として、教師として、子どもに「勉強は大事だぞ」と説教することがあるかと思います。その説教って、子どもの側にどのように受け取られているんでしょうか。 実のところ、この言葉は非常に危ういと考えています。 間違った受け取られ方をすると、「学校にいる間は勉強するけれど卒業後は勉強しない人」とか「テストに向けては勉強するけれどテストに出ないとこ

          「勉強しろ」ってどんな意味でつかってます?

          いじめについて(その2)

          いじめについては昨日、長々と語りました。言い残したこともそう多くはないです。補足代わりに最近、世間で話題になったニュースがあるので、それについて触れます。 いじめにより不登校になった比率 2024年の3月25日、文部科学省がある団体に委託した調査の結果が公表されて、多くの新聞社がそれについて似通った記事を書きました。調査は現在増えている不登校の要因を調べたものですが、記事になったのは、要因というより要因分析のズレについてでした。調査は児童生徒(および保護者)と教員それぞれ

          いじめについて(その2)

          いじめについて(その1)

          メディアの報じるいじめ問題 今回はいじめ問題について語ってみたいと思います。いじめは世間的に最も関心の高い教育問題かもしれません。メディアで教育が取り上げられるとき、必ずといってもいいほど現場を知らない評論家のような立場の方々がいじめについて熱く語ります。それを見るたびに悲しい気持ちになります。 残念なことに、その多くはまったくの見当違いだからです。学校現場から縁遠い皆さんをそこまで駆り立てているのは、メディアの作り出したいじめという幻想です。メディアの報じるいじめと、実

          いじめについて(その1)