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短編「ニンゲン」

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ニンゲンになりたくて、 ニンゲンを知りたくて、 僕たちは神の身分を捨て 地上に降りることを選んだんだ。 (不定期更新)
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#自由詩

ニンゲン 2

ニンゲン 2

軽い段差でつまづいて
僕の右膝からにじみ出た血に

真っ赤だねと君は言う
綺麗な赤だねと僕は言う

きっとすぐ気付くように
目立つようにこの色にしたんだね

君はペロリと舐めてみせた
どんな味?
たぶんこれがニンゲンの味かな

ちゃんとニンゲンになれたね
でも思っていたよりも痛いね

綺麗だけどもう血は見たくないかな

ニンゲン

ニンゲン

白いシャツに
こぼしたコーヒー

ニンゲンらしいねと
君は言う

そう言う君も
口のまわりにつけた
生クリーム

ニンゲンらしいよと
僕も言う

ほら
誰が見たって
本物のニンゲンみたいだ