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コスタリカ、設備の整ったコーヒー農園訪問(DOKA)

コスタリカでは首都サンホセを基点にして、アルサシア農園を訪問するとともに、DOKAという農園兼ビジターセンターを訪問しました。その経験を文章にするとともにコーヒーの木の栽培周期についても触れています(約5000文字)。

アルサシア農園からも歩いて行ける距離にあり、私はコーヒー畑の中を一時間程ただただひたすらに歩くことで到着しました。

今回はコーヒーツアーの内容を文章にしていきます。
DOKAは規模の大きい農園で、ハニープロセスで加工された高品質なコーヒーを生産するとともに焙煎豆の販売、デカフェも取り扱っていました。

今回の訪問は「コーヒーの木の成長」「コーヒーの収穫サイクル」、「デカフェコーヒーの製造」と関連のある内容になっています。

「コスタリカのコーヒー産業について」


コスタリカのコーヒー産業のことについてザックリと復習します。

生産量はあまり多くありませんが、環境・品質への取り組みが進んでおり、ハニープロセス発祥の地であるということ。
ハニープロセスは水の消費量が少なく、ミシュレージの除去率によって出来上がるコーヒーの風味を調節できます。

コーヒーの等級は標高によって決まり6つの等級があること。またCOEも行われており、付加価値の高いコーヒーの生産を実現している産地です。理想的な環境で栽培されたコスタリカのコーヒーはシトラス、ナッツ、フローラル、スパイスが感じられます。

「DOKA農園」

DOKA農園もアルサシア農園と同様アラフエラ地域にあり、コスタリカで最も広大な面積を持つ農園です。グリーンビーンを販売するだけでなく自社での焙煎、そしてツアーによる体験なども行っています。

こちらのツアーは一日に何回か組まれていて英語でプレゼンテーションを受けることができます。
私は使いませんでしたがレストランもあるので食事と組み合わせたツアーも組まれているようです。

https://dokaestate.com/coffee-tour/

地図で見るとSan Jose空港からほど近くのように見えますが実際はかなり距離があります。私は市内からのスタートで現地の方の助けを借りながらようやく到着しました。バスで二回の乗り換えの後に到着です。

訪問する際にはアルサシアと合わせての訪問、そしてウーバーの利用がおすすめです。

ツアーが始まるまで、DOKAのコーヒーを飲みながら待ちます。


【コーヒーの木の成長】

今回は農園ツアーの中で紹介された木の成長について触れています。より写真が多く詳細な内容に関しては以下の記事にまとめました。

https://note.com/tik190/n/n9f3abe604a9d

軽い自己紹介の後にコーヒーの栽培サイクルの話からDOKAのこだわりまでを英語で説明してくれます。今回は説明してもらったコーヒーの成長を写真と共に確認していきたいと思います。

コーヒー豆は豆ではなく種です。種なので鮮度の良い生豆を湿度のある場所に十分な間隔をあけて置き、土をかぶせれば発芽します。

そんなコーヒーの木がどれくらいの期間をかけてコーヒーチェリーを生らせるのかを時間を追いながら見ていきたいと思います(成長にかかる期間は地域によっても違うようなので一例として挙げています)。

【2~3週間後】

コーヒーの生豆は土に撒いてから2~3週間後ににょきっと根が出てきます。根っこは地面に根を張りながらコーヒー豆を押し上げていきます(写真はパナマで撮影)。

【6週間後】

6週間くらいかけて土の中から茎が顔を出し始めます、それが私の手の小指と薬指に挟まれている状態です。この状態、ちょっとマッチ棒のように見えませんか?現地では「ホスホリート(マッチ棒)」と呼ばれたり、ヘルメットをかぶった兵士のようにも見えるため「ソルジャーズ(兵隊)」とも呼ばれています。

この後、写真で一番左に移っているようにコーヒーのからの中から子葉が現れます。使用は普段見ているコーヒーの葉のシェイプとは大きく異なり丸っこい形をしています。(写真はパナマで撮影したもの)

子葉:植物の種子の中にある最初の葉である。形は成体の葉と異なることが多い。

【2か月後】

2か月ほどすると「初期葉」が出てきて来ます。下の写真の右から三つ目のポットを見ると子葉の上に初期葉が出始めているのがわかると思います。このように子葉と初期葉がある状態が蝶のように見えるために「バタフライ」と呼んでいます(写真はアルサシア農園の苗)。

【4か月後】

子葉はその後おちます、4か月もたつと枝が生え始めます。この時に苗の大きさ、葉の色、全体の形をみて優秀な苗を選別します。

【1年後】

1年ほどたつと健康的な葉と値を備えた若木がポッドから農園へと植え替えられます(写真はルワンダ)。

【3年~】

3年ほどたつとコーヒーの木は成熟してチェリーをつけるようになります。
この後、コーヒーの木は20~25年ほど収穫できます。コーヒーの木自体の寿命は100年程度あります。が、30年以上たった木は生産性が低くなるので区画ごとに計画的に苗を作り、植樹をしていくことが農家の収入を最大化に必要になってきます。

これが種子からコーヒーの木としての一生が終わるまでのサイクルです。

次に成長したコーヒーの木が一年の中で、どのようにチェリーを成長させていくのかを追いかけていきます。

「コーヒーの栽培サイクル」

コーヒーは農園にデビューした後2~4年で収穫が可能になり、その後20年以上コーヒーチェリーを実らせます。今回は、コスタリカのコーヒーの木の一年を見ていきたいと思います。

本記事ではやや内容を絞って説明しています。より詳しい情報は以下の記事を参照ください。

https://note.com/tik190/n/nc3bcffcb1e48

コスタリカには雨季と乾季があり、雨季は5月~11月、乾期は12月~4月です。今回は収穫がひと段落した2月からの流れを追いかけます。

「2月~4月:剪定」

この期間にはコーヒーの木の剪定を行います。

剪定をしないとコーヒーの木は10m以上の高さまで成長するため樹高が高くなりすぎ収穫が困難になり作業性が落ちます。

「4月~6月:開花」

乾期から雨季への移り変わりの5月からコーヒーの木に花が咲き始めます。コーヒーは雨を浴びると降雨から3~10日すると花を開かせます。

「7月~10月:成熟」

コーヒーの花は受粉の後散ってしまいますがその後9か月ほどかけてコーヒーチェリーは成熟していきます。花が結実し、成長していく様子はもう一度下の写真が分かりやすいと思います。

一番左の花の状態から緑色の小さい果実ができます。時間をかけて緑色から赤色に変化する中で、少しづつ種が成熟し、果肉の部分も甘く果実として成熟していきます。

この成熟にかかる期間は標高が高いほど長くかかり、標高が低いと早く収穫することが可能となります。標高が高いほど寒暖の差が大きくなり、また空気の濃度が薄くなるためチェリーの成熟に時間がかかるためです。

時間をかけて成熟したコーヒー豆は豆の密度が高くなり、複雑な香りとなります。

「11月~1月:収穫」

11月ごろから標高の低い地域では収穫が始まってきます。小農園は自身の手で収穫しますがDOKAのような大規模な農園ではピッカーが出稼ぎにきます。

収穫に関わるピッカーのお仕事に関してはグアテマラのフィラデルフィア農園の記事をポストしたときに触れているのでそちらの記事もご参照ください。

https://note.com/tik190/n/n5b7d17add4ac

「DOKAでの栽培と加工」

彼らはカツーラ、カツアイを中心に栽培しています。コスタリカも他国と同様に収穫期になるとピッカーが農園に入って収穫を行います。若干他国と違うのは彼らの労働対価の計算方法が他国の㎏やポンド換算ではなく、伝統的に使われている収穫籠の数によって決定されるという点です。

収穫されたコーヒーはハニープロセスで精選されます。ハニープロセスの説明は同じくコスタリカのアルサシア農園の記事を書いたときのものも参考にしてみてください。

https://note.com/tik190/n/nc4131b5353bc

特長はミシュレージをどのくらい残すのかを調整することで風味をコントロールできる。そして水の消費量が少ないため環境負荷が小さいということです。

湿式のミルが稼働しており、こちらのミルは120年前から稼働しているコスタリカ最古のミルだということでした。きちんと比重やスクリーンで選別をして発酵、乾燥工程にもっていきます。精選に使用した水の再利用も行い環境面に関する認証も受けているということでした。


こちらの農園では基本的にはナチュラルによる精選は行っていないとの事でした。
コスタリカお得意のハニー製法で理想のコーヒーづくりをおこなっているそうです(日進月歩の国なので今どうなのか分かりません)。
コスタリカ最古の精選設備を見せていただくとともに、パティオや人工乾燥の設備も見ることができます。パティオでは自分の手で豆を撹拌させていただくこともできます。

DOKAでは自社でコーヒーの焙煎を行い販売もしています。

DOKAには焙煎機もおいてあり、コーヒーの販売されています。PROBATのロースター欲しい。。。どこかでロースターのことも文章にしたいと思っています。

コーヒー農園を持っているところでは珍しく、DOKAはディカフェの豆も扱っていました。

彼ら曰く、デカフェの豆は自分たちでは処理ができないこと、そして一回お願いするとかなりの量ができてしまうからそんなに種類作っていないよという話を聞きました。

その時はふんふんと聞き流してしまいましたが、もともと食品の研究をしていたこともあってどうやってカフェインレスのコーヒーを作るのか、興味があったので調べてみました。

ここでは軽くしか説明していません、本格的に知りたい方は以下の記事で

デカフェコーヒーの製造方法: https://note.com/tik190/n/nbb7968f93aad 

「デカフェ豆の製造方法」

今回はその中でも現在でもつかわれている3種類の方法を説明していきたいと思います。

「①ダイレクトコンタクト法」

塩化メチレン(ジクロロメタン)などの低沸点の有機溶媒*と水の混合液に生豆をつけてカフェインを抽出し、加熱して溶媒を完全に飛ばす方法が用いられています。
海外で販売されているスターバックスの豆は塩化メチレンを用いてカフェインの除去をしています。ちなみに塩化メチレンの沸点は39.6℃、焙煎の工程で豆は200℃以上まで温度が上昇するために塩化メチレンは検出できないほど微量になります。

*溶媒にエチルアセテートを使用したエチルアセテート法という手法も欧米を中心に出回っています。

「②スイスウォータープロセス」

生豆をお湯に浸すとコーヒー成分が溶け出します。この中からカーボンフィルター等を使用してカフェインを選択的に抽出し、カフェインを除去した後で豆を再度抽出液に浸して風味を戻します

スイスで開発され1980年代からアメリカでより安全な脱カフェイン法として普及しました。

「③二酸化炭素抽出法」

超臨界二酸化炭素はコーヒーの中から非常に高い選択性でカフェインを抽出することができ、また焙煎の時に二酸化炭素は抜け、毒性もないためより安全性を高めたデカフェ豆にすることができます。

3種類のデカフェ方式を見てきましたが、消費地の法律によって使用できる薬剤が決まっています。日本ではダイレクトコンタクト法が許されていないため、ダイレクトコンタクト法のデカフェは見ることがありません。

「まとめ」

DOKAは規模が大きい農園だけあって、コーヒーのことをしっかりと基本から教えてくれます。アルサシアとともに、コーヒーの基本的な情報を知りたいときにはとても心強い農園です。

スタッフの方もラテン感あふれるホスピタリティーたっぷりな方が多く、帰りのバスでお友達もできました。宿泊先まで送ってくれた上、一緒に夕ご飯。

コスタリカは治安もよく観光産業が発達しているので、コーヒーラバーの最初の訪問先におすすめの国です。

今回の記事ではコスタリカのアラフエラにあるDOKAの農園を訪問しました。DOKAの農園ではコーヒーの木の収穫サイクル、②コスタリカ最古のハニープロセスの精選機械を見ることができます。

また今回の記事ではDOKAでも販売されているデカフェの製造方法にも触れてみました。

夜寝る前にコーヒーの香りを楽しみたい!そんな時にも心強いデカフェのコーヒー、どのように生産されているかを知ることでもっと楽しみが深くなると思います。

今日もコーヒーとともに豊かな一日を!

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