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【連載小説】俺様人生 vol.22「出ていけ!」

「レンくん、ごめんなさい!本当にごめんなさい!」

アスカは謝り続けたが、俺は許す気は全くなかった。

「いつからだよ……?いつからあいつとそういう仲だったんだよ?」

「ごめんなさい、ごめんなさい!彼がこっちに遊びに来るって言ったときからなんだかいい雰囲気になって……でも、レンくんを裏切るつもりはなかったの!本当にごめんなさい!」

「それでここ数日浮かれてたってわけか。」


家につくなり、俺は我慢ができなくなり、アスカの物を玄関に放り投げて叫んだ。

「でていけ!もう二度と帰ってくるな!」


アスカは泣いている。

また過呼吸になるんじゃないかというくらい泣いている。

過呼吸になったって知ったことか!

アスカはふらふらと立ち上がると財布と携帯を持って出ていく。


俺は怒りに任せていろんなものを蹴り倒した。

部屋の中はぐちゃぐちゃになる。


「アスカ……アスカ……ちくしょう!」

涙と鼻水が一緒に流れ落ちる。

俺はそれでも構わずに物を投げては蹴って、を繰り返していた。


しばらくすると異様に疲れが出てきて、俺は風呂にも入らずそのまま布団に倒れこんだ。


異変に気づいたのはそれから二時間後だった。


アスカは戻ってきていた。

ウォッカのビンを抱え込み、周りには薬という薬のからが散乱していた。


また自殺未遂だ。

俺は一瞬迷った。

このままにしておけば、アスカは死ぬかもしれない。

でも、死んだっていいじゃないか、と。


しかし俺は、やはりアスカを見殺しにすることはできなかった。

アスカをおんぶすると車へ乗せ、薬のからを集めてビニール袋に入れた。


前にも同じように自殺未遂したことがあったので、手慣れたものだった。


そのまま救急病院に運び込む。

アスカの場合は精神疾患があるため、普通の救急病院では受け付けてくれない。

俺はアスカを乗せ、国立病院まで車を走らせる。

アスカの呼吸音は聞こえている、大丈夫だ。


病院へ運び込むと、車椅子を持ってきてもらう。

持っていたウォッカのビンと、ODした薬のからを医者に見せる。


医者は

「睡眠薬で死ぬほどのレベルではないようですが、抗ヒスタミン剤を飲んだ量が心配ですね。後遺症も覚悟なさってください」

と言った。

ICUで点滴を続けるアスカ。

俺はいつの間にか、いつものようにアスカを心配していた。


アスカが目を覚ましたのは翌日の深夜のことだ。

俺は一旦家に帰り、仮眠をとってまた病院にきていた。


「今目を覚まされました。一般病棟への入院が2、3日必要になります。ここに書いてある物を準備して、明日の午後1時過ぎに届けてください」

看護師から説明を受け、また一旦帰る。


また今日も一人で眠る。

隣にアスカがいないだけでこんなに寂しくなるなんて。


前にも自殺未遂で入院したことはあったが、こんな寂しい気持ちになるなんて思いもしなかった。


俺は寂しい気持ちを抱くように、アスカの枕を抱き締めて眠った。


翌日の午後、言われた通りに物を準備して持っていく。

アスカはもう起きていて、後遺症などもいまのところ心配ないと言われる。

アスカは運がいい。

いつも倒れたりしても周りの人たちが気づいてすぐ通報してくれたり、前の自殺未遂のときも後遺症が残らなかった。


でも、運なんていつまで続くかわからないものだ。

アスカにこれ以上自殺未遂をさせないように、俺が支えていかねば。

俺はアスカのしたことは許せないが、アスカを支えていくのは俺しかいない、と考えていた。


アスカは起きていたが、まだ点滴を打たれていた。

俺の姿を見ると泣き出し、興奮状態になって、ナースコールをするはめになった。


「2、3日すれば落ち着きますよ」

と医者から言われ、俺は仕事に戻った。

休んでいた分、仕事はたんまりあった。


俺はため息をつきながら仕事にかかったのであった。

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