エリアAからB、そしてCへ
そこは明確な線やゲートや壁で仕切られていると思っていた。ヘブロンのイブラヒーム(アブラハム)モスク近辺のエリアCはチェックポイントだからけで辟易したのを覚えていて、それが再訪したい気持ちを明らかにブロックしている。
わたしは黄色の開いた門を歩いてエリアAを抜けた。左にはモバイルショップがあり、どこででも見かけるポップなアラビア語のポスターがありエリアを示す看板や門を写さずにその部分だけを写真として切り取ればアラビア語圏の国としか認識できないだろう。
心なしか、歩いている歩道のアスファルトは整備されているような気がする。気がするだけなのだが。
路面店の小さな商店があった。喉の渇きと早々とわたしよりも先に進んだ太陽はわたしの頭上を照らし気温も順調に上昇していた。
水が飲みたい。
サラームアレイコム。お水ありますか?冷えたやつ。
冷蔵庫にあるよ。どっから来たの?
オールドシティから歩いてきたのよ!
ありえないよ。暑いだろう。さあ、座って。どこに行くんだ?
サマリア人のとこ。
ゲリジム山?入場券が必要だよ。ここでも売ってるからここで買ってよ。でも、何もないよ。ただの山だよ。
うん。でも行ったことないし、サマリア人ってなんだろうって興味持っちゃったからね。行ってくる。チケットちょうだい。
じゃあ、気をつけてね。帰りも寄りなさい。
シュクラン!ありがとう。
店を出てただ前に進む。サマリタンの村と書いてある看板のようなものがある。そして今では見かけない電話ボックスというかキオスクというか、小屋みたいなものがあった。
こんにちは。どこに行ってるの?
サマリタンの山よ。
そうか、サマリタンの博物館もあるよ。ほら。
おじさんはそう左を指差した。そして後ろを振り返って
あの黄色い線、あれがエリアB、そしてここがエリアC。ここをまだまっすぐ進むとゲリジム山さ。
エリアBとエリアCってどう違うの?
何も違わないさ。どこに行ってもイスラエルが支配しているだろ?僕らは二重に支配されているのさ。
二国共存ではなく、二重支配・・・八方塞がりの現状
エリアAは気がついたけど、BとC全く気付かずに越えていた。ヘブロンでの入植地、そしてエリアC、狂信的ユダヤ教徒たちの集団を目の当たりにし対立や境界は明らかに目に見えるもの、肌で感じられるものだと思い込んでいたがここは違っていた。それが良いことなのか、悪いことなのかそれすらわたしには判断できない。
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