シェア
千馬
2020年10月27日 13:26
「開いてくれるまで寄り添ってください。 しかし無理強いはいけません 場合によっては逆効果になります」と注意書きがある。独特な雰囲気を醸し出すこの扉。見るからに大きく、厚く、重そうな見た目とは裏腹にどこか危うく、繊細さが片付け切れていない独特な雰囲気。鍵を開けてもらえる日は来るのだろうか、とつい弱音を吐きそうである。気分はまるで登山をする前の気分だ。登り始めたら後戻りはできない。失
2020年10月16日 13:27
人はノートに彩りを与え続けている。ある意味デザイナーなのかもしれない。人によって色、デザイン、厚さ、大きさ、長さ、全てが違うこのノート。まっさらだった僕のノートも、随分と沢山の色が重なっている。決してきれいとは言えないかもしれない。けれども、僕はこの色が好きだ。誰とも被ることのないこの色が好きだ。これから先このノートがどれほど厚く、大きくなるかは誰にも分からない。ただ、希望や欲望を
2020年10月12日 10:10
シャワー浴びて髪を直して前の日から入念に選んだ服を着て時計を着けて靴を履いたよし、準備万端だ。行ってきまーす、と胸を躍らせ家を出る。その途端、冷たく厳しい風が通り過ぎ、髪をぐちゃぐちゃに崩した。めちゃくちゃ寒いこの風が僕の浮わついてる心を落ち着かせる。あの白い季節はもう間近になってきた。
2020年10月7日 07:29
時計を見た。もう日が暮れてもおかしくない時間だ。やばいっ間に合わない、と慌てて支度をし車を走らせる。こんなにギリギリでは初対面なのにあの子に申し訳ないな、そんな思いが頭をよぎる。かと言って引き返すには心惜しい。自然と手には力が入り、ハンドルには手汗が残る。「目的地に到着しました。お疲れ様でした。」ナビの声が車内に響いた。時計の針は閉店5分前ギリギリだ。急いでお店に入ると、ほわわっとあ