供給能力不足の経済(インフレ経済)

日本は、約30年間、需要不足のデフレ不況であった。しかし、今は、これが供給能力不足のインフレ経済に変わりつつある。どのような供給能力が足りないのか?説明していきたい。

人手不足

広範な分野で人手不足である。AI人材だけではなく、土木工事や大工、漁業や農業などの職人系も人手不足である。今までは、職人系の仕事は高齢者が我慢して働いてきたが、もう限界だろう。女性活躍や移民受入をしないと、老朽化したインフラが崩壊したり、住宅が建たない、食糧不足などの問題が深刻化するであろう。

資源不足

EVやFCV、半導体など、技術は成長している。しかし、モーターや電池などにはレアアースが必要だ。しかし、レアアースは、中国など一部の国に偏在している。米中経済対立で、アメリカ側に組みすると、中国からレアアースを輸出してもらえなくなるかもしれない。日本はアメリカと中国の間で板挟みになる危険性がある。レアアースの中国依存度を減らすために、都市鉱山や海底レアアース探索など、資源の不足を補う政策が必要だろう。

インフラ不足

日本は、アメリカなどと比較して、ハブとなる空港が少ない。港湾も、韓国のジンセンやプサンなどと比較して大型タンカー・大型コンテナ船が入れない。そのため、韓国の港で小分けしてから神戸や横浜に入港する船が多いという屈辱を味わっている。横浜港や神戸港、名古屋港、博多港を、直接、大型船を受け入れられるうに大胆な改修が必要だろう。熊本県のJASM(TSMC子会社)の工場周辺も、そこから熊本空港までは交通アクセスが極めて悪く、福岡空港のほうが早く着くほどだ。道路や空港などのインフラも改善が必要だ。もちろん、誰も使わない道路をつくれとは言わない。必要な道路をつくるべきだ。

アイデア不足、リスクテイク不足

日本人は、終身雇用にしがみつき、新しいアイデアを出したり、リスクテイクをしない傾向がある。だが、これは労働者側だけに原因があるわけではない。例えば、労働者が画期的なアイデアを思いついて、企画書をプレゼンしても、頭の硬い部長などがむげに却下することは多い。「前例がない」が奴らの合言葉だ。そのため、労働者も、「じゃあ、無駄な発言をして煙たがられるよりは、言われたことだけやって定年退職までしがみつこう」となるだろう。日本の金融環境も課題だ。銀行は基本的には担保主義であり、ビジネスモデルや技術の目利きができない。起業などで失敗すると敷かれたレールから外れた人材となり、もう再就職は難しい。日本企業(JTC)は起業などをする活発な人は嫌いだからだ。そのため、優秀な人材は宝の持ち腐れとなり、飼い慣らされて、一生を終えることになる。

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