日本人はイジワル?「スパイト行動」が多い傾向。転職者が多いと余計に悪化?
昨今、行動経済学という、経済学に心理学や行動科学の要素を組み込んだ研究が活発化している。そのような面からの研究が実施されたことがあり、日本人はアメリカ人よりも「自分が損をしてでも、同僚などのライバルにダメージを与えたい」と考える傾向があるとのこと。
昭和時代は、転職が一般的ではなかったため、そのような問題行動をとると、会社で「問題社員」として制裁を受けるのが普通であっただろう。しかし、今は未曾有の人手不足であり、しかもジョブ型雇用に移行してきている。そのため、ITなどの専門性がある優秀な人材は、スパイト行動をとっても、「転職すればいいや」と考えてしまうかもしれない。
これはあくまでも私の憶測にすぎないが、これからの日本は、同僚を信頼してチームプレーで働くことが難しくなっていくと思う。評価を低くされた社員が、「不当に低く評価された」と考えて、何らかのスパイト行動に出る危険性はあると思う。
そして、一番やっかいなのが「被害者ポジション」をとるスパイト行動だ。具体的には、相手をわざと怒らせる、などの初手をうち、相手が怒って大きな声を出したりしたら「パワハラされた」と、被害者ポジションをとるのだ。自分は被害者なので、相手の同僚のほうがダメージは大きくなる。
この罠に引っかからないためには、嫌がらせを受けても「反応しない」「無視する」だ。決して相手の罠に引っかかってはいけない。おそらく、スパイト行動をする人は、「ハラスメントには引っかからない範囲内」の小さな嫌がらせ(マイクロアグレッション)をしかけてくる。その場合、通報もできないので、無視するしかないのだ。例えばの話だが、セクハラに引っかからない程度に「容姿」に関する発言をする、などだ。
ジョブ型雇用や成果主義は、日本の労働環境が悪化する危険性もはらむ。実力主義は大切だが、低評価になった社員にもしっかりとケアをして、リスキリングの機会や再挑戦の機会を与えないと、「スパイト行動をして転職」という悲劇が生まれるかもしれない。これはもう、一人一人に注意するよりも、「仕組み」でコントロールするしかないのだ。一人一人に注意をしても、モグラ叩きのようにきりがないだろう。