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言葉に出来ない=悩みはいつまでたっても悩みのまま

悩みをうまく話せない相談者


悶々と考えるうちに、その考えが頭から離れず、夜しっかり眠れなかったり、仕事が手につかなかったり。また、不安やイライラなどの気持ちで心のエネルギーも消費されてしまう…。
皆さんにもそういう経験が一度はあるのではないでしょうか?

私は人から相談を受ける仕事をいていますが、悩みを相談に来る多くの人が、その悩みを頭の中だけで考えている傾向がみられます。
「その悩みを、誰かに相談しましたか?」と尋ねると、ほとんどの方が「人に話すのが苦手だからしていない」「こんなことを相談してよいか分からなかった」「相談できる人がいない」などの理由から、誰にも相談していないケースが多いです。
「相談した」という人も、「深刻にならないよう、さらっと話しただけ」「何かのついでにちょっとだけ伝えた」など、しっかりと気持ちが済むまで話せている人は出会ったことがありません。
ましてや、「何かに書き出したことがありますか?」と尋ねると、ほぼ全員がNOという答え。
悩みを抱える人、また悩みがちだと感じている人のほとんどが、言語化する習慣を持っていないのだなぁと、つくづく感じます。
そこで、言語化による悩み解消のメリットをご紹介します。


言語化(書き出す・話す)することのメリット

①悩みの可視化


思考の95%は無意識で処理されるといいます。その無意識下にあるネガティブな思考や感情を自分で改善したくても、意識出来ないままではどうすることもできません。
「言語化」とは、輪郭のないモヤモヤと滲んだものにくっきりと輪郭をつけるようなものだと私は思っています。「このモヤモヤは、この言葉」というようにひとつひとつのそれに輪郭でくくり、言葉のラベルを付けるようなイメージ。
つまり、言語化により「漠然として捉えどころのないもの」が、客観的、具体的に捉えらえる、取り扱い可能になるです。

漠然と「今の仕事が嫌だ嫌だ、仕事を変わりたい」と悩んでいた相談者が、「今の仕事の中でも特に資料作りが、自分にスキルや経験がなくうまく進められないので、苦痛だ」「チームのメンバーは皆優しく人間関係は悪くないんだよね」と言語にしたとき、ふっと「あぁ、自分はこの仕事すべてが嫌なのんではないんだなぁ」と話されたことがありました。
自分で悩みを言葉にしただけですが、「こんな風に思っていたんだ」と客観視でき、自己分析が進み、自分でどうしたらよいかを話しだしました。


②行動化につながる


言葉にできない悩みはいつまでたっても悩みのままです。
しかし、それを言葉化した瞬間に、その悩みは客観的に見える・確認できる事柄になりましたね。つまりそれは、もう「どうしていいか分からない」状態ではなくなったということです。

この相談者も、
「資料が上手く作れるようになるにはどうしたらいいんだろうか」
「上手なメンバーにコツを聞いてみようかな」
「スキルを学べるような研修を受けたら、どうなるだろう」
と独りでに考えを口にし始めました。
「嫌だ嫌だ」と悩んでいた状態から一つ次のステージ、「どう行動したらそれを解決できるのか」という話をし始めたのです。
これこそが言語化のメリット、行動に移せるようになるということです。
ここまでくると、もう悩んでいたことの「苦しい」気持ちは変化していることが見うけられました。

③心が軽くなる、ストレス解消


人に話せず一人で我慢してきたその悩み。
その自分の頭の中にある「苦しみ」「もやもや」を言葉にして吐き出していく。そうすると何が起こるかというと、それが他者に共有され、「それは辛かったね」「悩んでいたんだね」と共感が生まれていきます。
これが、人に話す言語化におけるメリットの一つ「心が軽くなる」です。他者からの共感を受け、「自分の悩みを分かってもらえた」「自分は一人で悩まなくでいいんだ」と、体内のガスが抜けるように、心がスーッと軽くなるのです。

書くという言語化によっても、心は軽くなります。文字に起こしてそれを眺めるだけで、その悩みの渦から出て遠くから客観的にそれを見ている感覚になり、力んでいた力が少し抜けるものです。
この方法でおススメは、とにかく書き出した紙を最後は丸めてゴミ箱に捨ててみましょう。ふうーっと息を吐くような感覚、「ま、いっか」「なんとかなるでしょ」「やれる範囲でいっか」と少し気持ちが楽になります。

この相談者も、
「なんとかやってみようという気持ちになりました」と言って部屋を後にされました。強張っていた表情はだいぶん和らいでいました。


初めの一歩は気楽に、練習がとにかく大事


言語化を今までしてこなかった方は、人に話すことをとてもハードル高く感じている方が多いように感じます。
そんなときは、まずは書くことから始めましょう。
一人でも出来るし、仕事の合間や夜寝る前、起床後など、ちょっとした時間にいつでもできます。悩み癖体質の方であれば、毎日日記をつけることもおすすめです。日記のポイントは、ポジティブな言葉で締めくくることと、閉じるときは必ず「これにて一件落着」など終了の合図になるお決まりの言葉を口に出して言うことです。今日あったこと、自分の気持ちを毎日書き起こすこの習慣が身につくと、いつのまにか悩み体質が少し改善されてる!なんてことが起こるかもしれません。

書くことを続けると、出来事や気持ちを表現する語彙力が育ってくることも実感されると思います。言語化が苦手な人の中には、語彙力が乏しい・幼いと感じる人も少なくありません。「言いたいことはあるが上手く表現できない」「なんか、結構、~とか、嫌だ」などあいまい言葉で、なんとなくぼんやりとした表現しかできないので、悩みの正体を自分自身でも正確に捉えられていないのです。

書き出し、人に話す中で、今回お伝えした言語化のメリットを実感して頂きながら、悩みを解消していく自分のスキルをちょっとずつでもアップしていただけたらと思います。
何事も最初の一歩を踏み出す勇気と、練習が大事ですので、今悩みが堂々巡りして辛いと感じている方は、試してみてはいかがでしょうか。



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