オワリはじまり30 「内科医からの電話は突然に」

12月18日月曜日の昼休み中、僕の携帯に不在着信が入っていた。
電話番号から見て携帯電話からの発信だということはすぐにわかった。
普段メッセージやSNSアプリでの電話でやり取りする僕は、基本的に知らない番号からの不在着信は無視をすることが多い。

しかし、今回に関しては祖母の入院手続きの際に僕の携帯番号を何度か書類に書いたことや、またその電話番号から短いスパンで3回も発信されているという点からすぐに出ざるを得なかった。

「どうせばあちゃんが暴れたんかな?でもなんで携帯から?」

電話をかけ、要件を聞くまでの僕はその程度に思っていた。

土曜日の祖母の入院手続き中、僕は会社のグループラインに祖母が骨折して入院になったこと。認知症の症状で暴れた際に緊急で対応しないといけない場合があるかもしれないので、有事には迷惑をかけることがあるかも…と伝えていた。

そして今朝に社長と同僚たちに事情を再度共有して皆から了解を得ていたのだ。

「もしもし、こちら〇〇○さんのお電話でお間違えなかったでしょうか?」
「私は〇〇病院で内科医をしております、〇〇と申します。」

まさかの内科医からの電話だった。
病院の関係者とは思っていたが、要件は祖母が暴れたから対応してくれではなかったのだ。

どんな要件だったかまとめると、
・心臓の手術が必要
・手術はかなり大きなものになる
・優先度的には大腿骨→心臓
・正直かなりヤバい状態であり、いつ血管が破裂してその時が来るかわからない
・急になったものではない、長年の月日を経て今の状態まできた
・家族が手術を望むのかどうかを知りたい(当の本人は認知症のため)

実は土曜日に病院に行った際、担当医から祖母の心臓がかなり大きいことと、大動脈も広いことを指摘されていたのだが、その時は担当医は心臓の担当ではないため、手術の可能性があることだけ言われていた。

おそらく今日の午前中、その担当医から今回電話がかかってきた内科医に共有されたのだろう。

正直、先日の入院手続きの一件で僕は土日にしっかり休めた感がなく、疲れている。そんな疲れている状態で今日新たに心臓にも問題があることを聞いて頭が追いつかなかった。

大腿骨の手術の件もそうだが、僕は祖母の介護をメインで行ってきたが金銭面については1人での決定権がない。なので今回の心臓の件に関しても、父とも電話で話してほしいと伝えた。きっと父が仕事中で携帯に出られなかったから、僕に電話があったのだろう。

この電話の後、僕は通常通り午後の勤務もしたのだが、正直集中できなかった。

「仕事と私情は別、今は仕事に集中しないと!」
と何度も何度も自分に言い聞かせたが、まだ僕の社会人経験では難しかったようだ。

考え事の内容は、

「なぜ、この若さで僕は祖母の入院手続きや対応、そして決定までを委ねられているのだろう?」
という、介護中にも感じた我が家の家庭事情について。

「ここまで心臓の状態が悪かったとは…骨折の痛みを感じないことと同様これも認知症の症状?」

「もしそうだとしたら、認知症はなんて恐ろしい病なんだ。」
という、介護を通してある程度解ったつもりだった認知症という病の実情。

早いもので今年も13日を残すのみ。
僕は少し前まで年末年始をどう過ごすかを楽しみに考えていたのに、今は介護中の時同様に祖母のことをずっと考えている。



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