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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 07 不確実性とのつきあい方

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

不確実性とは

第6回まで、
不確実性の早期排除をプロジェクトマネジメントの目的に置き、
・技術的な不確実性(実現性の確認)
・部門間に潜む不確実性(結合試験調整)
を例にあげ、

プロジェクトマネジメントの代表的な手法である
ファストトラッキングについて、単なるリカバリー策として意味ではなく、
不確実性の排除との観点での意味について考察してきました。

では、
不確実性とはいったいどのようなものなのでしょうか。

それは、
QCDバランスの責任を負っているプロジェクトマネージャーにとって、
よくわからなこと
です。

重要なことは、
「プロジェクトマネージャーにとって」という部分です。

具体的には、
プロジェクトマネージャーがQCDバランスの構成要素を見渡して、
QCDバランスを確認しようとしたときに、
プロジェクトマネージャーにとってよくわからないこと、
プロジェクトマネージャーがよく見えていないこと、

それがそのプロジェクトにとって、
QCDバランスをおびやかす不確実性です。

余談ですが、
プロジェクトマネージャーがよくわからないQCDバランスの構成要素を

プロジェクトマネージャー以外のメンバーがよく知っていても、
プロジェクトマネージャーがわかっていなければ、
QCDバランスがとれていることは確認できません。

ただし、
最初からすべての不確実性を取り除くことはできないため、
不確実性の要素については、想定を置き、

プロジェクトマネージャーとして
QCDバランスを確認して「よし、いける!」と実感することが
そのプロジェクトの成否のカギとなります。

どのようにして、
「よし、いける!」と実感するのかについては、
 機会をみて考察しようと思います。

不確実性とのつきあい方

それでは、
こうした不確実性とどのようにつきあえば、むきあえば
よいのでしょうか。

基本的に3つのプロセスの繰り返しでつきあうことになります。

1.不確実性の検知
2.リスクの早期顕在化
3.顕在化したリスク対応

1.不確実性の検知

プロジェクトの立ち上げ期に
プロジェクトマネージャーにとってよくわからないこと、
すなわち不確実性を検知します。

具体的には、
1週間~2週間程度の粒度で、プロジェクト全体のWBSを作成し、

その過程で、
自分にとってよくわからないこと(=具体的な作業イメージがわかない等)を不確実性として、摘出していきます。

例えば、自分にとって
・技術的な実現性がよくわからない
・具体的なオペレーションがよくわからない
・そもそもプロジェクトにおける作業イメージが湧かない
などの観点です。

2.リスクの早期顕在化

これは、これまで見たきたように、
不確実性の潜むタスクを前倒すことによって、
リスクを早期に顕在化することができます。

ただし、これまで見てきたように、組織上の制約から、
各部門にも、プロジェクトマネージャーにも、
リスクを早期に顕在化させるようにタスクを前倒す
モチベーションがないことが最大の課題です。

3.顕在化したリスク対応

リスクが顕在化したのちの対応は
みなさまが日々取り組まれている課題対応と同じなので説明を割愛します。

このように、
顕在化後の課題対応は普段から取り組んでいるのですが、

なりゆきで発生した課題に事後的に対応するのは、
プロジェクトマネジメントが機能していない状態です。

プロジェクトマネジメントとは
なりゆきで発生した課題に事後的に対応すること。
と誤って理解してはいないでしょうか。

プロジェクトマネジメントの機能とは、
不確実性を事前に検知し、
課題の発生タイミングを意図的に前倒すことなのです。

もちろん、
プロジェクトマネジメントが機能していても、
検知できない不確実性もありますが…^^;


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