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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 08 W B S

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

タスクとQCDバランスのQ

さて、そもそもタスクとは何でしょうか。

タスクとは
プロジェクトの最終成果物をつくりあげるために必要なもので、
WBSに縦に並ぶタスク全体がプロジェクトのQにあたります。

なぜ、
WBSに縦に並ぶタスク全体がプロジェクトのQにあたるのか、
少し補足いたします。

Q、すなわちQuality(品質)という表現だと
プロジェクトの最終成果物であるモノや機能とつながりにくく、
わかりにくいですが、Qは品質を含むモノや機能を指します。

また、
品質を含めプロジェクトの最終成果物を作り上げるのは、
WBSに縦に並ぶタスク全体そのものであることから、
WBSに縦に並ぶタスク全体がプロジェクトのQにあたることになります。

WBSにおけるタスクの配置

ちなみに、
仮に同じプロジェクトであっても、
プロジェクトマネーシャーによって作成するWBSの形が
異なってくることをご存知でしょうか。

前項の説明では、
同じプロジェクトであれば、WBSに縦に並ぶタスク全体も
同じであることからWBSも同じ形になるように思われますが、
実際に同じになることはありません。

なぜでしょうか。

それは、
いつ開始しても良いタスクの配置の仕方が異なるためです。

例えば、
第7回までで見てきた「実現性の確認」や「結合試験工程の調整」は、
それぞれの後工程開始までであれば、いつ開始しても良いタスクですが、

プロジェクトマネジメントの目的である不確実性の早期排除との観点では、
どのタイミングに配置すべきでしょうか。

不確実性の早期排除との観点に立つと、
「できるだけ早く」開始することがWBSにおける正しい配置となります。

多くの場合、
当該作業の効率に着目して、
いろいろなことの決定を待って「できるだけ遅く」配置をしがちですが、
プロジェクト全体の効率を優先すると「できるだけ早く」配置すべきです。
(早いタイミングでのリスクの顕在化が全体の手戻りを削減します)

MS Projectのタスク配置属性

余談ですが、
MS Projectのタスク配置属性は、プロジェクトの開始日を指定した場合、
追加タスクの配置属性の初期値は「できるだけ早く」となります。

一方、プロジェクトの終了日を指定した場合、
追加タスクの配置属性の初期値は「できるだけ遅く」となります。

ちなみに、
MS Projectでは前述の配置属性を前提に、
タスク間の先行関係を設定してWBSを作成すると、リードタイムの変更や
先行関係の変更に応じてタスクが自動的に配置されますが、

開始日、終了日を設定してしまうと、
「できるだけ早く」や「できるだけ遅く」という配置属性は機能せず、
 当該タスクは、指定された開始日・終了日に固定的に配置されます。

タスクの自動配置機能を使わない場合、
MS Projectは単なるお絵かきツール(ExcelやPwoerpoint相当)で、
使う意味がありません。


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