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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 02 不確実性の早期排除

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

プロジェクトにおける不確実性

第1回では、
プロジェクトマネジメントを機能させるため、
しかるべき具体的な目的を「不確実性の早期排除」といたしました。

不確実性の早期排除との目的を、常に意識することで、
プロジェクトマネジメントが機能をはじめると、
不確実性は、プロジェクトの前半で減少していきます。

一方、
不確実性の早期排除との目的が、意識されていないと、
プロジェクトマネジメントが機能せず、
不確実性(=リスク)が残り続け、QCDバランスが危ういまま、
プロジェクトの後半に入っていきます(下図参照)

プロジェクトマネジメントは、
リスクの顕在化タイミングを、意図的に早期化し、
予算にも時間にも余裕の残っているプロジェクト前半にすることで
不確実性を早期に排除し、QCDバランスの調整を容易にします。

一方、
プロジェクトマネジメントが機能せず、成り行きのままの場合、
リスクが顕在化するタイミングはプロジェクト後半になります。

プロジェクト後半は、
予算も時間もないため、QCDバランスの調整は困難になり、
いわゆるデスマーチが始まります。

良い結果であろうと、悪い結果であろうと、
リスクの顕在化タイミングを前倒すこと(不確実性の早期排除)が
プロジェクトマネジメントの要諦となります。

現場の状況

実際の現場でも、
こうした「リスクの顕在化タイミングの前倒し=不確実性の早期排除」が
意識されておらず、のプロジェクトマネジメントが機能していない場面を
みかけます。

理由は、「不確実性の早期排除」との観点で
プロジェクトマネジメントが理解されていないため、

・WBSが作成されていなかったり、進捗・課題管理されていなかったり、
・そもそも起点となる「不確実性」が摘出されてなかったり、

するためです。

なぜでしょうか。

それは、第1回の説明と同様、
プロジェクトマネジメント教書であるPMBOKにおいて、
各プロセスが「不確実性の早期排除」に結びつけて説明されていないため、

各プロセスは手段として形式的な使われ方に留まり、
目的の「不確実性の早期排除」との観点では実践できていないためです。

結果、
残念ながら、不確実性の早期排除=リスクの顕在化タイミング前倒しは、
プロジェクトマネジメントによって実践されることはなく、
なりゆきプロジェクトの後半でリスクが顕在化することになります。

PMBOKの補助線としての不確実性

第1回の説明の繰り返しとなりますが、
PMBOKの説明に、「不確実性の早期排除」との補助線を引くことで
それぞれの手法が有機的につながって機能するようになり、
以下のようなことを理解して実践できるようになります。

・どのようにQCDバランスを確認すればよいのか
 何をもってQCDバランスがとれたと判断できるのか

・どのようにWBSを作成すればよいのか、
 どうすれば不確実性を早期に排除し、リスクを早期に顕在化できるのか

・どのように進捗・課題管理すればよいのか
 どうすれば、不確実性を早期に検知し、課題解決を推進できるのか

本講では、「不確実性の早期排除」との補助線を通して、
あらためて体系的にプロジェクトマネジメントを説明していきます。


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