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能力の低い経営者が、誠意の気持ちだけで会社が大きくなった話
こんばんは、経営者のこうたです。
今年最後の記事は、今年私が受けた最大の評価に関して紹介したいと思います。
※お世話になっている方=Cさん
1.企業は右肩上がりになると雑になる
起業当初、お世話になっているクライアントの担当者に教えていただいたアドバイスです。
起業する前から周囲の動きは観察していたので、そのアドバイスはすごくしっくりきました。
「最初は代表や役員が積極的に対処するが、だんだんと責任能力の低下が目に見えてくる。派遣してくるスタッフの質も落ち、雑に振ってくるようになる。気をつけてね」
捉え方によっては脅しにもとれる内容。
要するに、「うちの会社相手にそんなことをするなよ?」と言っているように当時は聞こえました。
もちろん牽制の意はあったかもしれませんが、Cさんと喫煙所でいろいろと会話をした中で、今でも鮮明に覚えている内容です。
元々最小の状態からのスタート。
言われるまでもなくその気持ちでいたものの、今でも質を落とすことなく貫けているのは、再認識させていただいた言葉があったからだと思います。
2.全力の謝罪と全力の感謝
Cさんとは、当時だとすでに4年ほどお世話になっていた方。
それだけの期間で頻繁にお仕事をいただいていると、何回かご迷惑をおかけしたことはありました。
逆に、あちらにメリットがないのに、私たちのために動いてくださったこともあります。
私は嘘をつくのが苦手です。
嫌いというより苦手なんです。
感謝をしていない時に「ありがとう」は言いませんし、悪いと思っていないのに「すみません」を言うことはありません(社交辞令で言うことはありますが)。
ゆえに私が謝罪と感謝を伝える時は、本気の言葉です。
どうやら、その本気の感じが伝わってくるのだとか。
私も最近になって、自分より小さな会社の人に出会う機会が増えてきたところ、その意味が少し分かりました。
なんか軽いんですよね。
とりあえず合わせているなーって感じがすごく伝わります。
私は早々に正社員を辞めてしまったので、真似できる先輩や上司がいませんでした。
おそらく下手な人に当たっていたら、悪いところを引き継いでいた可能性があります。
自分の部下にはそうならないよう、しっかりと教えていきたいなと思いました。
3.ゴリゴリ営業をしない
よく言われるのは、「今時の若い経営者にしては珍しい」です。
これはCさん以外にも言われたことがあります。
「利益を強く求めないのは経営者としてどうなんだ?」と、その時は少し思いました。
実際に成功している企業の代表って、冗談抜きに8割はイカれています。
全社員が「イカれている」と口癖のように言いますし、変な武勇伝ばかりが耳に入ります。
それらと比べたら、私は間違いなく大成しません。
その話を何人かの先輩に話をしたら、それは勘違いだと言われました。
「確かに、強引な手段とブラック精神を当たり前とする経営者もいて、成功しているところもある。ただ、大半は途中で消えているよ」
社会人歴が私の何倍もある先輩方は、多くの経営者や営業担当者とやり取りをしています。
自分のことしか考えていない人は長く持たないのだそうです。
若い頃にコツコツと働き、大きくなってから尊大になるパターンが年配経営者には多いのだとか(業界によって割合は大きく異なるとのこと)。
一方で、最近は20代の経営者も珍しくありません。
彼らは自分以外が見えていないらしく、失礼な態度が目立つようです。
もちろんそうではない人もいますが、何年も態度が変わらない人はさらに少数のようです。
調子には乗らなくとも、慣れが油断を招くことはよく分かります。
実際、弊社のとある役員は、それが原因とも言える状態だったがゆえに追い出されました。
4.ハードルばかりが上がっていく
さて、そんな評価を複数いただくと、裏切るわけにはいきません。
部下に仕事を任せないわけにはいかないので、私の仕事を一部渡すことがあります。
最初はうまくいかないのが普通です。
それ自体は構いません。
ですが、クライアントからしたら関係のない話。
メチャクチャフォローします。
部下はそこまでフォローされているとは知らないと思いますが、もはやほとんど私がやっているのと変わりません。
私は決して能力が高い人材とは言えませんが、マメな性格や誠意、対応スピードは相当なものだと自負しています。
誰でも気をつければ簡単にできることです。
しかしこの簡単なことがみんなできない。
だから私の仕事を他の人に任せると、明らかに質が低下しているように見えてしまいます。
これが、少し前の状態でした。
5.誠意があるのか? と問いただす
感謝の気持ちが持てないやつ、誠意を表せられないやつに大切なクライアントを任せる価値はありません。
お世話になっているクライアントでも、担当営業が適当な人であることはよくあります。
その場合の指摘や交渉を徹底するのは営業の努めです。
しかし、明らかに過剰な好意を行動で示していただいているのに、それを当たり前の感覚で流すのは論外。
しかも一度あったのは、Cさんによる慣れていない私の部下を慮っての配慮だったのです。
頑張れというエールの気持ちと、明確な手柄だと私(経営者のこうた)に報告しなねという意味が込められていました。
それを私に報告した時、「なんか気づいたらこうなっていました」なんて抜かしました。
自分の能力が高いゆえだと驕らなかったのはまだマシでしたが、好意ではなくたまたま流れでそうなったと思っていたそうです。
どう考えてもCさん側の利益が下がってうちだけが得をする内容なのに、たまたまそうなるわけがない。
100歩譲って気づけなかったのはいい。
だが、それを知ってもなお電話をかけようとしない態度に私はブチっときました。
「お前はCさんのご好意なしに利益を出せるのか? 連絡役がお前の仕事じゃないんだぞ!」
「すみません……」
「謝る相手は俺じゃない!」
どうにもしっくりこないみたいで、それからも私は常に聞きました。
「それはわざわざこちらに合わせてくれていると分かっている?」
「それ、平均単価に比べて高いのに気づいてる?」
知識の部分で気づけないこともありましたから、常に教え続けました。
というのも、私が新人時代にも同じことをしていただいたからです(実は今でも)。
大半は弊社に特別扱いをしていたのではなく、単純にCさん側の配慮が優れていたのでしょう。
でも相手が当たり前にしてくれている配慮を、さも当然のように受け取る意味が分かりません。
どれだけ小さなことでも、どれだけ頻繁であっても、こちらが少しでも助かっている事実があるのであれば、都度感謝の気持ちを持つべきです。
言葉で伝えるだけではなく、真に理解することが大切なのです。
6.部下の今
彼は今、私が信頼する部下の1人となっています。
会社とCさんの歴史を伝え、私の気持ちも伝え、長いことCさんとの窓口を続けさせました。
私は口癖のように「お世話になっているクライアントは裏切れない」と言っていますが、今では部下にもうつっています。
しかし長いこと仕事をすると、裏切りに繋がりかねない事態に直面することがあります。
そうすると部下は、「すぐに相手に確認をとります」と正直に伝えて許可をもらうようにまでなりました。
営業として、正直すぎるのは三流だと言う人がいます。
嫌な言い方をすると、うまくごまかすために先手先手をとれるのが一流だと。
否定はしません。
むしろそれが王道なのかもしれません。
私も、弊社を利用することしか考えていないクライアントにはそういう手を使うこともあります。
しかしブレずに誠意を持って接していれば、どんな正直な告白も、真実の言葉かつ裏のない感情であると信じてくれます。
お互いに誠意を示せる相手は大切にしましょう。
そんな相手はなかなかいません。
仕事関係者でなくてもです。
それが親友にもなり、彼女にもなるのです。
来年は、成長した部下に部下を与えようかなと思っています。
その結果はまた別の機会に。
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