英文法子

どちらかというと英語を聴いたり読んだりすることがただ好きなだけだったのが、友人に誘われ…

英文法子

どちらかというと英語を聴いたり読んだりすることがただ好きなだけだったのが、友人に誘われて足を踏み入れた英語教育の世界。大学受験予備校や社会人対象の学校で英語を教えている自分にどうしても慣れないまま、気がついたら英語そのものと向き合うことが日常になっていた猫。

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  • 英文法の小径

    毎回、一つの文法項目について、意の赴くままに説明を試みた散文を掲載中。

  • 英文法 重箱の隅

    「重箱の隅を楊枝でほじくる(つつく)」= 取り上げなくてもよい、細かな事までを問題にする(新明解国語辞典)

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【英文法の小径】への誘い

英文法の小径―そこは 英文法という言葉を掲げてはいるけれど 英文法の復権を唱えるのでもなく 英文法の理論を紹介するのでもなく 普段何気なく使っているかもしれない英語という言語を 英文法という視点から眺めてみてはいかがですか という、ささやかな提案を行う場。 いつも歩いている通りから、わきの小径に入って しばし見慣れない風景に身を置いてみる。 英文法の小径を訪れることが そのようなひと時となりますように。

    • 【英文法の小径】申し出・勧誘〈助動詞〉

      申し出や勧誘を表す文でも、依頼・要請の場合と同じように、助動詞の will や can がよく用いられます。 a. I’ll give you a lift to the station. b. Can I do some shopping for you? will を用いた文(a.)では、相手のためになるような行為をする意志をはっきり示すことによって、can を用いた文(b.)では、自分にはそのような行為をすることが可能であることをそれとなく知らせることによって、

      • 【英文法の小径】依頼・要請〈助動詞〉

        人に何かをしてもらいたいとき、もちろん程度の差はあるけれど、誰でも遠慮を示しながら頼むもの。それは英語でも日本語でも変わらない。問題は、どうやって遠慮を表現するのかということ。 Will/Would you give me a hand with this?一つには、相手の意志の有無を確認する方法がある。意志を表す助動詞 will の出番だ。 丁寧さを増したければ、will の代わりに would を使う。一般的に、would, could, might といった過去形助

        • 【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その六

          may を用いていることから、話し手が相手の発言の真実味を推し量っていることがわかる。ただ、後に ‘well’ が付いている。may だけの場合と、何がちがうのだろう? あまり自信のない推量を表す may/might/could に well を加えると、可能性の程度を上げることができます。どの程度上がるのか?(数値を使った説明には問題がないとは言えませんが、)50%以下から70〜80%くらいに可能性が高くなると考えていいようです。確からしさを表す副詞で言えば、perhap

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        【英文法の小径】への誘い

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        • 英文法の小径
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        • 英文法 重箱の隅
          8本
          ¥500

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          【英文法の小径】should〈助動詞〉その四

          She should have arrived at the station by now. 現在の事柄ではなく、過去の事柄について should を使って推量を表すには[should have + 過去分詞]という形式を用いる。must ほど確信度が強くないのは[should + 原形]のときと同じ。「もう駅に着いているはずだ」 She should have arrived here by now, but she hasn’t. ’but she hasn’t’

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その四

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

          I must have been a bore.例えば、共同生活の解消を提案された話し手のつぶやき。may/might/could ではなく must に[have + 過去分詞]を続けた[must have + 過去分詞]は、過去の事柄について確信的な推量(推断)を表す。相手にとって「きっと退屈な人間だったのだろう」と自分を省みている。 That must have been fun.先月、ヨーロッパ周遊ツアーに参加してきたという相手への一言。‘That must be

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その三

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その五

          Someone could have been injured or killed.事件や事故を伝える記事で時々見かける一文。この[could have + 過去分詞]は[may/might have + 過去分詞]とともに、過去の出来事等に関する不確かな推量を表すことは前回(may/might/could・その四)、確認したけれど、ここもそうなのだろうか? もしそうだとすると、「確かなことはわからないが、死傷者が出た可能性もある(可能性はそれほど高くない)」といった意味に

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その五

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その四

          You may/might/could have left it in the restaurant.家中、どこを探しても傘が見つからないという相手への一言。 It may be in the car. 同じ場面での答えとして、例えば、こう言ってもいい。これは、今=話をしている時点で、問題の傘がどこにあるのかを推測して述べている。ただ、話し手に自信はない。 それに対して、いや、昨日訪れたレストランに置き忘れてきた、ということも考えられる(確信はない)。この場合は、現在の

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その四

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その三

          They should be home by now.should のもう一つの顔は案外、見落とされがちだ。should が使われるとき、それは「〜すべき」を意味するとはかぎらない。 should にも、must と同じように、推量を表す用法がある。「〜のはずだ」という must と同じような訳語を与えられることが多いけれど、ちがいはないのだろうか? 推量したことを述べるのに should を用いるのは、それが正しい確率は高いけれど、話し手が must を使うほどの自信が

          【英文法の小径】should〈助動詞〉その三

          【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四

          There has [There’s got] to be a reason.共通の知人が仕事を辞めたと聞いて一言。[have (got) to]が must と同じように義務/必要性を表すことは知っているけれど、それでは、この文は「理由がなければならない」という意味なのだろうか? 実は、[have (got) to]も must と同様に、「ちがいない/はずだ」という訳語が当てられることの多い確信的な推量(「推断」)を述べるときに用いることができます。これは、主にアメリカ

          【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その二

          Paul must pass the exam. ポールの、これまでの勉強ぶりを見てきて知っている話し手が、彼の合格を確信してこう言ったとしよう。さて、これで言いたいことは正しく伝わるのだろうか? must =「ちがいない/はずだ」だから、「合格するにちがいない/きっと合格するはずだ」は ‘must pass the exam’ でいいのではないか。 残念ながら、冒頭の文は「合格するにちがいない」ではなく、「合格しなければならない」という意味に、つまり、ここでの mus

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その二

          【英文法の小径】will〈助動詞〉その三

          That’ll be the postman.例えば、玄関のベルが鳴って誰かしらという場面。屋内からは、玄関ドアの外に立っているのがだれなのかわからないので、これは推測を述べたもの。しかも、will が使われているけれど、現在の事柄に関する推量であって、いわゆる未来の予測ではないことは明らかだ。 a. That must be the postman. b. That might/may/could be the postman. 話し手が、自分の言っていることが事実であ

          【英文法の小径】will〈助動詞〉その三

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その一

          You must be hungry.朝から忙しくて何も口にしていない人に向かっての一言。一般に助動詞の多くは、大きく分けて二つの顔を持っている。ここでの must は、義務/必要性を表す「ねばならない」ではなさそうです。 お腹の事情というのは、本人にしかわからない。だから、本人以外の人には推測することしかできない。ただ、この場合は相手が朝から何も食べていないことを知っているので、相当な自信をもって推論の結果=結論を述べている。このようなときには must を使用する。

          【英文法の小径】must〈助動詞〉その一

          【英文法の小径】can〈助動詞〉その二

          前回に続き、可能性を表す can の話です。 これは、例えば may を用いた文のように、ここの冬の寒さについて可能性を推測して述べている文なのだろうか? そうではありません。この話し手は自分の経験から、あるいは知識として知っていることを述べているのです。すなわち、当地では冬になると、(いつもというわけではないが)場合によってはかなり寒くなることがある、と。 このように使われる can は一般的な可能性を表すと説明されることがあります。さらには、少なくとも話し手がそうで

          【英文法の小径】can〈助動詞〉その二

          【英文法の小径】can〈助動詞〉その一

          I’m not sure. He may/might/could be in his office. 例えばジョンの居場所を聞かれて答えている場面。’I’m not sure’ とあるように、話し手には確信がなく、可能性を推測している。こういう場合には may/might/could を用いること、そして can を用いないことは前に確認した(may/might/could・その一)。それでは、可能性について述べるときに can を用いるのはどんな場合なのだろう? It

          【英文法の小径】can〈助動詞〉その一

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その三

          The information might/may not be correct.現在の可能性にせよ、未来の可能性にせよ、可能性の内容は肯定(「〜である/〜する可能性」)とは限らない。否定内容の可能性(「〜でない/〜しない可能性」)について述べるときには may/might の否定形 may not (mayn't) /might not (= mightn’t) を用いる。やはり、話し手に確信はない。おや、could がない? There couldn’t be life

          【英文法の小径】may/might/could〈助動詞〉その三