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【英文法の小径】must/have to〈助動詞〉その四

There has [There’s got] to be a reason.

共通の知人が仕事を辞めたと聞いて一言。[have (got) to]が must と同じように義務/必要性を表すことは知っているけれど、それでは、この文は「理由がなければならない」という意味なのだろうか?

実は、[have (got) to]も must と同様に、「ちがいない/はずだ」という訳語が当てられることの多い確信的な推量(「推断」)を述べるときに用いることができます。これは、主にアメリカ英語(特に話し言葉)の用法とされる。

There must be a reason.

一方イギリス英語では、この意味では must を用いるのがふつうですが、現在では、[have (got) to}もこの意味で使われることが多くなっています。

ところで、否定内容の推断(「〜でないにちがいない/〜のはずがない」)を表すには must not ではなく can’t を用いることは前にも触れた通り(must・その一)。それでは、推断を表す[have to]の否定形[don’t have to]の意味はどうなるのだろう?

A dog’s been killing our chickens. - It doesn’t have to be a dog - it could be a fox.

Michael Swan: PRACTICAL ENGLISH USAGE Second Edition (OXford University Press)

鶏殺しの犯人をめぐる会話。ここで 'It doesn’t have to be a dog' の意味について考えてみる。後に確信のない推量を表す could を用いた文(「キツネかもしれない」)が続いていることから、いわゆる「はずがない」では不自然。

この[don’t have to]について、引用元の本では ’used to say that something is not necessarily true’ と説明しているし、他でも ‘it is not certain that …’ の意味であるとしている。なので、問題の文は「イヌとはかぎらない」とか「イヌかどうかわからない」といったところだろう。

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