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民俗学研究者・日野巌の蒐集趣味

 日野巌は以下のWATANABEさんの記事で紹介されているように、宮崎県の民俗学研究団体である日向郷土会を主宰して雑誌『日向郷土志資料』を発行して初期の民俗学研究の発展に寄与した人物として知られている。

また、『列伝体 妖怪学前史』伊藤慎吾、氷厘亭氷亭編(勉誠出版、2021年)では、日野が『趣味研究 動物妖怪譚』(1926年)を出版するなど妖怪研究の先行者であったことが紹介されている。日野は蒐集趣味家としての側面もあったようだ。以下の記事で紹介した蒐集家名簿『和漢楽(わからん)』(和漢楽、1930年)に日野が掲載されており、蒐集趣味家として以下のように紹介されている。

宮崎 日野巌氏
一、蒐集品目は沢山ありまして、先づ八百屋並ですが蒐集品目中稍集まっているものとしてはお守札と御影、民俗玩具、揚子入、古暦と暦に関する印刷物、独乙初期文献など
二、大正六七年頃から
三、亡び行くものに対し限りない愛着からとでもいう心地からでしょうか、別に動機などと四角ばった考えはありません
(一部を現代仮名遣いにあらためた。)

日野は様々なものを蒐集しており、おそらくこの蒐集趣味から民俗学方面への関心につながっていたのだろう。上記の蒐集家名簿に載っていることから和漢楽のメンバーと交流があったことが推測される。柳田国男は蒐集趣味と学問を切り分けすることにかなり意識的であったことは知られているが、日野や雑誌『土の香』を発行していた加賀紫水ように両者が連続している人々は多かったようだ。


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