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愛媛県に来た富山の方言研究者・大田栄太郎

 大田栄太郎は富山県立図書館長をつとめて方言を研究していた人物として知られているが、大田は富山県の方言だけでなく他の地域の方言も採集していた。以下の記事で紹介した『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』第9号(昭和6年3月)では、大田が四国地方に方言採集のため来訪したことが紹介されている。以下のように引用してみたい。

大田栄太郎氏来県せらる
去る一月中旬以来、香川県を振出しに徳島・高知の各地を旅訪せられていた方言研究家大田栄太郎氏は貴重な材料を採集せられると共に従来知られていなかった数々の文献を発見せられて去る三月十二日我が愛媛県を訪われた。此の方面は殆ど未開拓の荒野の状態にある本県として私は氏の採集に非常な興味と期待とを懸けている。氏は今、当周桑郡地方の言葉と南伊予の言葉(別項学友会雑誌の資料にする)及び土佐・阿波方言を加味して作成された調査票を携えられて南伊予地方の再訪に出かけられている。やがて氏によって明かにせられるであろう伊予方言の区画劃・特徴は興味豊なものである。(筆者により現代仮名遣いにあらためた。)

「消息」より

上記に登場する「学友会雑誌」は、この雑誌の別頁で紹介されている高知高等学校文藝部により発行された『學友会雑誌』第13号(昭和6年3月)である。大田は四国地方の方言採集、方言関連の文献の発掘を通して四国の方言研究にも関わっていたようである。

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