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空きっ腹にラーメンを食べてはいけない

昔から空きっ腹の胃にいきなり炭水化物、つまりご飯やパンを入れると胃の調子を崩してしまうという特性を持つ私。
そのためできる限り、野菜や果物、難しければ乳製品を先に摂取してから、炭水化物を食べるようにしている。

この日は朝から用事があり、カフェでさくさくのクロワッサン、おそらく砂糖がたっぷり使われていたのだろう、とっても甘くて美味しいレーズンロールパン、そしてカフェラテにビターチョコレートが入った飲み物を頼んでしまった。パンは夫と半分こしたものの、炭水化物と糖分という負担が胃にかかる。久しぶりにやってしまった、と思った。そのあとしばらくお腹が空かないし、なんならちょっと気持ち悪い。

時間が空いて16時半頃、流石にお腹が空いた、というよりまともな食べ物を食べたい、という気持ちに苛まれていた私は、夫の作りおいてくれた、野菜がもりもりの美酒鍋(けんた食堂というSNSで流行っている人のレシピらしい)を食べた。最高だ。私の求めていた野菜達よ。ようやく出会えた。結構ボリュームがあったにも関わらず、ペロリと平らげる。胃が野菜で満たされる。

その後、18時から21時まで予定があったので出かけた。しかし19時頃にお腹のアラームが鳴り始める。21時までご飯をお預けされてしまうと、お腹が空きすぎて予定に集中できないぞ、という事前の警報である。これはあかん、と思い、適当な嘘をついて予定を早めに抜け出した。

沸々とラーメンが食べたいという気持ちが湧いてくる。普段滅多にラーメンなんて食べないが、夕方頃に野菜を大量摂取したこともあり、落ち着いて炭水化物を摂取できる胃の状態になっていたこともあり、受け入れ態勢はバッチリだ。朝の二の舞にはならない。

そこで目の前に現れたのは、梅ヶ丘の世田谷製麺所というラーメン屋だった。元々柴崎亭という有名なラーメン屋が入っており、その別ブランドのお店のようだ。

ふらふらとお店に入ると、暖色の暖かい光が優しく店内を照らしている。カウンター席のみだが、席間隔が広く居心地の良い空間が広がっていた。券売機の前でしばらく悩む。醤油か塩か。醤油の方が定番そうだが、ここは心が惹かれる方に従い、「和出汁塩そば味玉付き」を選択する。実は少し前にも別のラーメン屋に足を運んだのだが、その際、味玉つきにするも全く味のない卵で唖然としたことがあった。このしこりを払拭したい、納得のいく味玉を食べたい、そんな一心でこのメニューを選択した。

店内は土曜の夜だがそこまで混雑していなかった。ありがたい。待ち時間に食べログを見ていると、デフォルトで麺が220gあり、ニンニクを追加するかどうか質問を受けると口コミに書いてある。麺の量に恐れ慄いた私は、店員さんに、麺の量をハーフにできますか、その場合金額変わりますか、と確認する。ハーフにできるが値段はそのままです、とのことだったので、ではそのままの量でお願いします、とすぐに取り消す。全くゲンキンなやつである。

10分後、待ちに待ったラーメンが提供された。
美しい。透き通るような汁。まずはスープを頂く。美味しい。名前の通り出汁が効いている。飲み干せそうで危ない。待望の味玉は期待を全く裏切らない、味がしみしみの卵だ。スープと一緒にいただくともうそこは楽園かと思うくらい極上のたんぱく質に生まれ変わる。やっぱり多かったな、と思った麺も気づいたら完食していた。恐ろしい。危うくスープも飲み干しそうだったが、自制心が働きことなきを得た。

お腹の空きがピークを迎える前に、救世主の如く現れたラーメン屋、世田谷製麺所。存在に感謝だ。そして納得のいく味玉が食べれなかったと言うしこりも解消できて、万事解決。
と思ったが、「ニンニク追加しますか」と聞かれなかったことを思い出してしまった。女性だからと遠慮されたのだろうか。うーん、美味しく頂いた後に再びしこりが残ってしまった。次は定番の醤油ラーメンを食べに、そして聞かれなくても自分からニンニク追加お願いしますと言うために、再訪を心に強く誓った。こうして人はラーメンに取り憑かれてしまうのだろう。



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