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読書感想文その7~素敵な物語に魅了された私の話~

まずは、本の紹介から。以下の3冊を読みました。

中学2年生「文岡健(ふみおかたけし)」と、かつて小説家に飼われていたという野良猫「マ・ダナイ」の物語。「文を書けん」と「我が輩は猫である」が由来になっていて、ポップで分かりやすい入門書。健の作文をマ・ダナイが指導するという内容。

書けないというのは、思い込み。自分に催眠術をかけてはいけない。文は、誰にでも書ける。
楽しむために、本を読もう。

どうしたら読みやすい文章が書けるかな、という私を励ます優しい言葉が並んでいました。ただ、私は誰かが思わず感情移入してしまうような小説が、趣味がてら書けたらいいな、とか思ったりしていたのですが、

小説を書くのに、一番大切なのは、何がなんでも書きたいという熱い気持ちである。

と書いてあり、「そりゃそうだ」と優しい文章の中にも、甘い考えの私に突き刺さる一文がありました。

そして2冊目。

この本では、物語の作り方について、作家になりたい「ブンコ」とあらすじのプロ「ぴこ蔵」の対話形式で書かれています。具体的には、

面白いストーリーにするには、主人公が目的のために邪魔者と戦うべし!

(確かに・・・。半沢直樹とかまさに。)

どんでん返しのある物語を作る時は、最初にどんでん返しを決めてしまうことが肝要です。結末も、感動も、主人公も、敵も、伏線も、事件も・・・、あらゆる要素はどんでん返しの上に構築されます。

(あ、私には小説なんて無理。)

壮大などんでん返しなんて、私には思いつかないし、「久々に逆上がりしてみたらできちゃいました!」ぐらいの気軽さで、小説書けたら良いな、と思っていたので、もうこの本の中盤ぐらいで諦めました。

それでも、1つの結末(幹)に向かうために、どのように枝葉を付けていくかを、分かりやすく書いてありました。

そして、3冊目。

kindleで、幻冬舎がセールしていたので軽い気持ちで読み始めたのですが、今までの2冊と比べるともう「ホップ・ステップ・宇宙旅行!」ってぐらいに本格的でした。

誰が書いているか分からない「まえがき」

ミステリってどうやって書くの?どうやったらアイデアが出てくるの?ストーリーを思いつくの?
一言でいえば、苦労して、です。

なんか、ぶっちゃけていてフランクな雰囲気で読みやすいのではないか、と読み進めていくと「まえがき」の最後に、著名作家の名前が。

日本推理作家協会第25・26期理事長 東野圭吾

その後は、石田衣良さん、宮部みゆきさん、乙一さん、恩田陸さんなど、私でも知っている大物作家さんたちが、与えられたテーマに沿って、自分のノウハウを惜しげもなく披露しています。本当に、自分が書く小説のための取材や、助詞や接続詞へのこだわり、登場人物やトリックのあり方について、作家さんたちの本気度が伝わる熱量のこもった文章が続きます。

「余ったにんじんでもう一品ナムルでもつくっておけば明日食べられる」くらいの、小説を書いてみたいという軽い気持ちは、読み終わる頃には吹き飛んでいました。

あと、読んでいて気がついたのは、「多くの作家さんが、自分が良いと思った古典的名著を何回も読んでいる」ということ。私も、次から次へと新しい本を読んで賢くなった気になってないで、面白いと思った本は何度でも読んでみようかな、と思いました。

さて、ここからが本題です。

なんで私が、小説の書き方についての本を読んだのかというと、noteで素敵な作家さんを見つけたからです。

私は教師なのですが、病んでしまって今は休職しています。文章を読んだり書いたりするのは昔から好きだったのと、「インプットだけじゃなくてアウトプットもしないと知識は身につかない」というよくある文言に駆り立てられ、noteを始めました。

書き始めた頃は、まだ休職前で、リモートワークとかもあったから、指導法の本などもよく読んでいて、それらの本から自分が身につけたいことをピックアップして記事を書いたりしていました。

たぶん、自分の記事の関連記事として、たまたま神戸さんのある記事を読んで、面白い!とすぐにフォローさせていただきました。

登場人物は教師と生徒なのですが、どの人も本当に存在しているんじゃないかというリアル感。

上に挙げた記事は、長年その学校に勤務している講師の田畑先生。他の自治体については分からないのですが、私の知っている限り、教師は同じ学校で勤務するのは6年まで。6年その学校で働いたら異動するのが原則です。しかし、支援員や講師の先生にはそのような原則はないので、双方のニーズが満たされれば何年も同じ学校に勤務できます。そして、この田畑先生がまさにそんな感じ。人間事情を冷静に語り、定時に帰るキャラクター。一番好きな登場人物です。私が勤務していた学校にも、その学校の人間事情に誰よりも詳しい講師の先生がいました。もう「あるある」という感じで、学校の先生に是非読んでいただきたい!完璧な人間描写。絶対、共感・感情移入ができるのではないかと思います。おすすめです。いや、私がお薦めしたところで私のnoteを読んでいる人なんて少ないのですが(神戸さんお力になれずすみません)、日々更新を楽しみにしています。

ちなみに、私は一時期、鈴木涼美さんみたいな、

長めの一文でいろんな物を並列したり皮肉ったり例えたりして、でもすごく言っていること分かる!みたいな文章に憧れて真似もしていたのですが、上記の3冊を読んで、「私には鈴木涼美さんのような素敵なセンスはない!」と、一文が短文になるよう心掛けてみました。

紹介することを快く了承してくださった神戸さん、ありがとうございました。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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