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労働組合の活動に、学級会、クラス活動のノリは必要だ。

先日は、そごう・西武の労働組合のストが話題になりましたが、今日はアメリカの全米自動車労組(UAW)の“ビッグ3”に対するストが話題になりましたね。

400人いる職場の労働組合の執行委員長を私が務めていた頃は、ちょうど、コロナ禍の影響を受ける一番しんどい時でした。
緊急事態宣言が相次ぎ、出勤が統制され、テレワークが本格的に導入されました。そして、同じ会社であっても、テレワークのできる部署とできない部署があり、本部の企画部門と全国各地の現場やお客様窓口は当然労働環境が異なりましたから、みんなの間に不公平感が漂っていました。
見えないコロナ・ウイルスに対する不安や恐怖感がベースにある中、一律に仕切れない経営陣への不満や組合員の心の中の不平不満感がいつ吹き出してもおかしくなかったと思います。

経営陣への要求が先鋭化するのは構わなかった。しかし、委員長として、社員や同じ組合員の中での仲間割れだけはなんとかして避けたい思いでした。
そこで、私は大きく3つのスローガン、3つのメッセージを発信することにしました。

1つ目は、会社への要求事項・闘争方針。
2つ目は、組合執行部の活動方針。
3つ目は、「組合としてみんなで目指すこと」。

1つ目については、労働組合での活動に従事されている皆様はそれぞれ掲げているものがあるのでお分かりかと思います。
2つ目については、ちょうど前回、これについてお話ししましたのでご覧いただければと思います。(「労働組合の執行委員長として意識したこと」をご参照)
3つ目の「組合としてみんなで目指すこと」が、今日、ここでお話ししたいことのメインになります。

この「組合としてみんなで目指すこと」というのは、“みんなで力を合わせてこんな職場を目指していこう“、“より良い職場の雰囲気にするために、こんなことにチャレンジしてみよう“というものを項目に掲げたものです。“こんな職場にしていきたい!“
ちょうど、小中学校の学級委員選挙の時の演説で、候補者が「ケンカの無い、仲の良いクラスにしたいです。」「明るいクラスにしていきたいです。」という心意気に似ていると思います。
労働組合は、経営陣・会社と闘うことだけが役割では無いと思うのです。
職場の労働環境をより良くするための働きかけをしてもよいのではないか、つらい時だからこそ一つにまとまる声かけ運動をしてもよいのではないか。そんな思いから4箇条にして発信したものです。

<<組合としてみんなで目指すこと>>
1.組合員であるか否か、 社員か否かを問わず、周りの人を同志ととらえること。
 → 社員、派遣職員、専門家など、ひとつにして力を発揮します。 ワンチームの精神で。

2.困っている人をひとりにしない。 見捨てない。 近いところから支え合うこと。
 → 誰かのSOSを見逃さず、声をかけあえる関係でありますように。

3.半径5メートルの人とよくしゃべり、よく笑い、 よく声を聞くこと。
 → 活気のない職場は、たいてい会話がありません。 その反省に基づきまして。

4.自分たちこそが、この組織文化の担い手であるという意識を持つこと。
 →我々の文化はトップが決めるものではありません。それぞれが誇りを。

この組合を軸とし、組合を超えた地道な活動は、コロナ禍において職場がバラバラになるのを防ぐことができたのではないか。そう思っています。
組合活動に対する理解が以前より増し、組合執行部への関心が寄せられたような気がします。
結果として、組合執行部への信頼も増し、春闘・春季交渉や夏冬の一時金交渉へ寄せられる組合員からの声=経営陣に対する武器が多く寄せられることとなりました。

労働組合は、職場・職域で経営陣と闘うのは当然のことですが、その前提として「どういう会社にしていきたいか」について整理して発信する、透明にしていくことも時として有効です。
労働見合いの活動に、学級会、クラス活動のノリは必要なのです。



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