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【こころ #66】ひきこもり当事者と社会をつなぐ起業家


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山田 邦生さん


 「もっと人の価値を出していきたい」

 その目的に向かって山田さんは、ひきこもり当事者と社会をつなぐプラットフォーム『COMOLY』を運営している。


 新卒で人材紹介会社に入り、4年間で100人超の転職を支援した。その中で、能力はあって書類審査は通っても、自信がなかったりアピールが不得手で面接に落ちてしまう人を見てきた。

 「人に伝えたくない後ろめたいことでも、いかに自己開示するか。そこから乗り越えたことをどうわかってもらうか」をアドバイスし、良い就職につなげた。その中に多くはないが、発達障害やひきこもりだった方もいた。


 しかし、そこからすぐに『COMOLY』につながるわけではない。

 就職することで終わらず、本当に人の可能性を広げるためには、「本人も会社も表に出さない情報の非対称性をいかに解消するか、本人と上司や同僚など社内でどう組み合わせるか」までが大事だ。山田さんは、自分自身で心理学や組織論を学んだ上で、適性検査の事業で起業した。


 そこから「やっと食えるようになった」頃、友人がひきこもっていることを知る。

 ただ、山田さんは「その頃は正直全く分からず、ただ甘えているだけのようにも思っていた」。しかし、当事者会などに足を運ぶうちに、「力があるのに活かされていないだけではないか?」と感じ始める。かつて人材サービス会社で感じたことと同じだった。そして、「会社に行けなくても、家で仕事ができる人は多い」ことにも気付いた。


 こうして生まれたのが、ひきこもり当事者と社会をつなぐプラットフォーム『COMOLY』だった。開始から4年半経った現在、登録者は1700名。その間、750件の仕事を受注してひきこもり当事者に紹介し、「結構稼ぐ人も出てきた」

 しかし、課題もある。仕事を紹介するにあたって、当事者本人の意思や状況を確認するのにチャット等でのカウンセリングを行っているが、そこまで達したのが、登録者のうち800名弱。そこから実際に仕事につながったのは200名。さらにその中から就労につながった人も40名超いるが、「社会的なインパクトとしては大きな数字ではなく、まだ手探りでやっている」状況だ。

 そして、もう一つ。もう一度、社会に出ていく人がいる一方で、「人間関係が面倒くさいから、外で働きたくないから、自ら在宅を選ぶ人が出てきてしまっている」。それは本質的なのかと山田さんは考え始めている。


 実際、在宅で受けられる仕事を考えても、クリエイティブやエンジニアリングなどスキルが求められ、「パソコンによる入力業務といった当事者のニーズと、社会のニーズが合わなくなっている」。就労しようにも「10~15年ひきこもると色がついて採用のハードルも高くなる」のが現状だ。


 「在宅ワークはあくまで手段であり、目的はお金稼ぎではなく、当事者の方がどう社会につながって役割を見出して貢献していくか。そういう風にマインドを変えてほしい」

 そのために、山田さんは「色んな選択肢を増やす」ことに取り組んでいる。例えば、当事者が数日間、地方にて合宿形式で共同生活をする『ワークキャンプ』。何かしら「きっかけをつかみたい人」が参加し、「4日間で1年分くらい会話した」と、最後は泣いて帰っていく人もいる。


 「人間は、環境と習慣の生き物。いい環境を変えて、掴める選択肢の中から選んでほしい」。なんと山田さんは、環境を作って生活を整えてもらうために、シェアハウス用のマンションまで購入して準備しているところだ。

 そこまでしても、「就労した方がいいとか、伴走するとかは、一切口にしない」。なぜなら、「自分がどう思うかが大事。受け身ではなく、自ら動いて欲しい」からだ。当事者本人へのアウトリーチも大事だが、本人の内側から変わることが何より大事だと山田さんは考えている。


 山田さんの事業は、「当事者本人からお金は一切もらっていない」。特定の地域に限定されるものではないため、自治体の補助金も利用できない。そうした中で、人員リソースを広げたくても満足いく給与とバランスせず、「ソーシャルビジネスの難しさ」を感じている。

 一方で、『ソーシャルインパクト投資』と言う言葉も聞かれるようになったが、将来的に上場や売却を目指して出資を受けることは、目的の方向性が合わないとも感じる。


 「もっと『COMOLY』を拡大して、一人でも多くの人を社会につなぎ、もっと人の価値を出していきたい」

 山田さんの発言の裏には、日本社会として、「ひきこもりを自己責任で終わらせずに、社会的なつながりがあれば誰かが助けてくれる。そんな考え方を取り戻したい」という想いもある。


 人手不足と毎日のように叫ばれる時代だ。単に”足りない”ではなく、十分に活躍できていない人手を社会にどうつなげ、いかに”価値を出すか”が同時に問われている時代だろう。山田さんはそこに挑戦している。



ここまで読んでくださった皆さまに‥


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