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【こころ #57】バリアフリー化では解決できない雇用問題


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MTさん


 MTさんが人格障害(パーソナリティ障害)を発症したのは、20代半ば。この疾患は、偏った思考や行動のため生活に支障をきたす。MTさんはカウンセリングを通して、自分の中にいる複数の人格をひとつに統合する治療を受けた。


 また、MTさんは突然、何の前触れもなく、動悸、息苦しさ、めまいなどの症状が出現するパニック発作が繰り返し起きる「パニック障害」でもあり、公共の交通機関を使うことが苦手だったそう。加えて、極端な食事制限により低体重を維持しようとする「摂食障害」や幻覚や妄想などの症状が表れる「統合失調症」、日々の出来事の記憶を思い出せない「健忘症」といった精神疾患も患っており、いずれも症状が重かった。治療中には血糖値が上昇し、入院を経験したこともあるという。


 現在の会社は、現在の上司から誘われて入社し、20年以上勤務している。過去には自動販売機のルートセールスなども務めてきたというMTさん。健常者と同じ成果を求められ、辞めざるを得なかったこともあったが、入社時にはいつも、障害を隠して働く「クローズ入社」を選んでおり、今の会社にも持病のことは話さなかった。


 だが、3年前、働き方を見直す転機が訪れる。当時、退職を考えていたMTさんは上司に相談した際、思いとどまるように説得をされ、障害者雇用枠で働くようになったそう。人事部長であるMTさんは同じ部署の上司や部下にとって、何でも話しやすい良き相談相手にもなっている。


 人事部長という肩書きから、障害者を雇用する立場にもなるMTさん。会社では障害者雇用率が全体の20%になるように努めているが、精神障害者の雇用には消極的なのが現状だ。なぜなら、身体障害者と比べると、精神的に不安定になることで欠勤が多くなったり、突然、休まれたりすることがあるからだという。


 社内のバリアフリー化では問題が解決できず、持続的な支援が必要な精神障害者の受け入れ方に悩んでいるのが、今の企業側の現状なのだ。


 実際、MTさんの会社では車いすを使うような身体障害者を採用することが多く、障害者雇用の社員は大抵の場合、総務部に配属され、事務仕事などを行っているそう。ただし、会社では障害者への理解深める勉強会などは開かれておらず、障害者雇用の社員に対する適切な配慮の指示は配属された部署の直属の上司が決めるのだとか。


 そうした現状の障害者雇用システムでは、障害者のスキルアップに関する問題も浮かび上がってくる。障害者雇用の社員が会社で求められることは、「スキルアップより、毎日、着実に仕事をすること」だとMTさんは語る。そのため、事務仕事や雑用などの仕事からステップアップできず、平社員であり続けなければならないケースは多いのだ。


 障害者雇用を本当に“意味のあるもの”にするには、どうすればいいか。その答えに辿り着く難しさは、MTさんの「自分にできることを頑張るしかない」という言葉からも感じ取れる。現在の障害者雇用は当事者と会社、社会の連携が十分ではない。当事者はやりたい仕事ではなく、周囲から「できる」と思われる仕事に就くことが精一杯だ。


 だが、そんなもどかしい風潮も、障害者ひとりひとりの努力によって変えていくことはできるのかもしれない。長年の真面目な勤務態度で周囲の信頼を得て、今の地位を築いたMTさんの姿はそんな気づきももたらしてくれる。






ここまで読んでくださった皆さまに‥


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