【こころ #79 / みみ #45】うつ病の当事者として、難聴児の親として
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久保田 保久さん
誰しも、知らないことは理解できないし、障害を想像して実感してもらうことは難しい。でも、知れば視野が広がり、刺さる人には刺さる。さらに慣れれば、考える間もなく手を差し伸べるようになる。そして、将来自分が障害をもった時にも受け入れられる。
久保田さんの言葉の端々を紡ぐと、そんな想いや願いが浮かび上がってくる。
久保田さんはまだ小学生の頃、一緒にいじめられながらも、知的障害のある子の面倒を見続けたことがある。慣れれば自然と体が動き、障害への偏見もなかった。しかし、大人になり、自分がうつ病という障害の当事者側になると、「これは人に理解してもらうことは難しいぞと恐怖だった」
今から8年前、「(仕事の)すべてが手に取るようにできる、人生の最高潮」という感覚から一転、過労から自宅で倒れた。周囲から見れば、事務処理はできておらず、取引先とのやり取りにも行き違いが生じていた。
病院から退院してしばらく休もうと本を開けば、大きい字でも頭に入ってこない。何日も寝なくても大丈夫かと思えば、逆に起きていることもできない時もある自分に、「とにかく慌てた」。
仕事から全く離れるとふさぎ込んでしまい逆効果かもしれないと、少しだけ仕事に携われば「なにを遊んでいるのか、元気じゃないか」と職場から理解されない。家族から「今後どうするのか」と相談されても、込み入ったコミュニケーションが負担となり聞いていられない。打開しなければいけないと思っていても、できない。「これが本当に難しかった」
「心のバリアがなくなってしまった」ようで、ほんの少しイジリのような冗談を受けただけでも、口内炎や疲れがどっと出てしまうなど、周囲に打ち明けられないことも多かった。
そこから8年。服薬が不要になり、本を手に取れるようになり、口内炎は減り、睡眠のコントロールや食事も以前と同じようにできるようになった。体力が落ちないようにと、運動も欠かさない。また自分の状況がわからないままに再発してしまうことがないよう、奥様が「自然と調整できるように仕向けてくれている」ことに感謝している。
実は、久保田さんはご自身だけではなく、娘さんにも難聴の障害がある。障害のあるお子さんをもつと、どの親御さんも、特別支援学校か、地域の学校か、判断を迫られる。
「隔離するのではなく、せめて同じ校舎で学べるようにしてもらいたい」。難聴の娘さんのためだけではない。ご自身の小学校時代を振り返るように、「一度も障害のある人と接したことがない人は、よだれが出るだけで”気持ち悪い”という発言が出てしまう。自然と接するには、早い段階から接して慣れることで、自然と対応できるようになってほしい」と願ってのことだ。久保田さんは行政や地域にも働きかけている。
「うつ病も難聴も、どんな障害にもグレーゾーンがあって、その中のちょっと上の部分を”普通”の中に入れちゃうことで”落ちこぼれ”になってしまう可能性もある」
障害を知らないままに”普通”というあいまいな先入観をもって判断してしまうことへの懸念を、久保田さんはそう表現した。
そして、それを避けるために、障害やグレーゾーンを「どう伝えていけばいいか」悩みながらも、「知っただけで視野は広がる、わかる人には刺さる」と信じている。そして、「だからこそ、Inclusive Hubに期待している。そういうメディアを諦めてはいけない」と、エールもいただいた。
ちなみに、久保田さんの前職は、スクラップ業だった。耳を塞ぎたくなる音に、働きたい人はほとんどいなかった。現場のやり取りは言葉ではなくハンドサイン。そこで難聴であるかどうかはあまり意味をなさない。
久保田さんは現在、自治体のごみ収集業務を請け負う。メンタルヘルスを患った自分にとって、複雑ではなく、大人数の中ではなく誰とも話さず、そしてプレッシャーもなく黙々と働けることが心地良い。
これから人口減少で多くの仕事に穴があいていく中で、人が集まらない仕事でも、見方を変えれば、障害やグレーゾーンの人たちこそ得意分野かもしない。「そういった人たちを巻きこんで経済が回るなら、それぞれの自立にもつながる」と久保田さんは期待する。
こうした久保田さんのお話は、私たちが”普通”という概念を乗り越え、相手を知って想像して認め合えるかを試している。そこに向けて、Inclusive Hubも諦めない。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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