ピンチをアドリブで乗り越える技 44/100(即興術12) -説明過多
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
相手を読む
「即興術シリーズ」も今日で12回を迎えるので、そろそろ終えようかと思います。
これまでは、出演者として即興を行うときの、心構えやツールを、ピンチに陥った時のアドリブ術として、どのように応用出来るかのご提案をしてきました。
最後の今日は、観客をどのように味方につけるか、つまり、ピンチ禍において、相手をどのように乗せるか、を考えていきたいと思います。
35/100では、思考回転速度を上げることの重要性と、常に観客よりも先回りしていなくてはいけない、そのために公演前の飲酒は厳禁にしていたというお話をしました。
しかし、観客よりあまりにも先を行っていては、独りよがりな、それこそ自慰的な進行となってしまいます。(7/100参照)
それを避けるためには、観客席への傾聴が欠かせません。(5/100参照)
そして、時には丁寧に、一歩一歩、観客を誘導することも必要かもしれません。(17/100参照)
ほら、また色々と繋がってきましたね。
劇場や映画館で、客席の物音に気を付けてみたことはありますか?
咳払いや、足を組む音、ゴソゴソと何やらビニール袋から出す音。同じ観客としては、これらは耳障りかもしれませんが、演者にとってみては、非常に重要な警告サインです。
観客席から、これらの音がしてきた時は、観客の集中力が落ちている、もしくはシーンがダレてきていると考えてほぼ間違いありません。
(花粉症の時期は判断が難しいのですが!)
そういった時は、前回のようお話ししたような、変化をつけるべきだと判断します。
プレゼンや、ミーテイングの場においても、こういった、相手が無意識に示す警告に注意してみてはどうでしょうか?
腕や足を組んで、クロスボディーの形になってくる。(18/100参照)
水を飲む、もしくはスマホなどを手に取る。
目線が泳ぎ始める。(9/100参照)
なども、気を付けたいサインです。
つまり、これまで発信する側として注意すべきとお話ししててきた態度を、相手が行なっていないかに、傾聴します。
同様に、観客がついてこれないような、独創性にも注意が必要です。
一つの商材や、プレゼンテーマに対して、定型の手法を持つことは、必要だと思いますが、それは台本が定まっている状態であり、型が出来上がっているというだけです。
型でガチガチに定められているように見える伝統芸能にも、一つ一つの舞台にはその「場」に傾聴してアドリブを行う必要があるのと同じように、相手によって表現の部分は変化して然るべきではないでしょうか?
相手がついてきているかどうかは、その人のタイプにも左右されますし、その時の気候や環境、つまりは「5ステップス」の空間と関係性によって変わってきます。(37/100参照)
説明過多と思えるほどに、細部までも丁寧に言葉にすることも、時には必要かもしれません。それによって、ピンチを乗り越える糸口を見つける時間稼ぎにもなりますし、そこにヒントが隠れていることも多いです。
「うちに帰ると、俺は洗面所に直行した。真っ白な洗面所に、レッドの真っ赤な血が広がっていく。レッドとはよく言ったものだ、まさにレッドじゃないか、などと思いながらそのこびりついた赤みを、何度も手を擦って落とす。
(動作で稼ぐ、間)
擦りすぎた手は赤らみ、もはや摩擦による赤なのか、レッドの赤なのか、その区別すらつかない。
ピンポーン
?
突然ドアが鳴る。誰だろうか?こんな時間に俺がここにいることを知っている人間は限られている。アマゾンは、最近、別に注文していない。
俺は、白いシャツにレッドの血痕がついていないことを念入りに確かめる。
『今行く!ちょっと待って!』
ドアノブに手をかけると、俺はまだ濡れた手の感触を感じながら、ドアを開ける。
(マイム。リアクションの、間)
そこに立っていたのは、やはり、キャサリンだった。」
「Hi」
「Hi。どうしたんだ?レッドを訪ねてきたんだろうけど、君のお兄ちゃんならここにはいないよ。」
(↑キャサリンはレッドの妹である)
ご参加お待ちしてます!
連載50回を記念して、オンラインのQ&Aを開催してみようと思います。
わたしの文章力の乏しさから、上手くご説明できていない部分も、多々あるかと存じますので、この機会に何なりとお尋ね下さい。
また、この連載は「出し渋っていてもしょうがない!」と思い、シェアコミュニティーの意識で、無料公開しておりますが、Q&Aには3000円の参加費を頂戴したく存じます。
今後の展開へ向けての投げ銭と思い、ご支援を賜われますれば幸いです。
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