Tami

旅・音楽、思ったことをつらつらと

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  • ひねくれ大学院生の日常

    世の中を少しうがった目で見てしまう、ひねくれ大学院生の考えていることをつらつらと。

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旅の記憶を現像するもの~カーニャクマリで読んだ”四月になれば彼女は”~

1月末から10日ほど、研究を放り出し、南インドへ一人旅に行っていた。 筆を執るまでかれこれ一か月を要してしまったのには訳がある。 帰国直後、Google photoに保存した約700枚の写真やEvernoteに記録していた思い出をスクロールする。 旅の途中で出会った様々な人の顔が、アナログ写真を現像するかのようにぼんやりと浮かんでくる。 すぐにnoteに纏めようとキーボードを叩くが、どこか覚束ない出来栄え。 どうにかして自分の体験を加工なしで文字に落とせないものかと悩んでし

    • 大学院生が家族アルバムを見て号泣した話

      私は明日で24歳の誕生日を迎えようとしている。 24年も生きてきたのだ。すごいことだ。 誕生日前日、自宅で研究室のオンラインゼミを受ける30分前、棚にしまってある家族アルバムに手を出してしまった。 その話を文字に残そうと思った。なにかわからないが、大事な節目の日な気がするのだ。 ◇ 私が小学生のころから、両親は”日本制覇の旅”と題して、様々な都道府県に連れて行ってくれた。 九州一周旅や、中国地方をめぐる旅、そんなおかげもあってか中学生のころには、北海道を除くほとんど

      • 多摩センターの夕暮れ

        • カズオ・イシグロの歌詞を和訳してみた

          思い出してしまう今日この頃 梅雨明けも間近、夏がやってくる予感がする でも、今年は遠出はできないだろうな 過去の旅行の写真や動画を見返すと ノスタルジックな気持ちになってしまう ▼ レンタカーで煌めく地中海沿いをドライブしたニース 星を眺め、波音に消え入るように眠りについたジープ島 朝日と夕日と人の優しさに心奪われた南インド ▼ ”また旅に行けたらいいのに” が溢れる歌詞たち女性ジャズボーカリストのStacey Kent カズオイシグロが作詞を手掛けてい

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        • ひねくれ大学院生の日常
          10本

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          “雨エンタメ”~家にいたら雨が好きになったという予想できなかった自粛の産物~

          大学では徐々に研究が再開してきたものの、相変わらず週の8割は自宅作業が続いている。 多少の外出もするようにはなったが、外は雨。 7月にもなり、後梅雨に突入している *** 家にいたら雨が好きになった昨年までの23年間、梅雨が苦手であった 理由を箇条書きにしてみる ・外出すると靴や靴下が濡れて、果てしなく不快感を感じる ・よって外出する気にもならない ・散歩もできないし、気軽に遊びに行けない ・特に自然の中での活動(採集、釣り、ハイキング等)はできない ・朝晴れていな

          “雨エンタメ”~家にいたら雨が好きになったという予想できなかった自粛の産物~

          自宅で感じる熱量とノスタルジーの夏 〜ザ50回転ズ 11時55分をテーマに~

          ”あの娘にキスを今 できるのは風だけ”            ザ50回転ズ "11時55分" *** 未だに研究室は完全再開とはいかず、自宅での作業が続いている。 関東地方はいつの間にか梅雨入り、雨粒が家の天井を打ち付ける音、夏の足音がきこえてくる。 *** 23歳にとっての夏とはなんだろう 男女で海で騒いだり、花火をしたり、ちょっとしたドキドキがあったり 男子校出身の筆者は、そうした夏を想像できない 中高時代に妄想していた、誰もいない日差しの照り付ける校庭

          自宅で感じる熱量とノスタルジーの夏 〜ザ50回転ズ 11時55分をテーマに~

          群像劇的視点で生活をつなぐ~Modern Love・逆ソクラテス~

          コロナ禍で大学はなお封鎖状態、自宅での研究を強いられること早2か月 大学に登校することもなく、いつの間にか修士2年という肩書を得ていた すっかり自宅に引きこもり活動をしているわけだが、十分な時間が与えられると、なにかを他人に発信して共感を得たい、という気持ちは発現しない性格らしい 図らずも用意されてしまった二か月という膨大な時間を使って、研究の傍ら、映画や小説といったエンタメの教養を身に着けておこう、という気持ちが先行し、5月は”おうちエンタメ”を悠々自適に楽しんでいる

          群像劇的視点で生活をつなぐ~Modern Love・逆ソクラテス~

          こんなご時世に雨晴

          こんなご時世に雨晴

          ふと思い立ち、新古今和歌集を買った 当方、古文の知識は大学受験でさらった程度 風流な表現を知りたいという浅薄な動機で買ったものの、緒言を読むだけでも手一杯 漢字を手書き検索し、辞書で単語を調べている いつ歌集に辿り着くのか じっくり味読しようじゃないか

          ふと思い立ち、新古今和歌集を買った 当方、古文の知識は大学受験でさらった程度 風流な表現を知りたいという浅薄な動機で買ったものの、緒言を読むだけでも手一杯 漢字を手書き検索し、辞書で単語を調べている いつ歌集に辿り着くのか じっくり味読しようじゃないか

          研究が少々忙しい局面を迎えており、noteを書く時間も感性も不足している弥生 実験は基本的に単純作業なので、大抵ラジオをかけている 最近は論文を読みながらラジオを聴くという実験を始めたが、全く結果が出ない。 二兎を追うものは一兎をも得ず そんな大学院生活である。

          研究が少々忙しい局面を迎えており、noteを書く時間も感性も不足している弥生 実験は基本的に単純作業なので、大抵ラジオをかけている 最近は論文を読みながらラジオを聴くという実験を始めたが、全く結果が出ない。 二兎を追うものは一兎をも得ず そんな大学院生活である。

          気持ちのグラフ化から心のレジームシフトを検出する~心のマイワシとカタクチイワシ~

          さて、まずはこれを読んでもらうことから始めよう。 この論文は日本の水産有用種のレジームシフトを検出する、という内容である。 さて、誰がついてこれているのだろうか。 難しい内容ではないので、あと少しだけ、アカデミックに辛抱してほしい。 ここでいうレジームシフトとは、下記を意味する。 「大気・海洋・海洋生態系から構成される地球表層システムの基本構造(レジーム)が. 数十年間隔で転換(シフト)すること」 かなり平たく言えば(専門の方には申し訳ないほどに) 海洋に

          気持ちのグラフ化から心のレジームシフトを検出する~心のマイワシとカタクチイワシ~

          Streakという単語の意味

          南インド一人旅の小話を一つ。 日本を経つ前から、あるアーティストをよく聴いていた。 Matt Quentinという、サンフランシスコを拠点に活動しているギタリストである。 Apple Musicで見つけ、ギターアドリブを中心とした、美しくChillな音楽が琴線にふれた。 中でも、Westbound というアルバムに収録されている Find a Way という曲が気に入っていた。 題名のごとく、南インドへどこか退屈な日々から脱却する方法を見つけに行くような、そんな気がして

          Streakという単語の意味

          “止まれ”に物思う26時の23歳たち

          大学院生の筆者は、物心ついたときから良い住宅街に住んでいる。 一行目から、かなり嫌味な話である。 地元の幼稚園・小学校に通い、中学受験を経てそこまで遠くない中高に進学し、大学もそこまで遠くない。 このように、地元からあまり離れない生活を十数年送ってきた弊害が、最近発生している。 本来、一般社会人になっているはずの23歳という年齢においては、新宿や銀座等、大人な金銭感覚で気になる店に出向く楽しみを覚えるはずが、 地元の店にお金を落とすという、60代くらいから始めればよい楽しみ

          “止まれ”に物思う26時の23歳たち

          ひねくれ学生が一度は罹患する、旅先マウンティングという病について

          学生にとって、旅先(たびさき)、というのは常に悩ましい問題である。 大学生になるとバイトでお金を貯め、海外旅行を計画できるようになる。 はじめは、憧れの観光地に行きたいという気持ちからスタートするが、 徐々に旅に慣れてきて、友人と旅の話をするようになったりでもすれば、話が変わってくる。 周りの人がまだ行っていないところに行きたい、面白い話をもってきたい、という気持ちが、純な旅への好奇心を蝕んでいく。 所謂、旅先マウンティング、という病気にかかる。 筆者自身、夏にミクロネシ

          ひねくれ学生が一度は罹患する、旅先マウンティングという病について

          ミルクボーイANNでかかった、桑田佳祐”祭りのあと”に想うこと

          2020年1月6日、26時30分、今年の初泣きを記録した。俗に言う、泣き初め(なきぞめ)である。 正確に書けば、23歳の大学院生・男性が、2020年に入って一週間足らずに、深夜に一人ベッドの上で号泣したということだ。 文章におこすと、少々気持ちが悪い。だが、そこには、だれもが一度は体験したことがあるであろう、星や海を見て遠くに想いをはせるような、そんな時間が流れていたのだ。 実際に、この夜に何があったかというと、新年早々彼女から別れ話を切り出されたわけでもなく、親族が亡く

          ミルクボーイANNでかかった、桑田佳祐”祭りのあと”に想うこと