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“雨エンタメ”~家にいたら雨が好きになったという予想できなかった自粛の産物~

大学では徐々に研究が再開してきたものの、相変わらず週の8割は自宅作業が続いている。

多少の外出もするようにはなったが、外は雨
7月にもなり、後梅雨に突入している

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家にいたら雨が好きになった

昨年までの23年間、梅雨が苦手であった

理由を箇条書きにしてみる

・外出すると靴や靴下が濡れて、果てしなく不快感を感じる
・よって外出する気にもならない
・散歩もできないし、気軽に遊びに行けない
・特に自然の中での活動(採集、釣り、ハイキング等)はできない
・朝晴れていないと気持ちよく起きられず、生活のスイッチが入らない
・気圧の関係か、外の景色の色彩のなさか、心なしか気持ちが沈む
・家の屋根にあたる雨粒の音がうるさく、不安感を煽る
・部屋の喚起をしてもジメジメしていて効果がない
・以上の状態が数週間継続する

これらの理由から梅雨とは相いれない関係にあった

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しかし、このご時世
そもそも外出を制限されているため、上記の理由のいくつかが全くもって機能を果たさなくなり、”外出したい”という意欲もそもそもなくなってきたので、心理的な面での圧迫感も皆無である

箇条書きされた梅雨嫌いの理由達は、雨筋の中へと消えていった

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自粛期間中の活動を振り返る

・部屋の掃除
・料理の練習
・哲学書や新古今和歌集を読む
・今一度、研究計画の整理をする
・タイピングや美文字といった実用的なスキルを磨く
・映画やテレビ、ラジオといったエンタメをチェックする
・家の水槽や植物レイアウトを整える

どれも、あくまで ”時間ができたらやりたい” ことで、

雨気を感じて洗濯物をしまうような、想像の範囲内の活動であった

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図らずして雨や梅雨を嫌う理由が消え、想像がつかなかった部分

雨が好きになった

・部屋にいれば濡れないから不快感はない
・なんなら自然現象的なものに飢えているので、雨が降るだけでも楽しい
・雨音を聴くのも、もはや非日常的に感じられる
・気持ちが滅入る、というより気持ちが落ち着く
・植物の水やりをしなくていい
・雨の曲や雨の映画がすごく映える

雨障りのおかげで、情緒的に雨を捉えることができるようになった


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そんな情緒的な雨をさらに深めるためのエンタメ

そう

”雨エンタメ”


さて、題名にある通り雨に関係するエンターテイメントの中で、自分が気に入っているものをいくつかあげておく
定番っちゃ定番かもしれないが、今一度、雨を意識してみると面白い
あくまで個人的なものなので、共感してくれる人がいたらとてつもなくうれしいし、他にオススメのものがあったら是非コメントいただきたい


まずは定番3つから

1.雨にぬれても Raindrops keep fallin' on my head

超有名曲。邦楽・洋楽、いろんな雨の歌があるが、結局戻ってきてしまうこの曲。
”明日に向かって撃て”という超有名西部劇のテーマ曲で、この期間にチェックするのも粋である
クラシックなアメリカ映画に興味の幅を伸ばせるかもしれない

また、現在、京王電鉄のCMにも使われていて、京王線の駅構内にも張られている。このCMが、たまらなくよいのです。


2.言の葉の庭

雨の題材にした有名アニメーション映画。描写が美しく、ストーリーも儚い感じで素敵。雨の定番アニメですね。
新宿御苑が舞台となっており、必ず行きたくなる。実際に散歩をしてみれば、温室があったりと様々な発見があるので世界が広がるきっかけになる。
主題歌の”Rain”は大江千里さんの曲を秦基博がカバーしたバージョンで、これもまた、雨にベストマッチ

雨の新宿御苑で朝からビールを飲んだら、泣いてしまう自信がある


3.ミッドナイト・イン・パリ

婚約者との関係に悩む、小説家志望の映画脚本家の主人公が、真夜中のパリに赴くと1920年代のパリにタイムスリップし、フィッツジェラルドやヘミングウェイなど偉人達との交流を通して、現代での生活を見直していく物語。
ラストシーンのパリの雨夜がとても印象的で、ニヤっとさせてくれる
町並みはさることながら、ジャズ中心のサントラも素敵なのでオススメ。


超個人的!・梅雨を情緒的に過ごすための4選

4.”Bad weather ” Melissa Manchester

もともとはダイアナロスが所属していたMotownの女性ボーカルグループSupremesの曲をカバーしている
Stevie Wonderっぽいと思ったら、まさにビンゴ。
内容は、彼と別れて雨の中を走りたい気分!っていう曲なのだが、ブラスアレンジとMelissa Manchesterのソウルフルな声で、陰鬱な感情を微塵たりとも感じさせない
希望を持てる明るい雨の日!って感じ
**
”Think I'm gonna run into bad weather”**

最高のサビではないか


5.雨のことば辞典 講談社学術文庫

雨にまつわる言葉をひらすら集めた文庫本
雨を情緒的に把捉するための、美しい言葉が並んでいる
途中のコラムも結構面白くて、雨に関する書籍や映画からの引用もあって、自分の中の雨の世界を広げるきっかけになる
雨情緒を極めるには必須の本である
”雨祝い”が個人的にはお気に入り
 雨の日は休んじゃえばいいじゃんね


6.Modern Love 第8話:人生の最終ラップはより甘く

以前の記事でも紹介したAmazon Prime Videoのオリジナルドラマ

最後のエピソードである第8話のラスト、夫を失った主人公のおばあさんが大雨の街を走り抜けていくシーンが、あまりにも美しい

ぜひ一話から見て、この8話のラストで涙してほしい


7.サムクックがきこえる ザ50回転ズ

”雨湿り”、じめじめした青春の雨をノスタルジックに表現した最高の曲

当方は、この曲が収録されたレコードをもっているのだが、薄暗い部屋でこの曲の針を落とすと、一気に時代が引き戻される

サムクックは、超有名ソウルシンガーであり、公民権運動にも貢献した歴史上も重要な人物。
この曲を聴くと、サムクックの情緒的で甘い歌が思い出されるとともに、1960年代に引き戻されるような(もちろん体験したことのない時代だが)、ノスタルジックな魅力がつまっている

”サムクックがきこえるよ 君の好きだったバラードナンバー
 歌の二人みたいに 運命ならよかったのに”

”ラブソングはもうやめて 今夜は余計悲しくなるから
 うるさいのが聴きたいな 全部忘れられるように”

”突然の雨のやみまに 君の声が聞こえた気がしたよ”

”もう夏がくる”

***

さて

後梅雨に感傷的になりながら、来る夏を待ちわびる

シェルブールの雨傘を次は見よう

そんな大学院生活である。





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