気持ちのグラフ化から心のレジームシフトを検出する~心のマイワシとカタクチイワシ~
さて、まずはこれを読んでもらうことから始めよう。
この論文は日本の水産有用種のレジームシフトを検出する、という内容である。
さて、誰がついてこれているのだろうか。
難しい内容ではないので、あと少しだけ、アカデミックに辛抱してほしい。
ここでいうレジームシフトとは、下記を意味する。
「大気・海洋・海洋生態系から構成される地球表層システムの基本構造(レジーム)が. 数十年間隔で転換(シフト)すること」
かなり平たく言えば(専門の方には申し訳ないほどに)
海洋における根本的な環境の変化が、地球規模で魚類の生産量に影響するのだ!
ということである。
水産庁が発行している水産白書から引用して、少しばかり説明しよう。
上の図において、地球規模の温暖期/寒冷期の変化により、マイワシとカタクチイワシの漁獲量が反転している。
具体的には、温暖期にはカタクチイワシが多く、寒冷期にはマイワシが多いことが示されており、この漁獲量の転換期にレジームシフトが起こっている
ということだ。
「レジームシフトによって温暖期/寒冷期が反転し、漁獲量に影響する」
この文言を、人の気持ちに置き換えてみる。
「心のレジームシフトによって、生活のポジティブ期/ネガティブ期が反転し、精神面ないしは生活そのものに影響する」
こいつは何を言っているのか、という方もいるだろう。
つまり、以下のようなことを試したみた。
1. ここ1か月の自分の気持ちを、-2~+2まで1単位ごとに点数付けし折れ線グラフにする
2. プロットしたグラフから、心のレジームシフトが起きている場所、つまり生活のポジティブ期/ネガティブ期を検出する
3. 心のレジームシフトを引き起こしたであろう出来事を思い返し、自分にとって、どのような事象が心のレジームシフトを引き起こすのかを特定し、客観視する
ここ一か月の自分の気持ちをグラフにし、気持ちのレジームシフトを記載したものが下図である。
実際にグラフを描いてみると、これは面白い。
当然、自分自身生活の中でなんとなく
”今日は調子がいいな” ”今日はあんまり冴えないな”
というのはわかっている。
しかし、図にしてみると、その波が具体的に表れる。
Positive/Negative期は、数日単位のわりと短いスパンで交互に存在することが見て取れる。
また、基本的にPositive期の割合が高いこともわかる。
そして、心のレジームシフトは1か月のうちに6回起こっていた。
さて、この原因とそれに続いた出来事をとらえてみよう。
Start インド旅行中
1st インドロス、旅行中にたまった課題の処理
2nd 旧友との飲み会、マジ歌ライブ、研究結果がまとまりだす
3rd 積み残しをいろいろ思い出す、バイトが長引く
4th 旅行、デート
5th 研究報告書がまとまらない、各所メールの連絡がこなくて進まない
6th 報告書がまとまりだす、ようやく各所の連絡がくる、飲み会が決まる
以上から言えるのは、心のレジームシフトが起こるとPositive/Negativeな出来事が連続して起こっているということだ。
なんというか、自分のやる気どうこうに関わらず、大きな時の流れの中で出来事が連鎖し、自分の気持ちを形作っているような、そんな気がしてくる。
生活における気持ちの高低が、決して自分だけの責任ではないのかもしれないという気持ちにしてくれる。
少し良いことがあれば、
”しばらくこの状態が続くだろうから、いろいろ頑張ろう”
というきっかけになるし、
逆に言えば、嫌なことが続いても、
”なにか、好転することが絶対に起こるから、今は辛抱だ”
と踏ん張ることもできる。
この、心のレジームシフトが起こる期間だとか、頻度は人それぞれではあるが、自分の心のレジームシフトを知ることで、自分にも、他人にも優しくなれる気がしているのだ。
この記事を書き始めた3月5日の夜、先輩から飲み会の誘いが来た。
どうやら、まだPositive期にいるらしい。
心のマイワシとカタクチイワシを捕まえる。
流行語にならないかな。
そんな大学院生活である。
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